
一般公開中
未来への発見ミュージアムへようこそ!
発展する建設技術の歴史に焦点を当て、脈々と続くものを技術の視点から見極め、建設の文化として伝承していくことは極めて重要であり、建設業に携わる私たちの使命と考えます。
また、明日を担う若者たちに「ものづくりの心」を伝える場を提供することも大切なことと考え、建設技術歴史展示室を、2005年に開設しました。
ぜひ、建設技術の魅力を身近に感じていただければ幸いと思います。
清水建設株式会社
常務執行役員 技術研究所長
矢代 嘉郎

コンクリートの歴史は古く、紀元前には使用されていたことが発掘された遺跡調査などから確認されています。
ローマ帝国時代には、コンクリートは革新的な建設材料として使用され、ローマ帝国の発展に大いに貢献しました。
これまでに確認されている主な古代コンクリート
現在確認されている最古のコンクリートはイスラエルのイフタフで発見された今から約9000年前のものと言われています。さらに、ローマ帝国時代にはインフラを整備するために大量のコンクリートが使用されました。
| 時期 | 場所 | 主な用途 | セメントの種類 | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | BC7000頃 | イスラエル ガリラヤ地方の イフタフ |
床 | 石灰石をベースとしたセメント |
| 2 | BC3000頃 | 中国甘粛省 秦安県大地湾 地方 |
床 | 炭酸カルシウムと粘土を主成分とする岩石(りょうちょう石)を焼成して得られたセメント |
| 3 | BC2700頃 | エジプト | ピラミッド (石材間の充てん材) |
石こうを焼成したものとナイル川の粘土を 練り混ぜたもの |
| 4 | ギリシャ・ ローマ帝国時代 |
イタリア 他 | 構造物全般 (建物、インフラなど) |
気硬性石灰に水硬性を有する凝灰岩の 一種(ポッゾラーナ)を水と混ぜ固めたもの |
ローマ帝国時代のコンクリート − 建築史上の偉大な革新 −
約2000前に栄えたローマ帝国の大規模な建築活動を支えたのがコンクリート技術でした。コンクリートは石や木などと比べて安価で効率的に施工ができた上、耐久性にも優れていたので、各地に残る巨大な建物が当時の面影を伝えています。
材料:水で固まるコンクリートの発見
ローマ帝国以前は気硬性*石灰は固まるのに時間がかかりました。ところがローマ人は、紀元前2世紀頃にイタリアのポッツォリ近郊の火山性堆積物(ポッツォラーナ)などを使用することにより、水を混ぜるとすぐに固まる(水硬性**)コンクリートを発見しました。
*気硬性:乾燥により硬化するもの
**水硬性:水との化学的な反応により硬化するもの

ポンペイ遺跡(イタリア ナポリ地方)
後ろに見えるのはヴェスビオ火山。79年のヴェスビィオ火山の噴火による火山灰や火山礫により町全体が埋まってしまいました。その後1748年(江戸時代)にナポリ王の意思で国家的事業として発掘がはじめられ、現在まで続けられていますが、今なお全体の5分の1強の面積が未発掘地として残されています。
構造:アーチ式工法の適用
ローマ人はコンクリートをアーチ式工法に適用し、梁と柱による構造では不可能であった大規模かつ多様な構造物を可能にしました。また、アーチの原理を応用したヴォールト天井が造られ、内部空間や室内照明に革新的な変化が生まれました。

コロッセウム(72〜82年)
長径188m、短径156m、高さ48.5mの巨大な楕円形状をしたこの建物は、ローマ人の好んだ見世物である剣闘士の戦いや猛獣同士の戦いを上演した円形闘技場の中でも最大のものであり、約5万人を収容できました。

パンテオン(118〜125年)
床面から天井頂部までの高さと円形をした内部空間の直径が等しく43.2mもあり、20世紀まで最大のドーム建築でした。巨大なドーム天井を支えるために、骨材を使い分けて軽量化が図られ、ドーム頂部のコンクリートの質量は基礎部分の約2/3になっています。
施工:オプス・カエメンティキウム工法の開発
【オプス・カエメンティキウム工法】
この工法により、強固で緻密な壁をつくることができ、ローマ帝国発展の起爆剤となりました。現在の埋設型枠工法、ポストパックドコンクリート工法に通ずるものがあります。

《モルタルを先に入れるので隙間が出来ないメリットがあった》
- 型枠として石やレンガを積み上げ、その間にモルタルを流し込む
- 凝灰岩、大理石、レンガ片などのか割石をモルタル上に敷き詰める
- 棒で突いて割石をモルタル内に押し込みコンクリートにする
- 再びモルタルを流し込む
【壁体構築法の変遷例】
壁体構築法の積み方や材料も時代とともに変遷していきました。

初期/不規則な継ぎはぎ積み
(オプス・インケルトゥム工法)

規則的な網目積み
(オプス・レティクラトゥム工法)

整然と層積みされた煉瓦積み
(オプス・テスタケウム工法)
