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HOTEL THE MITSUI KYOTO

計画地は1710年(宝永7年)に三井家の統括機関である「大元方(おおもとかた)」が設置され、250年にわたり本邸を構えていた三井家ゆかりの地である。明治中期に十代当主・三井高棟によって築かれた油小路邸は、高棟自らが設計に関与したとされ、文化芸術に精通した三井家の高い美意識が反映された邸宅建築であった。時は廻り、時代の要請に応える形で、三井不動産自らが運営するラグジュアリーホテルを提供するに至った。この地に刻まれた記憶、歴史的価値を丁寧に紐解き、当時も今も変わらない普遍的価値=日本人が持つ美意識そのものを世界に発信するホテルとしてこの地に蘇る事を目指した。
アプローチは油小路邸の文脈を踏襲し、京都らしい佇まいを残す油小路を表とした。歴史の重みを感じる梶井宮門をくぐり、前庭を介し、矩折りでアプローチする。当時の馬廻し動線を再構築したシークエンスがゲストを迎える。エントランスに入ると、重心が低いこの建物で唯一、2層の高さを持つロビーが中庭に向かって広がる。庭に面する大開口は全てを開け放つ事ができ、庭屋一如の世界観を体感できる。
雁行の奥には伝統建築による書院の間を中庭に面して設けた。かつて油小路邸の中心には奥書院、通称四季之間があり、格式高い伝統を保ちながらも、畳上の絨毯に洋家具を置く和洋折衷空間であった。当時のスケールを忠実に再現しながらも、現代建築と融和するディテールを加え、迎賓施設として再構築した。
ロビー、料飲、客室、全ては中庭との繋がりを起点にデザインを展開し、個性溢れるインテリアも同じ方向性を共有した。庭を内に取り込む事で空間の奥行きが深まり、庭の奥行きも深まる。ゲストを奥へ誘うシークエンスでは建築・ランドスケープ・インテリアが融合した隙の無いディテールが迎える。日本らしさとグローバルな感性を併せ持ち、伝統と先進性とが一つの世界観に包まれた唯一無二のホテルに昇華することを願っている。

竣工年
2020
主用途
ホテル(161室)
延床面積
19,025.52m2
構造/規模
S造一部SRC造・RC造・木造/地下1階・地上4階
マスターデザインアドバイザー
株式会社栗生総合計画事務所
インテリアデザイン
(客室・ロビー):ANDRÉ FU STUDIO
(SPA・レストラン):株式会社ストリックランド
ランドスケープデザイン
株式会社プレイスメディア

吉田 進一

末森 憲義

定久 岳大

稲毛 誠

柿澤 英之