ページの先頭です。
ページ内移動用のメニューです。


このページは、シミズの+しごと+トップの中の東北地方太平洋沖地震関連技術レポートの中の火災被害の概要のページです。


ここから本文です。

火災の発生分布

今回の地震では、青森から静岡まで311件の火災が報告されている(総務省消防庁災害情報(第131報)2011年7月7日15時30分発表)。また、今回の地震に伴う火災は、地震の揺れに起因する火災と津波に起因する火災を分けて議論することが提唱されている。
太平洋岸に面した市町村で発生した火災を津波に起因する火災と見なし、その他の区市町村で発生した火災を地震に起因する火災と見なして集計すると、地震に起因する火災は134件、津波に起因する火災は177件となる。沿岸部の市町村でも、地震に起因する火災が発生していると考えられるため、数値そのものは今後の詳細調査によって変動する可能性があるが、大まかな傾向として、今回の地震では地震に起因する火災と同程度かそれを上回る割合で津波に起因する火災が発生していると言える。津波に起因する火災が数多く発生している点が、今回の地震における火災の大きな特徴の1つである。

計測震度の分布と区市町村別の火災発生件数
拡大表示

計測震度の分布と区市町村別の火災発生件数

火災の発生件数の推移

1995年兵庫県南部地震では、地震発生当日に206件(火災総数285件の約72%)の火災が発生している。これに対し今回の地震では、当日95件(火災総数311件の約31%)であり、4日目までの累積で248件の約80%となっている。2日目以降の件数が多いのは津波に起因する火災が多いことも影響していると考えられる。1995年兵庫県南部地震と比較した場合の発生傾向の相違点の1つであるといえる。

火災の発生件数の推移(1995年兵庫県南部地震との比較)
拡大表示

火災の発生件数の推移(1995年兵庫県南部地震との比較)

地震に起因する火災に対する、震度と出火率の傾向

地震に起因する火災に着目すると、震度が大きくなるに従って1万世帯あたり出火件数の比率は大きくなる傾向が見られる。特に震度5強と6弱の間で急激に値が大きくなっている。出火率の値自体は1995年兵庫県南部地震に比べて小さいものの、震度6弱以上では出火率が急増するという傾向から、揺れが大きい場合の出火危険性については、引き続き注意が必要である。

震度別に見た1万世帯あたり出火件数の傾向
拡大表示

震度別に見た1万世帯あたり出火件数の傾向

地震に起因する火災に対する、全壊率と出火率の関係

今回の火災では、1995年兵庫県南部地震と比べて全壊率と出火率(10万世帯当たり出火件数)の相関があまり見られない。左図において、兵庫県南部地震における各市区の数値と比べると、全壊率が小さい割には出火率が大きいものが見られる。さらに右図において、横軸の全壊率0〜2%の部分を拡大してみると、全壊率と出火率の間に1995年兵庫県南部地震のような相関は見られない。揺れに伴う収納物や非構造部材等の被害と出火要因との関連性については、今後さらに分析・考察を進めて行く必要がある。

建物全壊率と10万世帯あたり出火件数の比較
(左:1995年兵庫県南部地震との比較、右:左のグラフの点線部分の拡大図)

津波に起因する火災の傾向

津波を起因とする火災では、1993年北海道南西沖地震での奥尻島青苗地区の火災を上回る規模の大規模な延焼火災が各地で発生した。その中でも、避難箇所として指定されていた学校に火災が類焼し、避難者が建物外の別の施設等に再避難を余儀なくされた事例も発生した。

石巻市立門脇小学校の延焼状況(校庭の瓦礫は既に撤去されている。)

石巻市立門脇小学校の延焼状況(校庭の瓦礫は既に撤去されている。)

被害の要因と課題

地震に起因する火災に対しては、1995年兵庫県南部地震と比較して建物の構造被害やそれに伴う大規模な延焼拡大事例がほとんど見られなかったことにより、相対的に室内の揺れに伴う出火防止や初期の火災拡大防止が焦点となり、地震発生後の防火対策の機能維持が主な課題として浮かび上がった。また津波に起因する火災に対しては、大規模な津波の後に発生する火災に対して、人命安全を確保するという観点から、再避難のための安全対策の多重化、重層化が主な課題として整理された。

地震に起因する火災被害の2011年東北地方太平洋沖地震と1995年兵庫県南部地震との対比
拡大表示

地震に起因する火災被害の2011年東北地方太平洋沖地震と1995年兵庫県南部地震との対比

津波に起因する火災被害の主な特徴と課題(2011年東北地方太平洋沖地震)
拡大表示

津波に起因する火災被害の主な特徴と課題(2011年東北地方太平洋沖地震)

来るべき巨大地震に対する課題

来るべき巨大地震として、ここでは首都直下地震と、東海・東南海・南海3連動地震を取り上げる。
首都直下地震では、地震の強い揺れに起因する火災の発生と拡大が懸念される。損害を軽減するためには「被害の局所化」がポイントとなる。そのためには、地震後の防火対策の機能維持が重要となる。
東海・東南海・南海3連動地震に対しては、地震に起因する火災だけでなく、津波に起因する火災についても対策を考えておく必要がある。特に避難場所となる施設では、「対策の多重化・重層化」に留意し、建物内への避難者の受け入れだけでなく、再避難への対処も含めた対策を検討する必要がある。

来るべき巨大地震後の火災に対する課題(耐火建築物を対象とした場合)
拡大表示

来るべき巨大地震後の火災に対する課題(耐火建築物を対象とした場合)

今後の地震火災対策の検討に必要な技術

今回の地震を受けて、建物の地震後の機能維持への関心がさらに高まることが予想される。地震後の防火対策についても、単に部材・機器毎の耐震規定をクリアするだけに留まらず、建物や空間全体として、どの規模の地震を受けた後の火災に対して、人命や建物をどのように守るかという目的や目標を掲げた設計・検証が問われるようになるだろう。すなわち、目的指向・目標指向型のアプローチが、今後さらに重要になる。
上記のような関心が高まれば、目的や目標は、地震後に建物が担う役割や、建物の重要度によって千差万別なため、その建物の個別な条件を反映してわかりやすい形で結果を提示し、安全性を確認する体系や手法が、今後さらに重視される。
当社の予測技術(街区延焼・避難)は個別の地域や建物の特性を反映でき、対策の効果を目に見える形で示すことができる。今後積極的に展開し、その建物に相応しい対策の提案につなげていきたい。

今後の地震火災対策の設計検証に向けた目的指向・目標指向のアプローチのイメージ図
拡大表示

今後の地震火災対策の設計検証に向けた目的指向・目標指向のアプローチのイメージ図

東北地方太平洋沖地震関連技術レポート
  • 地震の概要
  • 津波
  • 地震動シミュレーション
  • 免震建物の効果
  • ピーク電力抑制/停電対策(マイクログリッド)
  • 生産施設の被災状況分析
  • 火災被害の概要
東北地方太平洋沖地震 報告書(地震の概要)
東北地方太平洋沖地震 報告書(免震建物の効果)
東北地方太平洋沖地震 報告書(ピーク電力抑制/停電対策)
東北地方太平洋沖地震 報告書(生産施設の被災状況分析)
東北地方太平洋沖地震 報告書(火災被害の概要)
東北地方太平洋沖地震への対応について

ページの先頭へ戻る

ここからフッターメニューです。

ページの終わりです。ページの先頭へ戻る