
Works
開創1250年を迎えた紀三井寺は、山上の境内に続く計231段の急峻な石段が結縁や厄除にご利益があるとされる。高齢の参詣者への対応や津波時の避難場所といった課題の解消のためにケーブルカー新設が計画された。 楼門脇に計画した山麓駅は、隣家が迫る限られたスペースでの施工に考慮し、屋根を小さな製材のみで構成する木造とした。また地域に根差す施設として、地元の職人が施工できる構法を採用しながら、地域産材である紀州材を採用した。 大屋根は、在来木造用に流通している製材を卍型に4段重ね、木質構造用ビスのみで緊結するシンプルなものとし、梁は紀三井寺の寺紋である「三つ盛り井桁」をモチーフとした木格子梁で構成した。紀三井寺での木造建築の歴史を踏まえながら新しい時代につながる現代木造建築として、経年変化を愛着と共に感じられる、表しの木に包まれた柔らかな駅舎空間を実現した。
- 竣工年
- 2022
- 主用途
- ケーブルカー停留場
- 延床面積
- 56.83m2
- 構造/規模
- S造一部木造・RC造/地上1階
- 受賞
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- 2022年度グッドデザイン賞
- ウッドデザイン賞2022 奨励賞(審査委員長賞)
- 第6回きのくに建築賞 審査員特別賞・きのくに県民賞
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田口 美沙
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南 博之