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Interview

超高層ホテルにおける地震発生時の健全性を即時に判定
お客様への安全な誘導を支援

東京ドームホテル 安震モニタリング導入

安震モニタリング

株式会社東京ドーム

竹村様

東京ドームホテルは、都心最大級のエンターテインメントエリアである『東京ドームシティ』内に位置し、”東京”という国際都市・国際観光地の一翼を担うホテルとして、国内外から訪れる多くのお客様に愛されています。
運営する株式会社東京ドームホテルは、「楽しさ度ランキングNo.1ホテル」をビジョンとし、単なるリラクゼーションだけではなく、感動・驚き・遊び心を盛り込み、固定概念にとらわれない柔軟な発想で世界中のお客様にホスピタリティを提供しています。
今回は、当社施工の超高層ビル、東京ドームホテルに導入いただいた「安震モニタリング」について、導入経緯や利用状況、そしてどのように課題解決に貢献しているかを伺いました。

株式会社東京ドームホテル 竹村様
安震モニタリングを導入いただきましたが、システム導入の経緯と目的を教えてください。

超高層ビルである東京ドームホテルにおいて、地震発生直後、いかに迅速に建物内での待機継続の可否を判断するかが私たちのミッションです。この判断の一助として、建物の健全性を的確かつ迅速に判断できることが、本システムの導入に至った経緯です。

導入前には どのような課題があったか教えてください。

地下3階、地上43階建ての建物に対して、全て目視で確認作業を行っていたため、とにかく時間がかかってしまい、非効率的であったことが最大の課題でした。本システムを導入することで、どのポイントから見れば良いか、優先順位をつけて効率的な対応ができると考えております。

導入前、どこから点検するといったことが記載されたマニュアルはありましたか。

特にマニュアル上での決め事はなく、1階から順番に確認していました。
1フロア毎に順番に確認する為、全てを確認するのに4 、5時間程度かかっていました。

発災時は、どこに避難するのでしょうか?

どういう状況で避難するかによって対応は変わりますが、例えば全館火災の場合は、屋外に避難します。全館火災で無い場合は、一旦建物内の安全な場所に集合し、そこから1階に避難するケースや、3階が東京ドームシティ構内に接続されているので、3階から避難するケースもあります。状況に応じて安全なルートを選定します。

発災時に備えて、日頃どの様な訓練や取り組みを行っているか教えてください。

まずは、お客様のパニックを防止することが重要となるので、その場に安全に留まっていただくことを一番に考えています。その後、避難誘導、初期消火、要介護者の介助、負傷者の応急救護等を行う訓練を実施しています。それとは別軸で、それぞれの対応者がどうやって情報を収集・共有するかということに対する、レポートラインを確立するための訓練を実施しております。

発災時に、建物の被害を確認できる専門家はいますか。

建物被害を確認できる専門家はおりません。
その代わりに被害の確認ポイントが記載されたチェックシートを作成し、そのシートを基に確認を行っています。

なぜ安震モニタリングを採用されたか教えてください。

理由は、大きく2つあります。
1点目は、東京ドームホテルが清水建設施工であり、構造体と判定結果に対する信頼性の観点で、他社と比較して、この建物に対する造詣が深く、誰よりも建物を熟知していることが採用の大きな決め手となりました。
2点目は、155mと超高層ホテルのため、長周期地震動に対するケアをしていきたい中で、その階級についても判定をできるところが決め手になりました。

他社と比較して弊社のシステムの特徴等はありますか。

やはり東京ドームホテルの施工会社であることは、当社にとっては大きな特徴だと思います。また、判定結果がシンプルで分かりやすい表示であるところは、本システムのメリットだと思います。
総合判定画面にて、各階 構造体・内装の健全性(赤・黄・緑の色表示)と震度・長周期地震動階級値が一目で分かるように表示されていることは、利用側としてありがたい部分と感じております。

安震モニタリングにはクラウド機能がありますが、利用していますか。

クラウド機能も利用しています。
2024年1月1日の能登半島地震の際に、東京ドームホテルでも長い揺れを観測しました。
当日、43階でお食事中のお客様が体調不良(乗り物酔いのような症状)になってしまいました。当日、私は自身の執務室(東京ドームホテル外)におりましたが、クラウドから判定画面を確認し、長周期地震動階級が“2”と表示されていたことで、体調不良の原因が直ぐに分かりました。

安震モニタリングを訓練等で利用されていますか。

現在、防災センター内のスタッフに対して、システムを利用する意識付けを行っています。
発災時の初動対応としては、まずお客様対応が第一になるので、エレベーター内の閉じ込めや、火災報知器の発報、重要機器の異常等を確認します。
初動対応が完了したあたりで、安震モニタリングの判定結果が表示されるので、その結果を確認し、全員に周知することを訓練の中で意識付けしています。
また、発災時に黄色判定が表示された際は、チェックリストを持参し、その判定が出たフロアに実際に行き、問題の有無を確認することを訓練で実施しています。

安震モニタリングで判定結果が表示された後、社内関係者に情報共有する方法やルートは確立されているのでしょうか。

社内で運用ルールがあります。
一定以上の大きな地震が発生した場合、対策本部が立ち上ります。そこで、まずは建物の判定結果の情報を対策本部に報告します。その後、施設内待機を継続するのか、避難を行うのか等の判断を本部で行い、その判断の結果を基に全館放送を行います。
従業員は、部門ごとに地区隊を編成しているので、全地区隊に、今こういう状態なので待機を継続します、もしくは避難しますということを伝えます。

システムに対して、見え方・使用感などの観点で感想をいただきたいです。

システムのモニターのサイズ感も丁度良い上に、見るべき項目が絞られているので、誰が見ても、パッと見て分かりやすいシステムだと思っています。