技術・ソリューション

自然由来汚染土壌への対応

現在、高速道路や軌道など地下空間を利用するインフラ整備計画が進められており、工事が始まるとともに、大量の掘削土壌が発生する見込みです。
そこで問題となるのが自然由来の砒素汚染土壌の存在です。
大量の汚染土壌を敷地外に搬出し浄化するのは、コストや作業効率の面で大きな問題です。
そこで、当社では大深度地下工事にむけた、シールドマシン対応の浄化技術や、盛土材として自然由来汚染土壌を利用する場合の固化・不溶化技術を開発しました。

シールド一体型砒素浄化・減容化技術(大深度地下シールド工事での砒素汚染土壌対策)

大深度地下工事で発生する大量の自然由来砒素汚染土壌を高効率に浄化・減容化

砒素汚染土壌対策の最新技術


汚染土壌を最大で9割減容化、処理費用を7割削減

浄化・減容化処理のフロー

  • 首都圏での鉄道・道路整備事業の本格化に伴い、シールド掘進が想定される土丹層を含む土壌では、土壌の粒子径が小さいほど砒素濃度が高いのが特徴です。この特徴を利用し、汚染土壌を微細粒分、細粒分、粗粒分に分けて処理します。
  • 砒素抽出工程では、シールドスラリーに抽出薬剤を添加し、土壌粒子の砒素濃度を全体的に低減します。スラリー中の粗粒分は回収し、健全土として再利用します。
  • 微細粒分の分級工程では、スラリーに含まれる細粒分を分級装置によって回収し、健全土として再利用します。

微細粒分の分級装置

従来の処理施設では、微細粒分と細粒分をまとめて汚染土壌として場外処分していました。
微細粒分の分級工程を加えることで、地上処理工程を大きく変えずに、細粒分を分級・回収することが可能となり、減容化と費用削減が可能になりました。

重金属含有土壌の固化・不溶化技術

大深度地下工事で発生する大量の自然由来砒素汚染土壌を高効率に浄化・減容化

自然由来汚染土を盛土材として利用する場合、土壌から汚染物質が溶出しないようにセメントを添加することが一般的な方法ですが、
シミズでは実験によって、セメントよりも信頼性が高い不溶化材を選定し、施工することが可能です。

<品質管理の例>

  • 安全率確認(混合後の添加量ばらつき確認)
    自走式土質改良機による混合精度を考慮した不溶化材添加率の安全率の検討
  • 混合後の養生日と溶出試験
    養生σ1,3,7日において溶出試験を行って、早期養生が可能かを確認
  • 長期養生性質確認試験
    長期間経過後も固化不溶化混合土からの重金属の再溶出がないことを確認
  • 混合時の含水比確認試験
    3種程度の含水比で混合し、含水比と一軸圧縮強度の関係を把握
  • モデル施工(転圧管理試験)
    締固めに最適な転圧回数を確認
  • 混合後1日仮置モデル施工(一軸圧縮試験)
    施工の効率化のため、1日仮置後の施工の可否を確認

自然由来汚染土壌対策の事例

対象地

山岳部のトンネル・道路(対策土量:約300万m3

概要

  • 自然由来汚染土壌を不溶化し、盛土材として長期間使用するため、不溶化の長期安定性が課題
  • 複数種類の不溶化材による試験施工の結果、当初仕様のセメントに代わる不溶化材として技術提案が認められた事例

汚染状況

物質:砒素、セレン、鉛、ふっ素(自然由来)

施工期間

3年

施工概要

  • 試験施工
  • 自工区、他工区の自然由来汚染土壌搬入・受入・仮置・養生
  • 分級作業(100mmで篩分け)
  • 破砕作業(100mm超サイズの土砂を破砕)
  • 固化不溶化(自走式土質改良機を使用)
  • 盛土施工

効果

  • セメントよりも長期安定性が高い不溶化材を選定することで、周辺環境への影響の低減、長期的なメンテナンス費用の削減につながった