技術・ソリューション

地下水シミュレーション

地下水汚染の可視化による汚染状況の把握

シミズは地下水の数値解析(シミュレーション)技術を用いて汚染状況を3次元的に可視化し、対策工法の立案や浄化の効率化と精度向上を図ります。 土壌汚染対策法で定められている土壌・地下水調査方法は、調査地点(単一点)による評価であり、土質や汚染物質による拡散メカニズムの違いを考慮されていません。地下水調査は、調査地点の汚染の現況を把握できますが、対策範囲全体の将来的な汚染拡散や対策効果の予測については困難です。 シミズでは、敷地内の実測データを活用し数値解析技術により対策工種(掘削・揚水・遮水壁による封じ込め、モニタリング)の選定、対策範囲・対策期間等を数値シミュレーションで検討し、最適な対策の提案が可能です。

土壌・地下水の調査結果

調査地点の柱状図

数値解析結果の活用方法

数値解析(シミュレーション)の手順

STEP

地質・地下水モデルの構築

  • 敷地の地質を3次元的にモデル化
  • 地質毎の透水係数を設定
  • 地下水の流れを数値解析(シミュレーション)
  • 地下水位の実測値と比較・調整
  • 地下水の流れを3Dで再現

土質のモデル化
STEP2

汚染物質の数値解析

  • 汚染源情報の設定(濃度、範囲)
  • 汚染物質の特性( 比重、吸着等) を考慮
  • 地下水汚染状況を数値解析( シミュレーション)
  • 濃度の実測値と比較・調整
  • 汚染状況を3Dで再現

地下水汚染の解析結果

地下水シミュレーションの事例

  • 汚染源除去時の汚染状況
  • 汚染源除去20年後の汚染状況

対象地

臨海部の工場(約100万m2

経緯

  • 敷地内で第一種特定有害物質の漏洩事故発生
  • 数百m離れた敷地外で第一種特定有害物質の流出を確認
  • 敷地内での地下水調査により複数地点で地下水汚染を確認
  • 地下水汚染範囲や敷地外への流出経路が不明な状況の中、地形から推定した地下水流向下流側で、遮水壁等の対策を実施
  • 対策後も、敷地外への第一種特定有害物質の流出は継続
  • 敷地内外の第一種特定有害物質濃度に変動があり対策の効果が評価できない状況

対応内容

  • 敷地内のボーリングデータ、地下埋設構造物の竣工図等の資料から、地盤の3次元モデルを構築
  • 上記モデル及び地下水調査結果から、地盤の透水係数を推定し、地下水汚染範囲、拡散経路をシミュレーションにより再現
  • 漏洩事故発生時から現在までの汚染状況の変化をシミュレーションで可視化
  • 地下水汚染対策の有無による20年後の汚染状況の違いを可視化

効果

  • 汚染拡散状況の数値解析により、敷地外への流出経路として損傷がある埋設構造物が影響している可能性が判明し、その後流出経路と考えられる埋設構造物の損傷箇所を補修し、敷地外への流出が減少
  • これまで実施した遮水壁等の対策の有無による汚染拡散の違いをシミュレーションし、対策に一定の効果があったことを確認
  • シミュレーションにより、汚染源を除去しても、広範囲に広がった地下水汚染が20年後にも敷地内に残存する可能性が示唆されたため、今後の対策方針の検討材料となった