木の可能性を探る

木の可能性を探る Vol.74 歌舞伎座舞台の内側を覗く

2023年4月21日

Vol.74  歌舞伎座舞台の内側を覗く

東京木工場第四工場の2階に展示されている歌舞伎座舞台の一部は、実際にお客様に納品したものと同等のものです。

客席からは隠れている歌舞伎座舞台の内側について、工事を担当した佐野さんにお話を聞きました。

歌舞伎座舞台の内側を覗く

東京木工場 施工グループ
佐野 靖紘さん

東京木工場施工グループ 佐野 靖紘さん

東京木工場に展示されている歌舞伎座舞台の一部は、第五期歌舞伎座に納められているものと同等のものです。

能や日本舞踊の舞台では、表面の部材に「木裏」と呼ばれる丸太の心材に近い面を使用しますが、歌舞伎座の舞台では、「木表」と呼ばれる木の表面に近い面を使用しています。「木表」は「木裏」よりも反りが出やすいのが特徴ですが、役者さんは舞台に直接立って演じるよりも、大道具の上で演じることが多いため、木目が美しいという美観的な理由を重視しています。

本工事の成功への鍵は、綿密なスケジュール管理を行うことでした。歌舞伎座の舞台は檜の無垢材を大量に使用するため、檜を伐採する時期、檜を乾燥させる期間などを全て逆算してスケジュールを組む必要があったためです。現場でも腕利きの大工さんを集めて効率よく手分けして作業ができるよう、何度か工程を組み直すことがありました。

歌舞伎座に足を運んでいただくと舞台の表面をご覧いただけますが、舞台の下地となっている部分はなかなか目にする機会がありません。東京木工場に展示しているものは舞台の断面の一部となっていますので、下地や木材の組み方など、細部までをぜひご覧ください。

歌舞伎座舞台の断面。さまざまな太さの部材が組み合わさっていることがわかる
歌舞伎座舞台の断面。さまざまな太さの部材が組み合わさっていることがわかる