清水建設北陸支店 新社屋
過去と未来をつなぐ、時間に耐えられる建築へ。1919年、石川県金沢市に出張所として開設した北陸支店の建替計画である。この地で長く営んできた歴史と既存の街並みを尊重しながら、コミュニケーションを誘発する新たなワークプレイスを構築、カーボンニュートラルを見据えた国内最高クラスの環境性能を実現することを目指した。


所在地 | 石川県金沢市 |
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竣工年 | 2021年 |
建築主 | 清水建設株式会社 |
主用途 | 事務所 |
階数 | 地下1階・地上3階 |
主構造/耐火性能 | RC造一部S造、耐火木鋼梁/耐火構造 |
延床面積 | 約4,200m2 |
木材使用量/CO2固定量 | 232m3(0.055m3/m2)/173t-CO2 |
「シミズ ハイウッド®」 木質ハイブリッド技術 |
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FFE・ランドスケープデザイン | フィールドフォー・デザインオフィス |
地域の素材を活かした木質空間
オフィスエリア最上部の格天井は、石川県の県木である能登ヒバを用いて開発した木鋼ハイブリッド梁「シミズ ハイウッドビーム」で構成、能登ヒバの燃え止まりにより鉄骨を耐火被覆するもので、今回新たに大臣認定を取得している。地産地消による木質化の可能性を広げるとともに、更なる炭素固定を実現している。





空の光を感じられるオフィス
奥行の深いオフィス中央にも光を導き、冬季に曇天の多い金沢市においても自然光を感じられる空間とするため、吹抜上部にトップライトを設ける計画とした。これにより、木の格子天井から均一に降り注ぐ光を演出するとともに、昼光利用によってオフィス内の照度を補い、照明による消費エネルギーの削減を行ってる。

より柔らかい自然光が届くトップライトと格子梁の組み合わせをShimz Explorerで導く
トップライトは自然光を内部へと導く「集光装置」、格子梁は光を室内へと拡散させる「配光装置」と捉え、天井面の明るさを確保しつつグレアを抑え、より柔らかい自然光が届く形状と組み合わせを目指して検討している。コンピュテーショナルデザイン手法を活用し、パラメトリックに生成したトップライトと格子梁の組み合わせに対し、UDI解析を行うとともに不快なグレアが発生していないことを検証した。個々の環境評価をShimz Explorerを介して統合し、膨大なパターンの中から可能性を絞り込んでいる。



壁柱・庇・ルーバーとトップライト・格子梁を組み合わせることにより、UDIにおける目標照度範囲で約25%とし、「Supplemental」を合わせると約63%を達成。実現したオフィスは吹抜を介してトップライトの光が柔らかく2階まで入り込む空間とした。


未来へつなげるさまざまな取り組みを、地域に根差したかたちで具現化し発信
木質の利用以外にも、地域特性を活かした自然エネルギー利用と次世代技術により『ZEB』を達成するとともに、建物付帯型水素エネルギー利用システム「Hydro Q-BiC®」を初実装している。「北陸らしく」そして次の100年につながるこの建築が、建設会社の地方支店社屋としてショールームの役割を担うだけでなく、従来の枠組みを超えて広く地域社会とつながっていく。




第64回BCS賞(2023) 第2回SDGs建築賞(2024)/住宅・建築SDGs推進センター理事長賞 日本建築学会作品選集 2023 グッドデザイン賞 2023 第33回AACA賞(2023)/奨励賞 コージェネ大賞2023/理事長賞 第12回カーボンニュートラル賞(2023)/選考委員特別賞 第62回空気調和・衛生工学会賞(2023)/技術賞 電気設備学会賞(2023)/最優秀施設賞 第2回 JOIFA オフィスアワード/優秀賞 令和4年度木材利用優良施設コンクール(2022)/林野庁長官賞 第26回木材活用コンクール(2022)/木材活用賞 第35回日経ニューオフィス賞(2022)/中部ニューオフィス推進賞 第54回中部建築賞(2022) JIA優秀建築選 2022 第29回いしかわ景観大賞(2022)/大賞(知事表彰) 第21回環境設備デザイン賞(2022)/入賞 照明施設賞 2022 ウッドデザイン賞 2021 第44回金沢都市美文化賞(2021)/最優秀賞 第41回石川建築賞(2021)/優秀賞 令和元年度サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)採択