木の可能性を探る

木の可能性を探る Vol.58 東京木工場 お客様の声(2)日本工業倶楽部会館

2017年2月17日

Vol.58  東京木工場 お客様の声(2)日本工業倶楽部会館

歴史ある建物に息づく木の存在感。それは先人からのかけがえのない贈り物。東京木工場はそんな木の力を信じて、お客様の未来を紡いでいきます。今回は、一般社団法人日本工業倶楽部の福島様からお話を伺いました。

"社交場"の機能を維持しつつ、
歴史的な建造物として遺すために

一般社団法人日本工業倶楽部 常任理事 福島晃様

一般社団法人日本工業倶楽部 常任理事 福島晃様
撮影:依田佳子

写真を見ながら、創建当時の姿を再現

1999(平成11)年頃に老朽化などを理由に建て替えの話が持ち上がり、「日本工業倶楽部会館歴史検討委員会」が発足しました。タワーを建てることはすでに決まっていましたから、当初は近代的なビルにしようという意見もあったんです。

でも、1920(大正9)年の竣工から80年近い歴史を持つ建物のすべてを無にしてしまうのは惜しいということで、主要施設である大会堂と大食堂(現在の大ホール)は、できる限り創建当時の形で保存する。一方、玄関から3階までの大階段、ロビーについては内装材を保存活用し、内部空間を再現することにしたのです。

東京木工場さんには、1階から3階の木の部分はできるだけ既存のものを活用していただきました。大会堂や大ホールの天井は漆喰が塗られていて、木の部分は見ることができないのですが、そういう部分もていねいに仕上げていただいた。天井のカーブを出すのは、とても大変だったと聞いています。

なかでも私が好きなのは、創建当時の姿を再現した2階のバー&ラウンジです。写真を見ながらの作業でしたが、木の雰囲気が生きた空間になったと感じています。木のある空間は、座っていても落ち着きます。歴史ある倶楽部にふさわしい建物ができたと思います。

創建当時の姿を再現した大ホール。美しいカーブを描いた天井は、木材の上に漆喰装飾を施している。(撮影:依田佳子)
創建当時の姿を再現した大ホール。美しいカーブを描いた天井は、木材の上に漆喰装飾を施している。(撮影:依田佳子)
1920(大正9)年の竣工当時の大食堂(現在の大ホール)
1920(大正9)年の竣工当時の大食堂(現在の大ホール)
2階のバー&ラウンジ
2階のバー&ラウンジ

日本工業倶楽部会館

日本工業倶楽部会館

概要

  • 所在地:東京都千代田区丸の内1-4-6
  • 竣工:2003年2月
  • ラウンジ、大会堂、大ホール、来賓室ほか