国土が狭く、資源の乏しい国といわれている日本ですが、日本近海の海底には多くの鉱物資源の存在が確認されており、学術評価のほか、資源としてのポテンシャルも注目されています。
日本は、2007年に新たな海洋立国の実現を目指し「海洋基本法」を制定しました。政府は、同法に基づき2008年に策定した「海洋基本計画」で、海洋資源のひとつである海洋鉱物資源の開発の推進を定め、さらにその具体的な開発計画を、経済産業省が2009年に「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」として策定しています。両計画は2度の改定を経て現在第3期となり、海洋鉱物資源の資源量の把握や生産技術の開発等といった、今後の商業化に向けた取り組みが行われています。
― 海洋における鉱物資源の概要 ―
海底熱水鉱床 | コバルト・リッチ・クラスト | マンガン団塊 | |
特徴 | 海底から噴出する熱水に含まれる金属成分が沈殿してできたもの | 海底の岩石を皮殻状に覆う、厚さ数mm~10数cmのマンガン酸化物 | 直径2~15cmの楕円体のマンガン酸化物で、海底面上に分布 |
含有する 金属 |
銅、鉛、亜鉛、金、銀やゲルマニウム、ガリウム等レアメタル | マンガン、銅、ニッケル、コバルト、白金、等 | マンガン、ニッケル、銅、コバルト等30種類以上の有用金属を含有 |
分布する 水深 |
500m~3,000m <排他的経済水域中心> |
1,000m~2,400m <排他的経済水域~公海中心> |
4,000m~6,000m <公海中心> |
シミズは三菱造船株式会社を代表としたコンソーシアム(※1)の一員として海洋鉱物資源開発の一つとして注目されている「海底熱水鉱床」の採鉱・揚鉱等の生産技術開発に関する委託業務(※2)を(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)より受託し、その開発業務の一翼を担っています。
※1:採鉱・揚鉱全体システム要素技術検討コンソーシアム
三菱造船(株)、国研 海上・港湾・航空技術研究所、清水建設(株)、住友金属鉱山(株)、日鉄エンジニアリング(株)、 (株)三井三池製作所、三菱重工業(株)で構成
※2:本業務は経済産業省資源エネルギー庁の海洋鉱物資源開発に関する委託調査です。
<参考>
JOGMEC公式YouTubeサイト(JOGMECchannel)「海底熱水鉱床採鉱・揚鉱パイロット試験における世界初の連続揚鉱の成功」
採鉱・揚鉱パイロット試験の概念図
採鉱・揚鉱パイロット試験を行う船団
<出典>
経済産業省ニュースリリース「世界で初めて海底熱水鉱床の連続揚鉱に成功しました~沖縄近海で海底熱水鉱床の採鉱・揚鉱パイロット試験を実施~」