
2026年2月24日
Vol.76 木づかいを考える ~国産広葉樹という選択肢~
国産木材の利用促進に向けた機運や取り組みが広がる中、東京木工場ではこれまで多くの杉材や桧材を用いた家具や造作材を手掛けてきました。
杉や桧は、戦後の日本各地で植林され、日本の高度経済成長を支えてきた木材です。植林から約半世紀を経て建材としての価値を高め、伐期を迎えた木材として多くの現場で活用されています。
一方で、日本の山に古くから自生するナラ、クリ、ブナといった広葉樹は、人の手によって育成されることがほとんどありませんでした。そのため、建材や家具材としての国産広葉樹の選択肢は非常に少なく、現状では海外からの輸入に大きく依存しています。
近年、熊が人里に現れて人的被害が出ているというニュースが報じられましたが、これは熊の主食であるドングリなどの広葉樹の実の凶作が大きな原因の一つとされています。本来、人が植林した針葉樹の森には、多種多様な広葉樹が生い茂り、生き物たちの生態系に寄り添う豊かな森が広がっていました。今後、野生動物との共存を考える上で、広葉樹の森の重要性はますます高まっていくと考えられます。
このような背景から、広葉樹の魅力を発信し、国産広葉樹を用いた家具や建材の普及を推進することで、広葉樹の森がさらに広がり、健全な森の循環が進むことを期待しています。
植林され、管理が行き届いた針葉樹の山
飛騨市に広がる豊かな広葉樹の森
この度、東京木工場では、建替えを機に、来客棟の打ち合わせスペースに国産広葉樹製のテーブルや椅子を採用しました。これらの家具は岐阜県飛騨市産のミズナラ材を使用しています。飛騨市は、市域面積の9割を森林が占め、そのうち民有林の約7割が広葉樹林という特徴を持つ地域です。
また、同市は2014年より「広葉樹のまちづくり」という取り組みを開始し、広葉樹の価値を高める循環型の独自の活動を展開しています。この取り組みの一環として製作された家具を、展示も兼ねて設置しています。国産広葉樹がもつ木の温もりを感じながら、お客様との打ち合わせや、従業員のランチスペースとして、その魅力を実感していただける空間です。
テーブルの天板は、広葉樹の特性を最大限に活かして製作されています。 節や心材(色の濃い部分)・辺材(色の薄い部分)の色合いをそのまま生かし、木材を余すことなく使用しています。
家具製作会社から
飛騨産業株式会社 コントラクト事業部
関
谷
諒
さん

岐阜県高山市にある家具メーカーの飛騨産業です。中部山岳に囲まれた自然豊かな土地で、大正9年から家具づくりを行っています。無垢の家具を得意とし、創業当初から広葉樹を使い続けています。
エネルギー変革により、人々の暮らしと里山とのつながりが薄れはじめ80年程経ちました。ゆっくりとした成長の国産広葉樹は曲がりや小径木が多く、使用できる部分が限られ、節や黒い筋状の模様、白身や赤身などさまざまな表情が現れます。多くの広葉樹が薪やチップになる現状において、木の価値を少しでも高めるために飛騨産業では家具として活用を行っています。
座り心地やデザインと合わせて、そこに現れている表情やぬくもりを感じていただき、少しでも国産広葉樹の魅力を楽しんでいただけたら嬉しく思います。
HPはこちらから。
