木の可能性を探る

木の可能性を探る Vol.5 注目を集める木材とその特徴

2011年7月15日

Vol.5  注目を集める木材とその特徴

建築に木を使いたい、というニーズはますます高まってきています。そこで、注目を集めている木材について、その歴史や現状、特徴などを紹介します。

今回紹介する木材の主な分布

今回紹介する木材の主な分布ブビンガチークマホガニーウォールナットマホガニー

ウォールナット[クルミ科・広葉樹]

古くから世界中で人気がある

ウォールナットは世界中で人気があり、古くから需要がある木材です。主に高級な造作材(天井や床、棚、階段などの建築内部の仕上げ材)や高級家具に用いられ、しっとりとした落ちつきのある木目は、室内に暖かさやソフトな雰囲気を与えます。石材やコンクリート材などを建築に用いる欧米諸国では、内装材に多用されてきました。日本に主に輸入されているのは、カナダとアメリカ東北部に位置するアパラチア山脈一帯から、アメリカ中西部にかけて自生しているもの(アパラチア山脈は映画『風と共に去りぬ』で有名な南北戦争の主戦場であった場所)です。

ウォールナット
ウォールナット

近年では大径木が少なくなった

くるみの仲間であるウォールナットは、実を食べるために栽培されてきた歴史があり、多くの品種が存在します。幹に鉄分を入れると、早くおいしい実が採れるということから、鉄砲やピストルの射撃練習の的にしたという話もあり、製材すると中から弾が出てくることもあったそうです。また、木そのものは日陰づくりに役立ち、その実は牧場や農家の食糧源になるので、過去には植林も盛んに行われました。

以前は、樹齢150年から300年のものが多く存在しましたが、近年ではそうした大径木は少なくなり、板巾の小さいものしか採れなくなっています。

東京木工場 職人からのワンポイント情報

ウォールナットは、その木目や色合いの美しさから、清水建設 東京木工場ではオフィスビル(社長室や役員室、応接室など)や商業施設の店舗などに使用することが多い木材です。最近では、トイレブースや化粧台などにも、ウォールナットの単板を使用する機会が増えています。

マホガニー[センダン科・広葉樹]

現在ではアフリカ産が主流

マホガニーは、コートジボアールやガボンなど中部アフリカ、西アフリカに多く分布しています。第二次世界大戦後、伐り出されるようになった木材で、ヨーロッパ各国では高級家具材として使用されてきました。中央アメリカのホンジュラス産が主流でしたが、最近は数が大変少なくなり、アフリカ産が主流となっています。このため、現在、ホンジュラス産のマホガニーは「ジェニュイン(正真正銘の、本物の)・マホガニー」と呼ばれ、貴重な木材として扱われています。

マホガニー
マホガニー

千本に一本あるかどうかの一品も

木材としての特徴は、木肌があめ色でクラシックな落ち着きがあり、高級感を持っていること。中でも、まゆ玉を並べたような木目で、玉虫色がかった色を持つものは「玉もく」と呼ばれ、千本に一本あるかないかの貴重品、入手は大変困難です。

東京木工場 職人からのワンポイント情報

マホガニーは、欧米では猫足テーブルや椅子などに多く使われています。クラシックで、高級感があるため、羽目板(壁面に板を連続して張ったもの)や造作材、建具として主に使用されます。東京木工場では、役員室や応接室、ホテルのラウンジなどの高級造作、高級建具に用いた実績があります。

ブビンガ[マメ科・広葉樹]

熱帯樹林の大木、現地名はケバジンゴ

ブビンガは、西アフリカのガボンやカメルーンなどの中部アフリカに分布しています。60年ほど前から伐採され始めた木材で、現地では「ケバジンゴ」と呼ばれています。常夏の熱帯樹林で成育するため、幹の直径が2mから4m、高さは30mから60m、一本の重さは約17t もある大木です。

ブヒンカ
ブビンガ

高級家具材として珍重される

「アフリカ紫檀(したん)」という別名もあり、高級家具材や壁材として珍重されています。なお、紫檀は、黒檀(こくたん)、鉄刀木(たがやさん)とともに、三代唐木(中国から日本に入ってきた木)と呼ばれる銘木。古くから家具や仏壇、仏具、室内装飾、楽器などの工芸材料として使用されています。

東京木工場 職人からのワンポイント情報

ブビンガは、木目の乱れのおもしろさが珍重されている木材。そのことから、最近では、高級ホテルの客室のテーブルなどにも使われ、高級家具材として注目されています。東京木工場では、マホガニーと同様に、壁の羽目板として用いることが多い木材です。

チーク[クマツヅラ科・広葉樹]

タイやミャンマーの北部高原産が高品質

チークは、東南アジアのほか、台湾やアフリカでも採れる木材です。質のいいものは、タイやミャンマーの北部高原地方に限定されます。木材としての特徴は、高い耐久性を持ち、収縮が小さく、狂いも少ないことなど。こうした性質から、造作材や装飾家具に多く使われています。また、表面に黒い縞模様があるのも特徴の一つ。この縞を嫌う人もいますが、経年変化で縞は薄くなっていきます。

チーク
チーク

船の甲板材としても使用

また、チークは油分が多く水に強いため、船の甲板材としても使用されてきました。木肌は明るく、木目にはクセがなく、「飽きがこない」とあって、貴族の邸宅や豪華ヨットにも使われています。

東京木工場 職人からのワンポイント情報

チークは年月を経るほどに褐色がとび、明るい色になります。最近では、ロビーの床フローリングにもよく使われるようになりました。一番のおすすめは、壁の羽目板としての使用。明るく落ち着いた室内を作り出します。

木材には流行があります!

使用される木材には、時代ごとに流行があり、その一方で、いつの時代も人気がある木材もあります。

昭和40年代~50年代は、ウォールナットチークローズウッドが多く使われていました。その後、バブル時代は、バーズアイメープル、バブル後はナラのステインクリア仕上げ(緑色やグレーが少し入ったもの)がはやりました。

現在は、左記本文で紹介した4つの木材のほかにも、ウェンジ(マメ科の広葉樹)、アメリカンチェリー(バラ科サクラ属の広葉樹)、シカモア(カエデ科の落葉広葉樹)、シルバーハート(アカテツ科の広葉樹)、オーク(日本ではナラ)などが注目を集めています。

東京木工場が保管する
単板は種類が豊富!

“IPEC優秀賞テーブル”のその後

東京木工場では、主に内装や家具の化粧用として使用する単板を多数保管しています。

今回本文で紹介した4つの木材の単板はもちろん、日本産ではヒノキスギケヤキナラタモなど、外国産ではローズウッドサペリカリンなど、その種類も数もとても豊富です。

保存されている単板
保存されている単板

単板による仕上げは、反りや収縮など狂いが少ないのが最大の長所。また、ムク材には高値で取引されるものもあるので、単板を使うことで、コストを抑えながら各木材の木目や色合いを取り入れることができます。

こうしたことから、お客様からのニーズも時代や流行に関係なく常に一定数あり、東京木工場ではこれに応えるべく、熟練の職人が単板の検収と選別、台板への貼付などを行い、正確で美しい仕上げを目指しています。

1つひとつ手作業で貼付け
1つひとつ手作業で貼付け