
2020年3月19日
Vol.67 木づかいを考える ~東京海上日動西落合研修所新築工事にあたり~
日本は世界でも有数の森林国です。木材を使うことは「伐って、使って、植えて、育てる」という森の持続的サイクルの一部です。
二酸化炭素(CO2)の吸収や国土を災害から守るといった森林の持つ多くの働きを発揮させるためにも、木材を使って森を育てることは大切なことです。現在日本の木材自給率は4割程度です。木を伐って使うとともに植えて育てることを進めていくことで、未来につながる森林の持続的なサイクルが保たれます。
今回、これから先の様々な使用方法を検討する上で国産材を多用した案件を紹介させていただきます。
設計者から
設計者:株式会社三菱地所設計 菅波哲也、森本順子
都心近郊の住宅地エリアに位置する、損害保険会社の宿泊付き研修施設です。
研修生間の自然なコミュニケーションが誘発されるよう、研修室を取り巻くホワイエは、空間プロポーションや開口部、家具や照明が変化しながら、回遊性を持ちヒューマンスケールなシークエンスの連続として計画されており、さらに外装の熱処理木材ルーバー、CLT構造の中門ゲート、国産樹種を多用したインテリア、CLTパネルによる3次元の家具など、多様なアプローチから国産の“木”を使用しています。
東京海上日動西落合研修所新築工事
(施設名称:TOKIO MARINE Career Development Center)
木施工部位
- 外装化粧ルーバー
- 外構アプローチ
- 1Fエントランス・ホワイエ
- 2Fホワイエ
- 3F食堂
- 階段
木施工部位
- 外装化粧ルーバー
- 外構アプローチ
- 1Fエントランス・ホワイエ
- 2Fホワイエ
- 3F食堂
- 階段





外壁 本実浮造り加工 型枠


















階段


3F 食堂
木材を使うことは、森林とつながっています
日本は国土の約3分の2を森林が占める、世界でも有数の森林国。その森林の約4割は人が木を植えて育てた人工林です。現在、戦後に造林された多くの人工林が、本格的な利用期を迎えており、資源量は年々増加していますが、木材の利用は十分に進んでいないのが現状です。
木材を使うことは、「伐って、使って、植えて、育てる」という人工林のサイクルの一部。二酸化炭素(CO2)の吸収や国土を災害から守るといった森林の持つ多くの働きを発揮させるためにも、木材を使って森を育てることは大切なことです。人工林を伐って使うとともに、植えて育てることを進めていくことで、未来につながる森林の持続的なサイクルが保たれます。
木材を使うことは、環境にも、暮らしにも、いいことがあります
木は二酸化炭素(CO2)を吸収し酸素(O2)を放出して、炭素(C)を体内に蓄え、成長します。その木を木製品や住宅として利用すると、その間は、二酸化炭素を放出することなく蓄え続けます。そして、伐採した跡地にまた、適切に木を植えることで、その木また二酸化炭素(CO2)を吸収し成長していくという、森林のサイクルが保たれ、地球温暖化の防止にもつながっているのです。
木材を使うことは、「伐って、使って、植えて、育てる」という人工林のサイクルの一部。二酸化炭素(CO2)木材を使うことは、私たちの暮らしにもよいことがあります。床材に利用した際の衝撃緩和作用や、室内の湿度を調節する効果、そして香りによるリラックス効果など、木材には色々な働きがあります。木材の良さを経験的に感じている人は多いかも知れません。最近では、血圧が下がる、といった計測データに基づいた、リラックス状態の評価なども進んできています。