ZEBの設計業務を代替するAIツール「ZEB SEEKER」
「ZEB SEEKER(ゼブシーカー)」は、AIによりZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の設計業務を高度化・効率化し、顧客が脱炭素の取り組み方針や事業計画の方向性を決める計画の初期段階から、顧客ニーズに適したZEBの提案を行えるシステムです。
背景
ZEBは究極の省エネルギー設計であり、その検討には、建築、設備を含め建物を一旦丸ごと設計する必要があるため、高度なノウハウとともに莫大なマンパワーを要します。このため、プランが頻繁に変更になる計画の初期段階からのZEB検討は敬遠されがちです。また、ZEBへの寄与度は「建築2割、設備8割」とされるなか、設備の仕様検討が非常に複雑で手間がかかることがZEB提案のネックになる一方、カーボンニュートラルに向けZEB提案が求められる案件が増え、設計者の業務量が増加しています。こうした課題を一挙に解決したのがZEB SEEKERです。
概要
ZEB SEEKERは建物のエネルギー性能に係る設計プロセス、特に高度なノウハウが求められる各種設備機器の能力決定プロセスを学習させることで、設計者に大きな負荷がかかる設備機器の能力設計及び、建物の省エネルギー性能の評価の自動化を可能にしています。 この機能をベースに、ZEB SEEKERはZEBを実現する設計案を探索します。必要な入力情報は、建物の簡易3Dデータ、可変要素とする窓ガラスの種類や断熱性能などの建築仕様、空調方式や熱源種別、照明、換気、給湯、昇降機、創エネなどの設備仕様、それら各建築・設備仕様に対する建築コストやランニングコスト、使い勝手などの顧客ニーズ、及び目標とする省エネルギー率です。
ZEB SEEKERはこうした入力情報をもとに、50項目以上に及ぶ建築・設備仕様について最適化を図り、1日のうちに数億通り以上にも及ぶ組み合せの中から顧客ニーズに適したZEB提案を複数案に絞り込みます。
メリット
これまで設計者によるZEB化の検討には1ヵ月以上を要していましたが、ZEB SEEKERによって検討業務が100倍以上効率化し、提案内容も飛躍的に高度化します(施設規模による)。例えば、約150床の大型病院に対するZEB Ready提案では、3日間でメンテナンス重視案、ランニングコスト重視案、快適性重視案といった異なる顧客ニーズに対応した3タイプを提案することができます。