木の可能性を探る

木の可能性を探る Vol.70 東京木工場の中に展示スペースを新設

2022年2月××日

Vol.70  東京木工場の中に展示スペースを新設

東京木工場第四工場の2階に、新たに「東京木工場が携わった仕事」の展示スペースを設けました。今まで、東京木工場の見学にご来場いただいた際には、製作中の製品と図面などで製品をご紹介してまいりましたが、新しく設けた展示スペースには、実際に納品したものと同等の完成品を展示しています。ご来場いただいた際には、ぜひ、実物大の完成品に触れ、東京木工場のものづくりに対するこだわりと品質をご体感ください。

今回、リニューアルを担当した池之上主任に展示スペースの見どころやこだわりのポイントを聞きました。

東京木工場を「体験」していただきたい

東京木工場 製作グループ
主任 池之上 拓也さん

東京木工場製作グループ 池之上 拓也さん

製作物は現場におさめてしまえば、裏面や脇などは隠れてしまい表面からしか見ることができません。東京木工場にそのままの大きさで展示し、断面や中の様子を見られるようにすることで、「木」を感じていただきたいと考えました。

東京木工場の見学コースでは、まず製作過程をご覧いただき、工場内でどのように作られているかを見学した後、この展示スペースにおみえいただくことにしました。こうすることで、実際に製品となる過程を実感していただけるのではないでしょうか。

しかし、見学の時間内だけでは、詳細までは説明しきれず、内容も限られてしまいます。そのため、今回から一つひとつの模型の前に説明用のパネルを設置しました。説明文とともに写真を載せることで、建築に詳しくない方にもより深く理解していただけるように工夫を凝らしています。

また、展示スペースは見学者向けのスペースであるとともに、先輩方の技術を見て学ぶ、教育の場にもなればと考えています。完成品だけでなく、あえて不具合の残るものも展示することによって、製作する側の今後の勉強にも繋がります。

私は、国産のスギを使った竣工記念家具を一から製作しました。スギは柔らかいため、家具には不向きであり、それを製品としてどのように加工するかという難しい課題がありました。家具として使いやすく、強度が増すよう表面の塗装も拘り、やっと製品化できたという思い入れのあるものです。ぜひ、工場内で挽板を貼り合わせる作業からご覧いただき、展示スペースで実物に触れていただければと思います。

手前が竣工記念ベンチ、奥が国産のスギ材を使用した竣工記念家具の棚(濃藍)
手前が竣工記念ベンチ、奥が国産のスギ材を使用した竣工記念家具の棚(濃藍)
歌舞伎座の舞台のモックアップ。脇から舞台の構造を見ることができる
歌舞伎座の舞台のモックアップ。脇から舞台の構造を見ることができる
姫小松材の美しい木目が転写された国立西洋美術館の丸柱を型枠から再現
姫小松材の美しい木目が転写された国立西洋美術館の丸柱を型枠から再現