木の可能性を探る

木の可能性を探る Vol.12 安全と品質向上を祈念する伝統儀式を永く伝える

2012年3月5日

Vol.12 安全と品質向上を祈念する伝統儀式を永く伝える

清水建設 東京木工場では、毎年1月4日、新年拝賀式において、協力業者の会である清木会とともに、東京木工場の伝統的な儀式「検尺式」を行っています。

検尺式は検尺の儀とも呼ばれ、一年の初めに検尺棒※1をつくり、祀ることで、その年の安全と品質向上を祈念するもの。40年以上前には、東京木工場の裏手にある川から原木を引き上げ、製材機を始動し、検尺棒をつくっていました。

この儀式は、長い年月を経て少しずつ簡略化されていきました。東京木工場では、昭和44年以降は予め製材された検尺棒を使い、神事化に近づけて式典の形式をとるようになりました。現在の検尺式では、検尺棒(桧材)に鉋仕上げと墨掛け※2を行い、最後に水引を掛け、末広(扇)を取り付けて、検尺棒を祀ります。

昭和45年検尺式の様子
昭和45年検尺式の様子

東京木工場では匠の技の継承に加え、こうした伝統的な儀式を通して、匠の心を未来へ伝えていくこともまた、大切な使命のひとつと位置づけています。

※1 検尺棒とは、材料の長さや掘削孔などの深さを確認、測定するための道具

※2 墨掛けとは、墨つぼや墨さしを用いて、木材などに線を引いたり、印などをつけること

2012年1月4日の拝賀式
2012年1月4日の拝賀式
鉋掛け
鉋掛け
墨掛け
墨掛け
水引掛け(末広取り付け)
水引掛け(末広取り付け)
検尺棒
検尺棒

検尺式で使用した道具

検尺式で使用した道具
  • (1) 差し金/ L字型の物差し。直角に線を引く道具。
  • (2) 墨さし/墨つぼから墨を取り木材に印や文字を書く道具。
  • (3) 墨つぼ/つぼの部分に墨を含んだ綿が入っており、車に巻かれた糸を張って弾くことで材に真っ直ぐな線を打つ道具。

初午祭で商売繁盛、災難除けを祈願

去る2012年2月8日には、初午祭を行い、東京木工場の事務所屋上で、兼喜稲荷大明神に商売繁盛、災難除けを祈願しました。

初午とは、2月最初の午の日のこと。京都の伏見稲荷大社の神が降りた日がこの日であったとされることから、初午祭として全国で稲荷社を祭る日になっています。この祭は古くから、農家は五穀豊穣、商家は商売繁盛の御利益があるとされ、現在では長寿や無病息災、子孫繁栄なども含め、あらゆる祈願の対象となっています。

ちなみに、今回の東京木工場での初午祭では、傷んでいた真紅の幟(のぼり)を、北海道旭川市にある水野染工場で新調し、奉納しました。

初午祭で商売繁盛、災難除けを祈願
去る2012年2月8日には、初午祭を行い、東京木工場の事務所屋上で、兼喜稲荷大明神に商売繁盛、災難除けを祈願しました。