2025/06/17
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WHY(なぜ、取り組むのか)
原点に立ち返り、
進取の精神を育む
NOVAREの中心に位置する「旧渋沢邸」。
NOVAREの施設コンセプト「温故創新の森」には、「ふるきをたずね、あたらしきをつくる」というイノベーションに対する考え方が込められています。旧渋沢邸を通してものづくりの原点に立ち返り、それを踏まえて新しいものを生み出していくことが大切だ、と私たちは信じています。
HOW(どうやって、実現するのか)
「本物」を通じて、価値を伝える
写真:NARU建築写真事務所 中塚雅晴
かつて渋沢家が暮らした、歴史的建築。
取り壊しの危機から、青森へ。
旧渋沢邸は、1878年、東京府深川福住町(現:江東区永代)に清水建設の二代目店主、二代清水喜助により建てられた「表座敷」を母体とします。当時、二代喜助は幕末の世においていち早く洋風建築に取り組んだ存在として、その高い技量と先見性を世に知らしめていました。そして渋沢栄一翁も二代喜助の建築技術を高く評価し、邸宅の設計施工を依頼。子、孫、曽孫が4代に渡って暮らすこととなりました。
1908年には芝区三田綱町に移築、1947年には国に物納され、大蔵大臣公邸として活用されるなど、歴史的にも重要な建築として認められていました。しかし、老朽化に伴い、平成初期に取り壊しが検討される事態に陥ります。この危機を救ったのが、渋沢家の元秘書であった実業家・杉本行雄氏。同氏への払い下げが認められると、1991年、青森県上北郡六戸町に移築されました。
旧渋沢邸、江東区への帰還。
令和の移築工事を経て、NOVAREへ。
そして約30年後、清水建設が譲り受け、邸宅は再び江東区に戻ることとなります。2019年から開始した「令和の移築」に要した期間は約4年半。伝統的な大工技術で部材を修繕するなど、近年継承が危ぶまれる高度な職人技術が活かされています。
潮見への移築・復原が完了したのは、2023年。明治から昭和への近代建築の流れが集約され、和洋館並列型住宅として完成された姿を今に伝える貴重な建造物として、江東区指定有形文化財に指定されています。
振り返れば、表座敷の完成から約150年。その間、旧渋沢邸は、
WHAT-1
実物を見る
表座敷2階 客間
表座敷 黒柿の階段
2025年4月、一般公開がスタート
「旧渋沢邸」(江東区指定有形文化財「旧渋沢家住宅」)ならびに、当社歴史資料の展示施設「NOVARE Archives 清水建設歴史資料館」の一般公開が始まりました。2023年の移築工事後、見学については一部のお客様のみの限定公開とさせていただいておりましたが、より多くのみなさまにお披露目できることを嬉しく思います。
旧渋沢邸の見学は、原則毎週木曜(第3除く)。午前・午後に各1回、ガイドが邸内及び外周部をアテンドする約90分のツアー形式です。応募は抽選となりますのでご了承ください。詳細は下記からアクセスをお願いします。
WHAT-2
バーチャルツアーで見る
パソコン、スマホで。
バーチャルツアー公開中
興味はあるけれどまだ見学できていない方、一度見学したけれどもう一度見たい、という方のために、360度カメラで旧渋沢邸を体感いただけるバーチャルツアーがオープンしました。
ツアー内には合計13個のインフォメーションマークが設置されており、クリックすると詳細情報がご覧いただけます。
ぜひ一度アクセスしてみてください。
※バーチャルツアーの空間は、当社が開発した建物のデジタル取扱説明書「デジトリ360(Digi-Tori360) 」を応用して制作したものです。
WHAT-3
“奇跡の館”の物語を知る
百年名家 特別編 YouTubeにて公開中
2024年7月、新一万円札発行を記念して放送された百年名家「特別編」にて、旧渋沢邸が紹介されました。現在も特別編集版が清水建設YouTubeチャンネルで公開中です。3度の移築を乗り越え、現存する旧渋沢邸。多くの絆が繋いだ「奇跡の物語」をぜひご覧ください。
過去記事アーカイブ
NOVARE LETTERの過去記事はこちらからご覧いただけます。
特別対談 「未来を共創する力」前編
なぜ今、時代はオープンイノベーションを求めるのか-。新規事業家の守屋 実氏をお迎えした対談記事です。旧渋沢邸の自動火災検知放水システム「慈雨 」についてもお話ししています。