TDテラス宇都宮
宇都宮市大通りに面して建つ生保・銀行業界初の中層木造オフィスの計画である。金融機関として地方創生や地域活性化に取り組むクライアントの要請に応え、地産地消に取り組んだ。「福島のカラマツで構え・栃木のスギで包む」「福島の工場でつくり・栃木の職人が組み上げる」「街に木の構えを魅せる」といったコンセプトを掲げ、社内外関係者の創意工夫により地域資源のポテンシャルを引き出している。


所在地 | 栃木県宇都宮市 |
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竣工年 | 2022年 |
建築主 | 第一生命保険株式会社・株式会社東邦銀行 |
主用途 | 事務所・銀行店舗 |
階数 | 地上4階・塔屋1階 |
主構造/耐火性能 | ハイブリッド木造 (木造+鉄筋コンクリート造)/耐火構造 |
延床面積 | 約2,400m2 |
木材使用量/CO2固定量 | 306m3(0.125m3/m2)/206t-CO2 |
「シミズ ハイウッド®」 木質ハイブリッド技術 |
・スリム耐火ウッド柱・梁(1時間耐火) ・ハイウッドスラブ |
施工会社 | 清水建設・渡辺建設共同事業体 |
建物を最適に木質化することを目指した木質ハイブリッド技術
木質ハイブリッド技術「シミズ ハイウッド」を活用し、構造体や内外装の仕上材として木材を採用。また、今後木質化が期待される都市型オフィス・商業施設に普及可能な計画として、林野庁補助事業「CLT活用建築物等実証事業」の採択を受けており、建築業界の技術革新及び木材産業の活性化にも寄与する取組みとなっている。



「スリム耐火ウッド®」と「ハイウッドスラブ®」で木の構えを魅せる
柱、間柱、梁には国土交通大臣認定を取得した「スリム耐火ウッド」を採用。高い耐火性能を確保しつつ耐火材料部の層厚を抑えることで、広々とした空間を実現した。床にはRCスラブの型枠兼化粧材とした剛性を向上させた合成床版「ハイウッドスラブ」を採用し、RCスラブで耐火性能を確保しながら、CLTで床の振動 ・遮音性能を補い、意匠性を高めた。



カーボンニュートラル・RE100の推進
構造体を主に306m3の木材を利用し、約206トンの二酸化炭素固定効果を得ている。合わせて、木造化により建物の軽量化を図ったことで、第一生命旧栃木支社ビルの地下躯体・杭を再活用することができ、施工時の二酸化炭素排出抑制および産業廃棄物の削減にも寄与した。本件で発生した端材を案内サインや手すり、木粉を混ぜた塗装に利活用している。


木の特性を活かした施設利用者のウェルビーイングを促進する新しいオフィス
大通り側に面した銀行店舗部分及び執務室部分は木そのものに包まれた空間となっており、施設利用者に対して、リラックス効果や生産性向上効果のある快適な居住空間をつくりだした。四方向の開口により光と風を採りこんだ木の空間と、木質バルコニーや階段利用を誘う共用部は、施設利用者のQOL向上や健康増進を図りつつ、多様化するワークスタイルの適応やコミュニケーションの活性化を目指した。




令和6年度木材利用推進コンクール(2024)/優秀賞 第21回宇都宮市まちなみ景観賞(2024)/まちなみ景観大賞 グッドデザイン賞 2023 ウッドデザイン賞 2023 第26回木材活用コンクール(2022)/木材活用賞 第35回栃木県マロニエ建築賞(2023)/環境にやさしい建築賞 令和3年度CLT活用建築物等実証事業採択