医療施設のためのSHIMZ Solution

激甚化する豪雨災害、これまでの対策で大丈夫? 医療継続を実現する、実効性の高い “水害タイムライン防災計画” とは 激甚化する豪雨災害 これまでの対策で大丈夫? 医療継続を実現する、実効性の高い “水害タイムライン防災計画” とは

「災害時の医療継続について」 よくあるご質問

  • Q1

    MCPとは何ですか?

    A

    Medical Continuity Planの略で、災害時の医療継続計画を指します

    災害などの緊急事態が発生した際、損害を最小限に抑え事業の継続や早期復旧を図るための業務継続計画をBCP(Business Continuity Plan)と言いますが、MCP(Medical Continuity Plan)は、特に医療機関における災害時の医療継続計画を指します。医療施設では災害時に被災者が集中し、平時よりも医療ニーズが急増します。自院の被災やインフラ途絶などの状況においても、入院患者へのケアに加え、殺到する被災患者に災害医療を提供する必要があり、一般的なBCPより高度なMCPの策定が必須です。

  • Q2

    今まで浸水被害に遭ったことはありませんが、本当に対策が必要でしょうか?

    A

    豪雨災害の激甚化により、これまでの備えや判断基準の見直しが必要になっています

    近年地球温暖化が進み、台風や線状降水帯がもたらす豪雨による浸水被害が各地で起きています。降水量80mm/時以上や300mm/日以上の強い雨の頻度は、1980年頃と比較すると約2倍に増加しています。これまで雨による災害がなかったところでも実際に浸水被害が発生しており、ハザードマップで浸水域にある施設はいつ浸水被害に遭ってもおかしくありません。「ここまで水が来たことはない」「大雨でこれまで崖崩れが起きたことはない」などと過信せずに、あらゆる災害を想定したMCPを策定しておくことが必要です。

  • Q3

    水害を対象としたMCPは、地震時のものと何が違うのですか?

    A

    地震は突然発生しますが、水害は事前に情報を取得して活用することが可能です

    水害は地震とは異なり、気象予測などを活用することで災害発生までの時間を有効に使って事前の準備行動が可能です。そして、その準備行動を確実に実施するために策定するのが「水害タイムライン防災計画」です。このタイムラインによって、施設への浸水を食い止め、院内の医療継続を確実に実施することはもちろん、建物が浸水することによる建築や設備、高額な医療機器などへの被害を防止し、浸水による長期休業など、大きな損失も防ぐことができます

  • Q4

    水害タイムラインは自分たちで作ることができますか?

    A

    病院関係者が先導して作成するものですが、専門家の知見が必要です

    災害時の医療継続計画は当該の病院職員が中心に作るものです。しかし病院建築、河川工学などの知見がそこに加わらなければ、本当に使えるタイムラインにはなりません。必要となるのは、以下の3つです。

    1. ① 想定される浸水の深さに対して、建物や設備の失われる機能を明確にすること
    2. ② 災害に備えた防災行動業務をもれなく洗い出し、スムーズな業務連携を構築すること
    3. ③ 安全かつ高い確証をもって防災行動を実施できる、トリガー情報を設定すること

    これらは病院職員だけで策定することは難しく、病院建築やBCP策定、気象・河川工学などの専門家の知見や経験を盛り込む必要があります。

  • Q5

    災害時は院内が混乱し、院内の情報収集がうまくいきません

    A

    デジタル技術を活用すれば、院内の情報が瞬時に過不足なく集約できます

    デジタル技術の活用は、災害時の院内情報を災害対策本部で、リアルタイムに過不足なく把握することを可能とします。これにより、災害時の限られたリソース(人員、物品など)の配分や患者受け入れ方針などについて、災害対策本部で迅速な判断をすることができます。さらに、院内の情報取集に要する人員や手間の効率化にもつながるため、限られた人員リソースを災害医療活動に注力させることができるようになるのです。

タイムラインデジタル
災害対策が変わる

水害タイムライン防災計画の策定から運用まで
フルパッケージでご提供します

清水建設では、病院の建物・設備や、立地に応じた気象・河川などの特性を読み解き、専門家の目線で水害リスクを診断。院内での医療活動に配慮した防災行動の整理などをサポートすることで、それぞれの病院に即した実効性の高い水害タイムラインの策定を支援します。

さらに、災害時に必要な院内情報を一元化し、リアルタイムに共有できるデジタルシステム「MCP支援システム」により、災害対策本部の迅速で的確な判断が可能となり、医療活動のパフォーマンス向上に貢献します。

災害時医療継続のための
コンサルティング

清水建設のMCPソリューション

5つのSTEPで医療継続を支援

清水建設のMCP(Medical Continuity Plan)ソリューションでは、まずは医療施設ごとに適したタイムラインを策定し(STEP1~3)、段階に沿ってその実効性を高めていきます(STEP4、5)。万全の対策と備えで、いざという時の医療継続を支援します。

  1. step1

    建物・設備の浸水リスクを把握

    浸水によって損失する機能を専門家の目で確認

    立地条件や建築・設備の計画などを踏まえ、浸水リスクを把握します。例えば非常用発電機が、想定される浸水深より上層の階に設置されていても、稼働に必要な燃料タンクや発電機に燃料を供給するポンプが水没する危険の高い場所にあれば電源が喪失してしまいます。病院の建築や設備に詳しい専門家の目を通して、リスクを正確に見抜いていきます。

  2. step2

    防災行動業務を時系列で洗い出し

    「誰が」「いつ」「何をする」かを漏れなく整理

    防災行動業務とは、災害の危機が迫った際に、各部門・部署が業務の一環として取るべき行動です。対策準備の段階では、看護師長による連絡方法の確認や看護部スタッフによる防災備品の点検などがあげられます。「STEP1」で把握した浸水リスクを踏まえたうえで非常時の業務フローを定め、それを基に防災行動業務を漏れなく洗い出していきます。

  3. step3

    防災活動を開始する
    実施判断基準(トリガー)を設定

    立地環境に応じた科学的な情報を選定

    災害時医療継続計画(MCP)の一環として水害タイムライン防災計画を作成する際は、時間の経過に従って「対策準備」「対策開始」「対策本部立ち上げ」「最終確認」「応急対応」などのステージを定めます。各ステージにおいて負荷の大きな業務やサプライヤーの負担を伴う業務は、確度の高い情報に基づき、立地特性に応じた確実な実施が必要です。気象や河川に関する科学的な知見を活かし、立地特性に応じたトリガーを設定し、ステージ移行の適否を判断する基準とします。

    水害タイムライン防災計画

    STEP1~3では、まず水害タイムライン防災計画を作成します。その実効性を高めるには、さらに次のステップへ進みます。

  4. step4

    医療継続に必要な情報を
    可視化・共有

    デジタル技術を活用し、リアルタイムに情報を取得

    水害タイムライン防災計画の実効性をより高めるために、「MCP支援システム」を活用します。このシステムは、災害対策本部をはじめとして、災害時の活動に関わる院内スタッフが医療提供に必要な情報を可視化・共有するものです。その情報とは、タイムラインに沿った防災活動業務と進捗状況、病院スタッフの安否確認・参集情報、救急患者数と対応にあたるスタッフ・医療機器の使用可能情報、医薬品や診療材料をはじめとした医療資材の充足度などです。災害対策本部としてこれらの情報を一元化し、関係部門間に共有することで、医療の継続を図ります。

  5. step5

    防災訓練実施を支援し、
    水害タイムラインを評価、改善

    PDCAを回しながら実効性を向上

    水害タイムライン防災計画は作成することが目的ではありません。いざという時の災害現場で役立たせるためには、PDCAサイクルを回しながら、その実効性を高めていく過程が欠かせないのです。当社では策定したタイムラインに沿った、医療継続に特化した防災訓練を推奨。災害時医療継続計画(MCP)を評価・見直し、タイムラインの実効性を高めていきます。

防災訓練などで実行、評価、改善を
繰り返しながら
タイムラインをスパイラルアップ。
各医療施設に応じた実効性の高い
水害タイムライン防災計画
作りあげていきます。

CASE STUDY 導入事例

  1. 取組み事例1

    災害拠点病院のタイムライン策定を
    トータルサポート

    事例の画像 事例の画像

    熊本県人吉市の災害拠点病院、人吉医療センター(252床)は、日本三大急流の一つである球磨川の流域に立地しています。2020年7月には豪雨被害に見舞われたため、当社のサポートのもと、水害タイムライン防災計画の策定に着手しました。まずは浸水リスクを把握したうえで、20を超える部署から300以上の防災行動業務(タスク)を洗い出し、タイムラインを作成。トリガー(実施判断基準)の設定には京都大学で開発した高精度の水位予測技術「全国版RRIモデル」を活用しています。2022年5月にタイムラインに沿った防災訓練を初めて実施。同年9月に台風が襲来した際には、策定していた水害タイムライン防災計画が活用され、その効果が発揮されました。

  2. 取組み事例2

    災害時の医療継続にデジタル技術を活用

    事例の画像

    人吉医療センターでは水害タイムラインの策定に続き、2022年10月に防災訓練を実施。災害時の医療継続に必要な情報をリアルタイムに一元化・共有する「MCP支援システム」を活用し、水害タイムライン防災計画の実効性を向上させました。成果の一つは、報告・連絡の手間を省く一方で、院内の情報を正確に一元化できた点です。また、人員招集・配置の効率化・迅速化にもつながりました。例えば防災行動業務に必要な人員を招集するときには、このシステムを介して、対応要員が素早く確保されました。患者の搬送エリアに医師を配置するときには、患者の搬送状況と医療スタッフの活動状況をリアルタイムに把握し、適切な医師を迅速に配置することができ、システムの有効性が実証されました。

Solution Technology

独自に開発した支援システムで、
災害時に必要な情報を可視化

MCP支援システム

MCPソリューションのコンサルティングの一つとして、当社では水害タイムライン防災計画の実効性をより高める、MCP支援システムを提供しています。このシステムは災害対策本部をはじめ、災害時の活動に関わる院内スタッフが医療提供に必要な情報を可視化・共有するものです。タイムラインに沿った防災活動業務・進捗状況、病院スタッフの安否確認・参集情報、救急患者数と対応にあたるスタッフ・医療機器の使用可能情報、医薬品や診療材料をはじめとした医療資材の充足度などがリアルタイムで把握できます。災害対策本部で必要な情報の一元化・共有を図れるシステムです。

MCP支援システムが持つ3つの機能

  1. 1 準備タスク管理

  2. 2 患者・施設情報管理

  3. 3 救急患者対応管理

  • 準備タスク管理

    1 準備タスク管理

    院内スタッフへの防災行動業務の指示と進捗管理ができます。

  • 患者・施設情報管理

    2 患者・施設情報管理

    入院患者の状況把握や災害医療に備えた医療機器の管理ができます。

  • 救急患者対応管理

    3 救急患者対応管理

    受け入れ患者やトリアージスタッフの活動状況が管理できます。

全国版RRIモデル

全国版RRIモデルの活用で
科学的知見に基づくトリガーを設定

災害拠点病院などでは、発災後も医療を途切れなく提供することが求められます。そうした施設には確度の高いトリガー情報が欠かせません。全国版RRIモデルは、降雨予測の情報を基に日本全国の河川の水位や流量を6時間先まで高精度に予測するもので、京都大学が開発しました。「RRI」とは、「Rainfall(降雨)」「Runoff(流量)」「Inundation(氾濫)」の頭文字を意味しています。豪雨や台風に見舞われても医療継続を実現するための予測モデルとして期待されています。人吉医療センターで2022年10月に実施した防災訓練ではこの予測モデルを活用し、有効性を実証しています。

「RRIモデル」とは?Rainfall-Runoff-Inundation Modelの略で、降雨流出氾濫モデルを意味します。

RRIモデルによる洪水予測は、降雨の流出から身近な浸水の状況までを流域一体で解析します。土の中を流れる水や、川から溢れた水の動きなど、より現実的な水の流れを追跡して、制度の高い洪水予測を目指します。

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