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技術研究所では、常に新しい研究や技術の開発にチャレンジします。

最新の研究・技術をご紹介します。

2016年度
2015年度
2014年度
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2012年度
2011年度

都市型ビオトープ「再生の杜」が10年 生物多様性向上を実証(2016年9月)

当社技術研究所内の都市型大規模ビオトープ「再生の杜」(東京都江東区)が、完成から10年を迎えました。

当社は建設当初から10年にわたり、「再生の杜」内の植物や昆虫、鳥類、魚類などのモニタリングを続けています。その結果、多様な生物がビオトープ内に現れ、継続的に生育していることがわかり、都市部の人工的な緑地が豊かな生物生息空間をつくりだし、生物多様性を向上させていることが実証されました。都市部での調査は、中小規模のビオトープで短期間に行われたものがほとんどであったため、今回のモニタリングで得た成果や知見は非常に貴重なものとなっています。

今後当社では、「再生の杜」で培ったビオトープ建設技術や維持管理技術を生かし、生物多様性に配慮した建設計画を提案していきます。

  • 竣工直後
  • 4か月後
  • 現在
  • カルガモの子育て

2006年の竣工直後から現在の「再生の杜」

環境基盤技術センター 米村研究員

「再生の杜」ビオトープの建設に際し、生態系ネットワーク評価技術や参加型ビオトープ計画技術、埋土種子緑化技術など多くの独自技術が開発・適用されました。長期のモニタリングによりそれらの有効性を確認することができましたが、改善すべき課題も明らかになりました。今後は残された課題に取り組むとともに、微気象緩和や雨水貯留浸透機能、保健機能などの緑地の持つ多様な機能を活かしつつ、都市における人と生き物の関係性がより豊かな空間となるような緑地のあり方を検討していきたいと考えています。

環境基盤技術センター 米村研究員

病室内の不快な臭いを即座に感知し、拡散前に除去(2016年7月)

当社は、病室内で発生する不快な臭いをいち早く感知し、すばやく換気を行うことで拡散を防ぐ臭気制御システム「スメルケア」をセンシング機器メーカーの新コスモス電機(株)と共同開発しました。

病室内でオムツ交換や食事などの強い臭気が発生する場合は、空調効果を低下させる窓開け換気に頼るケースが多く、一旦臭気が病室内に拡散してしまうと、空気清浄機などを用いても短時間で除去することが困難でした。
本システムは、高感度の半導体センサーにより臭気を即座に感知し、臭気濃度に応じて給排気ファンを制御することで拡散を防ぎ、これまで1時間以上たっても除去できなかった臭気を、わずか10分程度で除去することが可能です。

今後、当社はこのシステムを、病院や介護施設、ホテルなどにも提案していきます。

スメルケアのシステム概念図
スメルケアのシステム概念図

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環境基盤技術センター 山口研究員

患者に快適な環境を提供するため、病室では24時間365日空調(換気)を稼働させています。しかし、人の嗅覚は臭気に対して非常に感度が高く、通常の空調では短時間で人が感じないレベルに臭気を取り除くことは非常に困難でした。今回、半導体センサーを用いて空調を制御することで、効率良く臭気対策ができるようになりました。本技術は、長年弊社で培ってきた脱臭技術や病院建築の実績を基に、社内外の専門担当者と協力して開発した技術です。

環境基盤技術センター 山口研究員

巨大地震発生直後に、建物の安全性を高精度評価(2016年3月)

当社は、巨大地震発生直後に、建物の安全性を高精度で評価できるモニタリングシステム「安震モニタリングシステムSP」を開発しました。

本システムは、地震の揺れを計測する4台の地震加速度センサーと、センサーで計測されたデータを自動的に解析する専用パソコンから構成され、地震の揺れが収束後わずか1分程度で、構造体の健全性や天井・仕上げ材の損傷度など、建物の安全性を自動的かつ高精度に評価し、結果を建物管理者にわかりやすく伝えます。本システムの解析機能には、センサーの実測値を基に建物モデルを自動修正する学習機能も備えており、さらに地震などで建物が受けた影響(損傷)を累積値として解析結果に反映させることが可能です。

今後、当社では、新築のオフィスビルについて本システムの標準装備を推奨していきます。

システム構成イメージ:加速度センサーは最下階から最上階まで全体を3等分するよう4台設置
システム構成イメージ:加速度センサーは最下階から最上階まで全体を3等分するよう4台設置

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安全安心技術センター 岡田主任研究員

近い将来にも大地震の発生が懸念されています。その時に備え、建物の安全性を把握し、その継続使用の可否判断を速やかに行う事が求められています。本システムは、センサーによるモニタリングシステムによって「見える化」を実現させ、専門家がいなくても建物の安全性を判断します。今後の建物における設備のひとつとして、地震時BCPに利用し、建物における安心(震)情報としての活用がされることを期待します。

安全安心技術センター 岡田主任研究員

医療施設の放射線遮蔽性能を高精度に評価 施設の安全性と経済性を両立(2016年1月)

当社は、病院の放射線治療室について、治療装置の高エネルギー化に対応した遮蔽計算手法を開発し、最適かつ合理的な遮蔽設計を可能にしました。

高エネルギーの放射線を使う放射線治療室は放射線を室外へ漏らさないよう厚さ1〜3mの遮蔽壁で覆われます。しかし、医療用リニアック装置(※)の高エネルギー化に伴い顕在化した遮蔽壁内での光核反応による中性子などの放出は従来の手法では評価することができず、治療室の設計にあたっては、遮蔽壁の壁厚や鉄板量に過度の余裕を持たせる必要があり、建設コストを増加させる要因となっていました。

本計算手法は、当社が構築した光核反応データベースに基づき、リニアック装置本体や遮蔽壁内で発生する光中性子の挙動を事前に解析するため、安全性と経済性を両立した遮蔽設計が可能です。安全性を確保した上で遮蔽壁の鉄板量や壁厚を減らすことができるため、従来に比べ建設コストを2割程度削減することができます。

※医療用リニアック装置
「直線加速器」といわれるもので、電子線を直線上で加速し、金属ターゲットと衝突させて発生したX線でがんなどの治療をする機器。

エネルギー技術センター 小迫主任研究員

高齢化に伴うがん患者の増加により、治療後の生活の質を保てる放射線治療が急速に普及しています。最適ながん治療を行うために放射線のエネルギーも高くなっており、最適な遮蔽設計を行うには新しい高精度な計算手法の導入が不可欠になっています。信頼性を検証した高精度な遮蔽計算技術と豊富な経験を持つ遮蔽設計技術により、お客様の御要望に基づく最もメリットがある放射線施設を提供して参ります。

エネルギー技術センター 小迫主任研究員

視覚障がい者を屋内外の区別なく快適にナビゲーション (2015年7月)

当社は、IBM東京基礎研究所の技術協力を受け、世界最高レベルの精度で屋内外の区別なく快適なナビゲーションを実現する、視覚障がい者向けの音声による屋内外歩行ナビゲーション・システムを開発しました。

本システムでは、位置測定機能と音声ナビゲーション機能、対話機能を備えたスマホ・アプリ、空間情報データベース、位置情報インフラが協調してナビゲーションを行います。

今後、技術研究所内に設けた実証施設「親切にささやく場」での実証を重ね、早ければ2018年の実用化を目指します。大規模物販施設や教育施設、医療施設、空港・駅など公共施設への展開を図ることで、障がい者や高齢者を含むインクルーシブなバリアフリーに対する社会ニーズに応えていく考えです。


システム構成

未来創造技術センター 貞清グループ長

バリアフリー社会(障がいの有無にかかわらずすべての人がアクセス可能)の実現に向け、屋外でのナビゲーションは、準天頂衛星の活用や屋外地図情報の整備など、国を挙げての屋外の基盤整備が計画されています。しかしながら、屋内や地下街では、位置測定の実証実験がようやく始まった段階で、ナビゲーション用の地図も整備を含め普及が遅れています。今回の開発は、スピーディな実用化を目指したものであり、建築物を提供するゼネコンとして、普及のための仕掛けと提案を行っていきたいと思います。

未来創造技術センター 貞清グループ長

気象予報のノウハウを用いて、地下水流動評価を高精度化(2015年7月)

当社は、大規模地下構造物等の建設時に行う地下水流動評価の精度向上を目的に、逐次取得される地下水観測データを活用して、シミュレーション解析に用いる水理地質構造モデルを自動的に修正しながら、シミュレーションの予測精度を改善させる地下水流動解析技術を開発しました。

本技術は、現象の予測が難しい気象分野で発展してきた「データ同化手法」を地下水流動解析に応用したものです。本技術の性能をモデル実験で検証したところ、データ同化を用いない従来手法と比べて、解析誤差を約80%低減できることが分かりました。また、実際の地下構造物への適用実験では、従来の1/5程度の労力で高精度の解析モデルを構築できることが確認されました。

当社は今後、本技術の実用化に向けた研究に取り組み、地下水流動評価が不可欠となる放射性廃棄物地層処分施設等への適用を目指します。


地下水流動評価におけるデータ同化の活用イメージ

社会システム技術センター 山本研究員

実際には見ることができない地下水の流れをシミュレーション解析で正確に再現・予測することは簡単ではありません。これに対し、私たちは現在の天気予報にとって不可欠になりつつあるデータ同化と呼ばれる解析手法に着目しました。本技術は、観測データという証拠を最大限に利用して地下水流動解析の予測精度を高めるものですが、解析の客観性向上や地下水観測の合理化にも活用できると考えています。今後も実証を重ねて本技術を確立し、地下水流動評価の信頼性向上に貢献していきたいと思います。

社会システム技術センター 山本研究員

バイオミメティクス技術によりコンクリートの美観を向上(2015年7月)

当社は、東洋アルミニウム(株と共同で、水を著しくはじく「蓮の葉」の表面機構を模したバイオミメティクス(生物模倣)技術によりコンクリートの表層品質を向上させる超撥水型枠「アート型枠※」を開発しました。本型枠を用いると、美観を損なう表面気泡(あばた)と色むらが大幅に抑制され、美しく高品質なコンクリートを構築できます。

表層部に仕上げを施さない打放しコンクリートにおいて美観を損なう要因となるのが、コンクリート表面に生じる気泡の痕と色むらです。アート型枠は、疎水性の微細な凹凸形状の超撥水層により、これらの要因を取り除くことができます。

今後、アート型枠の普及に向けた技術展開を進め、建築・土木工事を問わず美観と品質に優れたコンクリート構造物を提供していく考えです。


アート型枠で成型したコンクリート表面(塗装合板との比較)

建設基盤技術センター 辻埜研究員

何気ないある日の食卓で出会った「ヨーグルトのつかない内蓋」。バイオミメティクス(生物模倣)技術と出会い、強い好奇心をかきたてられましたが、コンクリートの型枠に利用するに至るまでには、かなりの日数が過ぎておりました。どうにか活用したい気持ちと関係者一丸となって辿りついた開発技術です。商品化に向けては、克服すべき課題がまだあります。お客様に、より良いコンクリート構造物を提供できるように今後も研究開発に邁進したいと考えています。

建設基盤技術センター 辻埜研究員

水素ガス爆発の影響予測シミュレーションを開発(2015年6月)

当社は、本格的な水素社会の到来に備え水素関連施設の安全性と経済性の向上を目的に、水素ガス爆発の影響を予測するシミュレーションシステムを開発しました。

水素ガスはCO2を排出しないクリーンなエネルギーのため、昨今、国や地方自治体等が水素社会の実現に向けた各種の取り組みを始めており、本格的な水素社会到来時には、地下や屋内設置など様々な貯蔵形態が出てくるものと予想されます。当社は近い将来、水素関連施設の設計を手掛けることを想定し、意匠・構造の安全性と経済性の追求には水素ガス爆発の影響予測が不可欠になると考え、本システムを開発しました。

本システムで算定される予測結果を考慮して、設計者は安全性と経済性を備えた施設の意匠・構造計画を策定することが可能になります。


半閉鎖空間での爆発時の火炎と圧力のシミュレーション例

エネルギー技術センター 野津グループ長

次世代エネルギーの1つとして期待される水素。その水素を安全に利用するためには十分な安全対策が不可欠となります。基本的には水素ガスを漏らさない、漏れても溜めない、着火させない、ことが大原則となりますが、万一に備えて爆発時への対策も考えておくことが重要です。コスト、時間、安全面の制約から爆発実験を繰返し実施することが困難な中で、数値シミュレーションで爆発現象を再現できれば、安全設計への有力なツールになると考えます。今後も様々な爆発現象を再現できるように研究開発を進めていく予定です。

エネルギー技術センター 野津グループ長

人にも生き物にも優しい都市緑化を実現(2015年4月)

当社は、人のすごしやすさと生態系保全のバランスに配慮し、人と生き物の双方に優しい緑化計画を立案できる「都市緑地影響評価システム」を開発しました。

近年、都市部では建物と緑を一体的に計画・整備することが多くなり、公開空地の植え込みや壁面緑化など、街中で緑を目にする機会が増えてきました。緑が増えれば増えるほど生き物の生息圏は拡大しますが、過度の緑化は風通しを悪くしたり、有害な生き物を増やしてしまうなど、人にとってすごしやすい環境とはならない可能性もあります。

本システムは、緑化プランが計画地周辺の生態系に与える影響と、計画地内における温熱環境の快適性を総合的にシミュレーションするものです。本システムを用いると、緑の「量」だけでなく「質」も考慮した緑化計画を立案することが可能です。


都市緑地影響評価システムによる計画地内の温熱環境評価(例)

ルーバーに取り付けるだけで風切音を一発消音(2015年4月)

当社は、集合住宅の手摺やオフィスビルの目隠し壁等に用いるルーバーの風切音を防止する消音材料「ルーバーサイレンサー」を開発・商品化しました。また、技術研究所の風洞実験棟を使ったルーバーの風切音に関するコンサルティング業務の受託を始めます。

ルーバーに起因する風切音は、適切な対策を施さないと高速道路と同等(100dB以上)の騒音になることがあります。古い建物ではルーバー表面をネットで覆いルーバーに吹き付ける風を和らげることで消音を図っている事例もありますが、ネットが建物の景観を損なうことになります。また昨今、ビルの省エネ効果を高めるために、日照を遮るルーバーを外装材として採用するケースも増えており、これに伴い風切音の問題も増加傾向にあります。

ルーバーサイレンサーは、ルーバーを構成する個々のフィンの片側の端部を覆う消音材料です。風切音を発するフィンの端部形状は角張っていますが、消音材料の断面形状は丸みを帯びた形状になっており、この材料をフィンの片側に取り付けるだけで風切音の発生を防止できます。


ルーバーサイレンサーの取付状況

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既存超高層建物の地震被害を短時間で予測(2015年2月)

当社は、既存超高層建物の地震被害について、短時間で高精度に予測できる「地震被害予測システム」を開発・実用化しました。

超高層建物は、首都圏だけでも約1,500棟あり、その半分以上が2000年6月の建築基準法改正以前に建設されています。改正以前の基準は、直下地震や長周期地震動に関する対策が必ずしも十分ではなく、今後発生が懸念されている大地震により被害が発生する可能性があります。

本システムは、建物の所在地で想定される地震動と建物に関する公開情報を用いて、最短10分程度で建物の地震被害を予測することができます。また、被害予測結果に基づいて、「シミズ総合防災診断システム(超高層バージョン)」による現地調査と防災診断を行うことで、建物の防災上の課題を明らかにするとともに、改善箇所や対策などについて提案します。

首都圏のビル(24階/S造)について被害を予測した例(東京湾北部地震の場合)
首都圏のビル(24階/S造)について被害を予測した例(東京湾北部地震の場合)

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安全安心技術センター奈良岡上席研究員

当社では既に中低層建物を対象とした地震被害予測システムを開発しており、今回、適用範囲を超高層建物までに拡大するために本システムを開発しました。
本システムのメリットは、多数の超高層建物の中から被害を受けやすい建物をスクリーニングできることと、被害を受けやすい部位や階をあらかじめ予測できることです。このため、被害予測結果に基づいて効率的な現地調査と防災診断を行うことができます。
このシステムを通して、お客様の建物の防災、減災、およびBCP対策に少しでもお役に立てればと思っています。

安全安心技術センター 奈良岡上席研究員

屋内版GPS「IMES」による歩行者ナビゲーション(2014年12月)

当社は、屋内版GPS「IMES(※1)」を、施設案内や緊急時の避難誘導など、屋内での歩行者ナビゲーションに活用するシステムの開発に着手、このたび基盤技術開発のための実証実験を開始しました。

屋外での歩行者ナビゲーションシステムは、スマートフォンなどによるGPS信号の受信処理技術の進歩により、近年、急速に普及しています。しかし、屋内でのナビゲーションは、衛星からのGPS信号を受信できないこと、屋内の「地図」が整備されていないことなどから、普及が進んでいません。

本実証実験では、当社 技術研究所本館と多目的実験棟にIMES送信機を設置(※2)するとともに、空間データベースやサービス基盤となるソフトウェアなど、屋内での歩行者ナビゲーションシステムに必要とされるさまざまな基盤技術を開発・検証します。また、2020年に予定されている東京オリンピック・パラリンピックでの活用も視野に、屋内・外を自動的に切り換えるナビゲーションシステムを目指します。

※1 Indoor MEssaging System。JAXA(独立行政法人 宇宙航空研究開発機構)が考案した屋内測位技術の一つ。GPSと同じ形式の信号を用いて、送信機の位置情報を発信する

※2 JAXAが所管するIMES送信機の常設設置登録第一号

IMESを活用した「屋内での歩行者ナビゲーション」のイメージ

IMESを活用した「屋内での歩行者ナビゲーション」のイメージ

高度空間技術センター五十嵐研究員

建物内外の位置情報を、様々なサービス・システムに活用することを目指した「統合位置情報基盤」開発プロジェクトの成果技術です。
障がい者の方々も自由に歩くことのできる、バリアフリーな街 づくり、建物づくりを目標に、本基盤を活用した障がい者ナビゲーションサービスの実証を計画しています。

高度空間技術センター 五十嵐研究員

騒音伝搬をパソコンで見える化、解析時間も大幅に短縮(2014年11月)

当社は、波動理論に基づく音の伝搬解析をパソコンで実現する「3次元波動シミュレーションシステム」を開発・実用化しました。

一般に、広範囲にわたる騒音の伝搬を予測する場合は、エネルギー理論に基づく解析手法が用いられます。しかし、この手法は複雑な地形や構造物が音の伝搬に与える影響を再現することができないなど、予測精度に限界があります。また、波動理論に基づく解析手法は音の波動性を反映した高精度な解析を行うことができる反面、膨大なデータ処理が必要になることからスーパーコンピュータが不可欠であり、費用や準備期間等の面から実用的とは言えませんでした。

当社が開発した3次元波動シミュレーションシステムは、高精度な解析を行う領域を音の伝搬に合わせて自動的に移動させ、データ処理量を大幅に軽減することで、パソコンによる波動理論解析を可能にしました。解析に必要な時間は半日程度であり、また、解析結果をアニメーション表示できるため、防音壁など騒音対策の効果を視覚的に確認することができます。

本システムは、工場や発電施設などの騒音の伝搬予測や対策案の検討に適しており、今後は、土木工事の騒音伝搬予測や集合住宅の屋外騒音対策にも適用範囲を拡げていきます。

3次元波動シュミレーションシステム

高精度な波動シミュレーションを短時間で実現

音が伝搬している領域に限って計算メッシュを細分化することで、解析精度を落とすことなく、計算に必要なメモリーと時間を1/5程度に軽減・短縮します。

(シミュレーション例のアニメーション)

高度空間技術センター 石塚主任研究員

本システムは、計算領域内の必要な部分のみ高精度な計算を行い、その高精度な計算領域を時々刻々と移動する音波に自動的に追随させるという2つのアイディアを実現化することで、必要な計算メモリーと計算時間の大幅な削減に成功しました。
高精度な予測計算が行えることに加え、本来目に見えない音の伝わる様子をアニメーションとして可視化することが可能なので、音に関する専門知識を持たない方にも予測結果や騒音対策効果をわかり易くお伝えできるコミュニケーションツールとしても活用していきたいと考えています。

高度空間技術センター 石塚主任研究員

LEDシンチレーションファイバー検出器による放射性物質漏洩の早期検出(2014年9月)

シンチレーションファイバー検出器※とLEDライトを組み合わせ、広範囲における連続的な測定を行うと同時に、放射線レベルの高低を検出場所でリアルタイムに見える化する放射線量モニタリングシステムを開発しました。

本システムは、全長10mのシンチレーションファイバー検出器のライン上にRGB LEDライトを15cm間隔で並べたもので、検出した放射線量に応じて検出位置のLEDの色をリアルタイムに変化させることで高線量部分を視覚的に特定する仕組みとなってます。

低コストで広範囲を連続的に測定できる上、狭い場所に設置することができ、遠隔監視やデータ保存にも対応しています。

※放射線に反応して発光する光ファイバを用いた放射線検出器。

適用事例イメージ

適用事例イメージ

貯蔵施設や処理施設等における放射性物質の漏洩を早期に検出します。

原子力技術センター 中尾研究員

従来のシンチレーションファイバー検出器は、PC画面上でしか測定結果を確認できなかったため、高線量を感知しても当該部位の特定に時間を要するという課題がありました。また、エリアモニターという線量計を用いる測定方法もありますが、測定エリアが非常に限定的で、連続的な測定には不向きです。
本システムは、設置エリアの線量分布を連続的かつリアルタイムに可視化できます。このため、中間貯蔵施設の管理区域や施設内部、敷地境界に設置すれば、作業員の被爆リスクを低減できると ともに、周辺住民とのリスクコミュニケーションの円滑化にも寄与できます。今後さらに改良を行ない、中間貯蔵施設や各種放射線施設に、本システムの適用を提案して行きたいと考えています。

原子力技術センター 中尾研究員

3次元シミュレーションで手術室の空気環境を見える化(2014年8月)

手術室の気流、清浄度、温湿度を予測し、空気環境を見える化する3次元シミュレーションシステム「手術室空気環境予測システム」を開発・実用化しました。

従来、手術室の空気環境の管理は換気回数に基づいており、熱や粉塵を発する医師や医療機器等が空気環境に与える影響は考慮されていませんでした。

そこで当社は、手術室の形状や面積、空調に関する情報、発塵・発熱体である人間と医療機器の配置計画などをもとに、手術室内の空気環境を見える化し、カスタマイズできるシステムを開発しました。

本システムにより、様々なレイアウトパターンにおける空気環境をシミュレーションできるので、従来の実験に比べ、短時間で優れた空気環境を備えた手術室の提供が可能となります。

手術室の3次元モデルを用いた空気環境シミュレーションの一例
粒子濃度

手術室の3次元モデルを用いた空気環境シミュレーションの一例

流線は空気の流れを表し、色は粒子濃度を示す。術野には設計清浄度を満たした清浄空間が形成されていることが分かる。

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高度空間技術センター 山田研究員

空中に浮遊する微粒子や菌、温度、気流などは目で見ることができません。一方で、安全な手術には術中の清浄度や温湿度管理が重要です。本シミュレーション技術を使ってこれらを可視化することで、医療環境改善に向けて様々な検討ができるようになります。省エネや手術部位感染対策につながる最適空調システムの提案のほか、新規医療機器導入時の空調提案なども可能です。医療技術の進歩に対応した手術室環境を提供することで、手術医療を建築面からサポートしたいと考えています。

高度空間技術センター 山田研究員

厚さ5mm弱の免震装置で手術室の揺れを大幅に低減(2014年7月)

高い免震効果を発揮するローコスト・短工期の手術室向け床免震システム「シミズ安震フロア」を開発※しました。

国内にある医療施設(約27,000棟)のうち、施設全体が免震構造となっているのはわずか1.2%といわれています。施設全体の免震化はコスト負担が大きい上、長い工期を必要とするため、近年は手術室など施設の一部について部分的な免震改修を検討されるケースが増えています。

本システムは、薄い鋼板2枚を重ねただけのシンプルな構造の床免震システムで、地震時には上部の鋼板がスライドすることで高い免震効果を発揮します。装置の厚さはわずか5mm弱であり、改修・新築を問わず適用可能です。また、一般の床免震と比べ、コストは1/2〜2/3程度、工期は半分程度です。

※新日鐵住金(株)との共同開発

大型振動台により、震度6強の揺れを再現した性能検証実験の様子

大型振動台により、震度6強の揺れを再現した性能検証実験の様子

免震化した手術室(右)では免震プレートがゆっくり移動するだけで手術台の移動・転倒は発生しなかったが、非免震の手術室(左)では手術台が激しく動き、転倒寸前の状態となった。

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安全安心技術センター 福喜多グループ長

手術中に地震が起きたら・・・、医療行為に何らかの支障が出ることが想像されます。シミズ安震フロアは、地震の最中に手術台や医療器具が転倒・移動することを防ぐとともに、地震直後から医療行為を継続可能にすることをめざして研究・開発を進めてきました。装置の総厚をできるだけ薄くすることで、新築はもちろんのこと、改修にも適用しやすくなっています。また、定荷重ばねという特殊なばねを採用することで、地震後に免震装置の残留変位(元の位置からのずれ)をほとんど生じないようにしています。
この免震装置によって、安心して手術ができる環境をご提案したいと考えています。

安全安心技術センター 福喜多グループ長

無菌のエアカーテンが診療室内の空気感染リスクを低減(2014年6月)

病院などの診療室内における空気感染リスクの低減を目的に、天井面の給気口から吹き出す無菌状態の空気の下向流(下向きの気流)により、病原体が付着した微粒子や飛沫核を流下させるパンデミック対応のエアカーテンシステム「シミズ・ファンフィルターユニット」を開発しました※。

新型インフルエンザ等のパンデミックが懸念されている中、本システムをはじめとする各種感染対策技術を提案することで、医療関連施設の新築・改修工事の受注拡大を目指します。

※業務用空調機器メーカーの新晃工業(株)との共同開発

「シミズ・ファンフィルターユニット」採用した診療室内の空気の流れ
「シミズ・ファンフィルターユニット」採用した診療室内の空気の流れ

高度空間技術センター 山口上席研究員

トリインフルエンザやSARSなどに代表される感染症(パンデミック)対策が求められています。患者様に接する機会の多い医療関係者様などへの対策は、特に重要です。今回、既存の診療室へも設置可能な、パンデミック対策用の空調システムを開発しました。新築ばかりでなくリニューアルでも対応可能です。
本技術は、長年弊社で培ってきたクリーンルームの空気清浄化技術や病院建築の実積を基に、社内の専門担当者と協力して開発した技術です。

高度空間技術センター 山口上席研究員

国内初!非常用エレベーターで火災避難(2014年4月)

国内で初めて、高層病棟における火災時の避難誘導に非常用エレベーターを使用する「高層病棟避難安全システム※」を開発・実用化しました。

火災時の避難は、建物の規模・用途にかかわらず階段使用が原則ですが、病院の場合は、自力で避難できない患者も多く、階段による避難は時間と人手を要するため難しいのが現状です。また、都心部に位置する大規模病院では、機能の集約と土地の高度利用を図るために病棟を高層化する傾向にあり、これまで以上に火災時の避難誘導が課題となっています。

高層病棟避難安全システムは、当社が開発した「火災フェイズ管理型防災システム」を中心に、複数の避難安全対策を高層病棟用に統合したもので、火災の検知から対策設備起動までの初期対応をすべて自動化します。本システムでは火災発生時に防火設備を起動する必要がなく、病院スタッフは入院患者の避難誘導に専念することができます。

※順天堂、早稲田大学との共同研究

複数の避難安全対策を高層病棟用に統合した「高層病棟避難安全システム」
複数の避難安全対策を高層病棟用に統合した「高層病棟避難安全システム」

病棟には自力で避難できない人が多く、介助を伴う避難には時間や手間がかかります。出火階に、火災の影響を受けにくい安全地帯をつくって水平避難させ、その後、必要に応じて、余裕をもって垂直搬送できることを基本方針に、本システムをまとめました。
これからも、シミズの総合力を活かして、人に寄り添い、維持管理しやすさ・避難しやすさを追究した防火技術の開発に、取り組んでいきたいと思います。

安全安心技術センター 野竹主任研究員

小規模施設向けにローコストの液状化対策工法を開発(2014年4月)

屋外の受変電設備や原材料タンクなど、既存小規模施設向けの液状化対策工法「グラベルサポート工法」を開発しました。

生産施設や病院などでは、建物本体に被害がなくても、建物本体に原料や動力、水などを供給する付属の小規模施設が液状化被害を受けることにより、操業や営業に大きな支障をきたします。南海トラフ地震をはじめ巨大地震の発生が懸念される中、こうした小規模施設の液状化被害をローコストで抑制できる技術の開発が求められています。

グラベルサポート工法は、基礎周辺地盤および基礎の簡易改良だけで液状化被害を抑制します。液状化層全体を改良する必要がないため、既存施設を使用しながらの施工が可能であり、コストも従来工法の1/5〜1/10程度です。

ローコストの液状化対策工法

構造・生産技術センター 真野グループ長

主要構造物に付属する小規模構造物や外構は、業務上重要な役割があるにも関わらず、これまで費用や必要な施工スペースが確保できないなどの理由で液状化対策をあきらめてきた施設です。東日本大震災を契機にこれらを早急に何とかしなくてはとの想いから、社内関係部署が団結して開発を進めてきました。今回、施工条件が厳しい既設構造物にも対応できるよう検討を重ね、より低コストで効果的な「グラベルサポート工法」の開発につながりました。本工法をつうじてお客様の業務継続性の確保に貢献できればと考えています。

構造・生産技術センター 真野グループ長

耐震性と施工性に優れた次世代耐震天井を開発(2014年1月)

吊り天井の構造形式を抜本的に見直し、耐震性と施工性に優れた次世代耐震天井「SDクリップレス天井」を開発・実用化しました。

SDクリップレス天井は、野縁(のぶち)と野縁受を一体化した下地材「Tバー」の採用により地震時に脱落しやすいクリップを排除するとともに、耐震ブレースにより天井の揺れそのものを抑制する構造となっています。また、部品点数は従来の耐震天井の約半分と少なく、施工性が大きく向上するため、工期を短縮することができます。

SDクリップレス天井

安全安心技術センター  櫻庭主任研究員

「震災後社会への貢献策」の一環として取り組んできた天井の耐震化技術は、お客様から高評価をいただいているほか、学協会や業界全体からも高い関心を集めています。特に、天井下地構成を根本的に見直し、合理的かつ信頼性の高い耐震性能を持たせた「SDクリップレス天井」はその決定版とも言える国内唯一の技術です。
これからも安全安心な社会インフラの構築のため、開発、営業、設計、案件適用まで一貫して全力で取り組んでいきたいと考えています。

安全安心技術センター 櫻庭主任研究員

多様な災害に対応した「シミズ海外ハザード評価システム」(2013年10月)

「シミズ海外ハザード評価システム(Shimizu Global Hazard Evaluation System)」は、世界的な研究機関が公開しているハザード情報や自然災害情報を集約し、海外に工場やオフィスなどの施設建設を計画する企業の立地選定を支援します。建設地の情報に基づいた高度かつ標準化された評価を行うとともに、対策が必要な場合は的確なBCP提案を行います。

本システムは、アジア防災センターやNASAをはじめとする11機関16種類の公開情報をデータベースとして集約し、地図上(グーグルアース上)で世界中の任意の地点におけるハザード情報や現在および過去の自然災害情報などを短時間で取得することができます。

世界中の任意の地点におけるハザード情報や自然災害情報などを短時間で取得
世界中の任意の地点におけるハザード情報や自然災害情報などを短時間で取得

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日系企業の海外進出の増大に伴い、海外のハザード情報に対する関心が高まっています。
施設建設候補地で予想される地震動の大きさについては必ず問い合わせが寄せられているほか、様々な自然災害のリスクに対する配慮も重要となります。
従来、ハザード情報収集には時間と手間がかかっていましたが、今回開発したシステムによって、社内の誰もが同じ情報を簡単に参照できるようになりました。このシステムを通して、お客様のニーズに少しでも迅速に応えられれば、と思います。

安全安心技術センター 奈良岡主任研究員

3次元線量予測システム「DOSE 3D MAP」(2013年10月)

3次元線量予測システムは、任意の場所の空間線量について、敷地形状や敷地周辺の地形、施設に搬入される除去土壌等の線量や貯蔵量・場所、遮蔽壁などの諸条件をもとに予測するシステムです。

本システムは、地形の高低差や空気中での放射線の減衰・散乱を考慮し、除染や汚染による空間線量の予測評価が可能です。特に、経済性と安全性の両面から的確な線量評価が欠かせない中間貯蔵施設などの施設計画ならびに運営計画に有効です。

中間貯蔵施設における放射線の概念図
中間貯蔵施設における放射線の概念図

原子力技術センター 木下研究員

福島第一原子力発電所の事故対応では、線量をはじめとする様々な問題を克服しなければなりません。除染を行ったり、除染廃棄物を持ち込んだ際の線量影響の事前評価が可能な技術が「3次元線量予測システム」です。除染現場や中間貯蔵施設のように数km四方にわたる広大な場所を対象にした線量評価は初めての経験でした。モデルの改良から精算精度の向上を行い、完成に至るまでには、これまでの科学技術の蓄積のほか、先輩・同僚の協力なくしては実現できなかったと強く感じています。

原子力技術センター 木下研究員

吊り天井を下から支える耐震改修工法を開発・実用化

既存吊り天井をグリッド(格子)枠で下から支える耐震改修工法「グリッドサポート」を開発・実用化しました。

吊り天井は、生産施設や体育館、学校などさまざまな用途の施設に採用されています。しかし、東日本大震災で崩落事故が相次いだこともあり、多くの施設で耐震改修が検討されています。

グリッドサポートは、「端部構造部材」と「グリッド枠」のわずか2種類の部材を使用して、既存吊り天井の落下を防止する耐震改修工法です。施設の用途を問わず適用可能で、施設を使用しながら工事が行える上、天井を張り替える既存工法に比べて費用を20〜40%、工期を20%程度削減することができます。また、廃材の発生量も少なく抑えます。

当社では、本工法の他にも、既存吊り天井の耐震診断から耐震改修に至るまで、豊富な対応メニューを取り揃えており、お客様の施設やニーズに最も適した天井の耐震改修をご提案します。

わずか2種類の部材で天井の落下を防止する「グリッドサポート」
わずか2種類の部材で天井の落下を防止する「グリッドサポート」

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液状化防止・改良地盤を短時間で設計

液状化対策に用いられる格子状や板状、ブロック状の改良地盤を、短時間で手軽に設計できる「シミズ改良地盤評価法」を確立しました。

従来、砂地盤に格子状の改良体などを構築する液状化対策では、対象地盤と改良体の3次元モデルを構築して解析する必要があり、2〜3週間の期間を必要としていました。

当社が確立した評価法は、対象地の地盤データや想定される地震動等をエクセルシートに入力するだけで、改良体の形状や固さなどの仕様を最適化できます。本評価法を用いると、改良体の仕様を変更しながら評価を繰り返すことで、液状化を確実に防止できる最も経済的な仕様を半日程度で決定することが可能です。

今後は、本評価法の活用により、改良地盤の設計作業を簡素化・平準化し、効果的かつ経済的な液状化対策工法をご提案していきます。

液状化対策に用いられる改良地盤の例
液状化対策に用いられる改良地盤の例

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ひび割れゼロへ!超低収縮コンクリート開発(2012年12月)

コンクリートの乾燥収縮がほぼゼロになる業界初の超低収縮コンクリート「ゼロシュリンク」の製造技術を確立しました。

コンクリートには硬化後に乾燥収縮する性質があり、それが原因でひび割れが発生したり、構造物の美観を損ねたり、漏水を起こす場合もあります。また、持続可能な社会の構築に向けて、コンクリートの長寿命化が求められていることから、ひび割れによる鉄筋の腐食を防止し、耐久性を向上させることは、重要な課題です。

「ゼロシュリンク」は、厳選した構成材料と配合の最適化により、乾燥収縮を極力防止した上で、わずかに生じる収縮を膨張材による初期膨張効果により事前相殺し、収縮をネットゼロとする超低収縮コンクリートです。実用化の初弾として、当社技術研究所の新実験棟に適用しました。

今後は、美術館をはじめとする美観を重視した打放しコンクリートを採用する文化施設や、ひび割れに伴う漏水リスクを回避すべき貯水構造物および遮蔽施設、目地がない床スラブを必要とする生産施設などを中心に、「ゼロシュリンク」をご提案していきます。

ゼロシュリンク打設の様子
ゼロシュリンク打設の様子

構造・生産技術センター 辻埜研究員

コンクリートの(乾燥)収縮によるひび割れは永遠の課題と言われています。その課題の解決に果敢に取り組んだ末に完成した技術が「ゼロシュリンク」です。実現にあたっては、コンクリートに使用される様々な材料を最適に選定し、施工できる状態にまで調合を洗練する必要がありました。圧倒的なグレードのコンクリートをお客様に提供する技術力をコンクリートの乾燥収縮だけではなく、すべての性能に波及させるように今後も研究開発に邁進したいと考えています。

構造・生産技術センター 辻埜研究員

防災診断のノウハウを集約・シミズ総合防災診断システム

最先端のシミュレーション技術と東日本大震災で得られた知見をパッケージ化した「シミズ総合防災診断システム」を開発しました。

本システムは、立地環境に関する事前評価と建物の現地調査により、地震の揺れ、液状化や津波、火災等に対する施設の防災性能を総合的に診断することができます。東日本大震災の最新の知見を踏まえた高度な防災診断をスピーディーに行い、企業の事業継続計画(BCP)の観点から施設の防災上の課題を明らかするとともに、課題に対する対策をご提案します。

今後は、本システムの活用により、高度で標準化されたBCP診断を短期間でお客様に提供するとともに、施設の安全・安心を実現する最適なソリューションをご提案していきます。

建物の健康診断とも言える「シミズ総合防災診断システム」
建物の健康診断とも言える「シミズ総合防災診断システム」

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小規模構造物の液状化対策コストを大幅低減

東日本大震災では、生産施設や病院などの建物本体に被害がなくても、液状化で小型タンクや架台、倉庫が大きく傾いたり、構内道路や駐車場が多量の土砂噴出や不同沈下で継続使用できない事例が見受けられました。これまで小規模構造物は、コスト等の問題から十分な液状化対策が行われていませんでしたが、事業継続性を確保するためにも、今後は敷地全体の対策を検討する必要があります。

本工法は、地盤表層のごく一部を簡易改良することで液状化による地盤の変形を抑制し、小規模構造物の液状化被害を防止するものです。新築はもちろん、改修にも対応可能であり、液状化する地盤の深さにかかわらず対策効果を発揮します。また、液状化層全体を改良せずに済むため、対策コストを大幅に低減することができます。

近い将来に発生が予測されている東海・東南海・南海の三連動地震では、継続時間が非常に長い揺れが発生する可能性があり、広い範囲で液状化が生じると考えられます。当社は、液状化による被害を防止するため、生産施設などを中心に本工法をご提案していきます。

建物本体は無被害でも、附属する小規模構造物や構内道路・駐車場、配管等に大きな被害が生じると、事業継続や住環境にも大きな影響を与える。
建物本体は無被害でも、附属する小規模構造物や構内道路・駐車場、配管等に大きな被害が生じると、事業継続や住環境にも大きな影響を与える。

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津波の挙動や津波荷重を3次元モデルで詳細に予測

津波の挙動をリアルに再現すると同時に、建物に作用する津波荷重(津波の力)を予測する「津波総合シミュレーションシステム」を開発・実用化しました。

本システムは、津波が陸上を遡上して建物に衝突したり、建物内に浸入する様子を3次元で再現しながら、建物に作用する津波荷重を精度よく算定します。また、津波の発生源となる断層破壊については、従来の解析で仮定していた一度に破壊する状況だけではなく、徐々に破壊が進行する状況まで考慮したシミュレーションが可能になりました。

今後は、本システムにより、市街地を遡上する津波の複雑な挙動や建造物に作用する津波荷重を明らかにするとともに、沿岸部に立地する重要構造物の津波に対する構造安全性の検討や津波対策の立案などを通して、津波防災に貢献していきます。

3次元モデルで再現した津波が伝播する様子
3次元モデルで再現した津波が伝播する様子

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企画部 長谷部主任研究員

今回開発したシステムでは、地形や街区の形状、到来する津波の様相など、地域毎に異なる条件を考慮することができるので、お客様の実情に即した合理的な津波対策提案か可能になると考えています。また、本格化する東北地方の復興計画や、他の地域での津波防災計画などにも役立てることができればと思います。
今後は、こうした実務での運用・展開を図る一方で、津波被害のメカニズム解明にも本システムを活用し、新たな津波防災技術の開発に結び付けていくことも考えています。

企画部 長谷部主任研究員

吊り天井の落下を防ぐ

東日本大震災の被害を教訓に、大地震時でも天井を落下させないための天井部材の新たな構造形式を確立しました。東日本大震災では、建物の構造的な被害が少なかった一方、天井や壁をはじめとする非構造部材の被害が多数報告されています。中でも、生産施設や物流施設などの大規模空間では、天井の崩落やパネルの落下などが相次ぎました。

本構造形式は、天井の補強ポイントごとに耐震ブレースを配置するとともに、部材の接合部を耐震クリップや耐震ハンガーなどで固定して耐震性を高めるもので、生産施設などに用いられる在来天井※の落下防止に有効です。既存の構造形式と既存製品を組み合わせる形式であり、従来のガイドラインなどで推奨されている耐震天井に比べて部品点数を4〜5割少なくできコストダウンが可能です。

今後は、大空間のある生産施設やオフィス、教育施設などの新築・改修に、本構造形式をご提案していきます。

在来天井を耐震ブレースや耐震クリップ・耐震ハンガーなどで補強する新しい構造形式(図中の金物は代表例を示しており、各天井下地メーカーごとに採用可能な金物を特定しています)
在来天井を耐震ブレースや耐震クリップ・耐震ハンガーなどで補強する新しい構造形式(図中の金物は代表例を示しており、各天井下地メーカーごとに採用可能な金物を特定しています)

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地下水を熱源とする高効率ヒートポンプ空調システム

当社と国立大学法人 信州大学は、地下水を熱源として利用する「地下水制御型高効率ヒートポンプ空調システム」を開発し、信州大学工学部(長野市)にて実証実験を行っています(※)。

本システムでは、地下水の温度特性や還水温度を最大限利用する井戸配置技術、顕熱潜熱分離空調を採用した2次側空調システム、新たに開発した地下水専用水冷式ヒートポンプ(室内温度制御用)により、システム全体として大幅な省エネと空調効率の向上を図っています。特に、新開発のヒートポンプは、地下水を直接空調の熱源として使用する「フリークーリング運転」、動力を使う「熱源機運転」、二つを同時に動かす「ハイブリッド運転」が可能で、地下水温に応じて最適な運転モードを自動的に選択し、省エネを図ります。また、還水時の目詰まり発生などのトラブルを回避するため、熱源となる地下水の浄化を行う水質制御装置を開発し、長期安定運転が可能となっています。

本システムは、従来型のビルマルチ式空調システムに比べて約1.7倍以上のエネルギー効率を目標としています。当社は、実証実験の結果や商用実機の設計検討などを踏まえ、2013年2月までに空調効率を総合評価し、システムの性能を検証するとともに、早期の実用化を目指します。

※独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究開発委託事業。

一般的な地下水利用型ヒートポンプ空調システム
一般的な地下水利用型ヒートポンプ空調システム

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ウェブ上で建物の光環境をリアルタイムに見える化

ウェブ画面を介して建物内外の光環境を写真並みの画質ですばやく可視化できる「超高速可視化プレゼンテーションシステム」を開発しました(※)。

本システムは、クラウド技術とGPU(グラフィック処理装置)、建物の3次元設計データを駆使し、これまで数時間を要していた光環境の可視化をわずか数秒から数分で行うものです。日時や照明の色合いなど、条件の異なる光環境を写真並みの画質でリアルタイムに可視化することはもちろん、照度や輝度の強度を色分けして可視化画像上に重ねて表示することが可能です。

当社は、対話的に光環境の検討・確認が行える本システムを活用し、より優れた光環境をお客様へご提案していきます。

※開発にあたっては、東京工業大学のスーパーコンピュータ「TSUBAME 2.0」を使用し、描画速度・品質の検証を行いました。

システムにより作成した高画質CG

システムにより作成した高画質CG

実際の写真

実際の写真

総合解析技術センター 渡辺主任研究員

人間が外界から得る情報の約8割は視覚からと言われています。当社が持つ数々の技術をお客様に臨場感をもって伝えたい。そんな思いで超高品質の可視化に取り組んできました。
開発にあたり、世界最速のGPU描画エンジンを組み込み、東京工業大学のスーパーコンピュータを利用した多数GPUによる速度検証を行うなど独自のシステムに仕上げています。
今後は、流体などの解析結果との合成、音響システムとの連携、立体視化などを行い、さらにお客様に感動してもらえるシステムを目指して開発を進めて行きたいと考えています。

総合解析技術センター 渡辺主任研究員

スマートビル性能を立証、ピーク電力37%削減

技術研究所では、2011年7月から集中的な節電への取組みを実施した結果、7月と8月の2か月間においてピーク時使用電力を前年夏比で37.8%削減しました。東日本大震災後の5月に掲げた節電目標37%を達成し、スマートビルの核となる「シミズ・スマートBEMS」の性能を実証により確認しました。

ピークカットを図るため、本館・実験棟群ともに、太陽光発電と蓄電池、発電機などで構成する「マイクログリッド」からの供給電力を最適利用しました。また、本館では2010年10月に導入した最先端のエネルギーマネジメントシステム「シミズ・スマートBEMS」によるデマンドレスポンス制御、実験棟群では使用電力を考慮した実験スケジュール調整を行うことで電力を平準化し、ピーク時における商用電力への依存度を大幅に低下させました。
「シミズ・スマートBEMS」は、太陽光発電や蓄電池などの分散型電源を最適制御するマイクログリッドと、設備機器の制御により電力を調整するデマンドレスポンス機能を統合したシステムです。熱負荷や電力負荷の予測に基づく設備機器の運転計画や電源設備の制御により、建物内の快適性を損なうことなく、使用電力を自在に制御することが可能です。

今後は、技術研究所での実証データをもとに、快適性と節電を両立できる本システムをお客様へ積極的にご提案していきます。

技術研究所のピーク時使用電力実績

技術研究所のピーク時使用電力実績

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高齢者見守りシステムを開発

高齢者介護の質的向上と負担軽減を目的に、センサーを用いて居室内の高齢者の行動を見える化し、ベッドからの転落など緊急時には自動的にナースコールを発報させる介護支援システム「高齢者見守りシステム」を開発しました(※)。

本システムは、居室内の天井隅に設置した3次元距離センサーにより、高齢者の位置や動きを3次元空間座標として検知し、その情報を元に高齢者の行動をリアルタイムに認識するものです。ベッドからの起き上がりや転落、離床(立ち上がり)などの行動を認識することが可能で、緊急時には既存のナースコールを用いて介護者へ通知します。また、カメラを用いる従来の監視システムとは異なり、高齢者のプライバシーを確保しつつ精度の高い見守りを行うことが可能です。

国内における要支援者、要介護者の数は450万人に達しており、十分な数の介護者を確保することが難しい状況となっています。今後、当社は、介護者の負担を軽減し、介護サービスの質的向上を図る本システムを医療・福祉施設に積極的にご提案していきます。

※日常生活動作(ADL)の推定について、(独)東京都健康長寿医療センター、(社)科学技術と経済の会と共同研究を行いました。

システム構成

システム構成

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天井隅に設置した3次元距離センサー

天井隅に設置した3次元距離センサー

高度空間技術センター 平林主任研究員

家族が見守るように、高齢者の振る舞いを見逃さずに暖かく寄り添うようにしたい。そして、「転ばぬ先の杖」として先取りした対応ができるようにしたい、という想いで開発を進めてきました。
高齢者を介護する施設では、介護スタッフは現場を走り回るように対応しています。各種センサがナースコールと連動していますが、誤報が多くスタッフの作業負担を増していることを目の当たりにしました。
このシステムを発展させて、緊急通報だけでなく自立支援を促すため日常の生活動作を推定するシステムの開発も進めています。高齢化率が益々増加する状況の中で、家族やスタッフが安心できるシステムとして、国内にだけでなく海外にも貢献できればと思っています。

高度空間技術センター 平林主任研究員

施設内の微生物対策に新手法を確立

医薬品・食品工場や医療機関における微生物対策の一つである薬剤散布の効果を、より現実に近い形で定量的に検証できる手法を確立しました。これにより、黄色ブドウ球菌や枯草菌、大腸菌、緑膿菌など、医薬品・食品工場や医療機関が最もケアする微生物を効果的かつ経済的に滅菌する薬剤散布方法の提案が可能となりました。

本手法では、はじめに当社技術研究所内にあるバイオロジカルクリーンルーム(BCR)で薬剤散布試験ならびに薬剤分解試験を実施。次に試験結果を踏まえて、薬剤散布方法の効果と経済性の最適化を図るシミュレーションを実施します。一連の検証に必要な期間は、対象施設によって異なりますが、短いもので1〜2週間程度です。

BCRにおける試験では、室内はもちろん、ダクト内への薬剤散布も可能で、建築設備を含め検証を行うことができます。また、BCRでの試験とシミュレーションを組み合わせることで、より現実に近い除染効果の予測が可能となりました。
今後は、本手法により、医薬品・食品工場や医療機関向けに効果的かつ経済的な微生物対策をご提案していきます。

バイオロジカルクリーンルーム:薬剤散布装置や除菌装置などの特殊設備を配備。バイオ関連施設のクリーン化技術の実証試験が可能。

バイオロジカルクリーンルーム:薬剤散布装置や除菌装置などの特殊設備を配備。
バイオ関連施設のクリーン化技術の実証試験が可能。

シミュレーション結果(例)

シミュレーション結果(例)

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新型グラデーションブラインド、眺望と経済性が向上

立川ブラインド工業(株)、トーソー(株)と共同で、眺望と経済性を向上させる新機能を追加した「グラデーションブラインド」を開発しました。
グラデーションブラインドは、屋外の自然光を屋内に取り入れて、まぶしくない間接光として利用する採光システムです。照明用の消費エネルギーおよびCO2排出量を最大3割減らすことができます。今回は、庇や袖壁、周囲の建物により窓面に日陰が生じた場合、これを精度よく計算し、外部への視線を確保するようブラインドの羽根を水平に保ち、眺望を確保する機能などをシステムに追加しました。これにより屋外を眺望できる時間が増え、快適性を増加させます。また、ブラインドの羽根の角度を調整する駆動部をシンプルにした結果、価格は従来商品に比べ3割減となっています。

本システムは、建物の消費エネルギーの1/4から1/6を占める照明電力を無理なく削減することができます。加えて、夏季には、照明電力の削減により照明器具からの発熱量が減少するため、冷房負荷の低減につながるなど、ピーク電力の抑制にも有効です。


なお現在、グラデーションブラインドは、立川ブラインド工業(株)、トーソー(株)、および(株)ニチベイが製造、販売を行っています。

グラデーションブラインド

グラデーションブラインド

オフィスへの取付例

オフィスへの取付例

色が変化する建材で、革新的な外装デザイン

見る角度によって色が変わるカラーシフト建材「カラーシフトタイル打込みPC板」を高山製陶(株)、(株)エスシー・プレコンと共同で開発しました。

カラーシフトとは、光干渉を利用して反射光の色調を制御する技術です。2000年代後半、建物の外装にガラスファサードの採用が広がるに伴い、光輝性塗料(メタリック塗装など)を使用するケースが増えています。しかし、現状の光輝性塗料は、ツヤを低く抑えた状態で使用しており、その反射特性を積極的に活用するまでには至っていません。

本建材は、タイル表面を帆型形状に成型したラスタータイルをPC板に打ち込んだもので、見る角度や日の当たり方によって色調が変化します。表面を帆型形状にすることで反射ムラを抑えると同時に、同一平面上での色調の制御を可能にしました。

カラーシフトタイル打込みPC板は、これまでにない多彩な表情を持つファサードを実現することができます。今後オフィスビル等の外装への適用を提案していきます。

カラーシフトタイル打込みPC板

カラーシフトタイル打込みPC板

構造・生産技術センター 名知グループ長

これまでラスタータイルは、外装に使うと色調が安定せず、ギラギラ感が出たり、PC板の製造過程から虹彩現象に悩まされたりと、非常に扱いが難しい素材でした。
今回、開発したカラーシフトタイル打込みPC板は、タイル表面を特別なスリット上に成型したことで、ギラギラ感や虹彩現象を同時に解決できました。タイル目地周りの納まりを工夫して汚れが付きにくくしています。
これまでにない新しい付加価値を持つファサードとして、自信を持ってお客様に提案していきたいと考えています。

構造・生産技術センター 名知グループ長

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