山岳トンネル工事における最適発破自動設計施工システム
このシステムは山岳トンネル工事における発破作業の生産性向上を目的に、地山の性状に合わせた最適な発破パターンを自動設計施工するシステムです。
背景
発破掘削による山岳トンネル工事では、トンネル設計断面に対して必要量以上に掘削する余掘りや、掘削が不十分なアタリが発生します。これらは、サイクルタイムやコストの増加だけでなく品質や耐久性にも大きな影響を与えるため、最小限に抑える必要があります。
従来、発破精度に影響する穿孔本数や位置、火薬の装薬量といった発破パターンの設計は、熟練技能者が経験と感覚を頼りに行っていました。
概要
本システムは、当社が開発を進めるICT、IoT、AIなどの最新技術を活用した次世代型トンネル構築システム「シミズスマートトンネル」の要素技術の一つです。
フルオートコンピュータジャンボで自動計測した穿孔時のエネルギー変化を基に、切羽面の地山性状を可視化し、地山の硬軟分布に応じた最適な発破パターンを導出します。生成された発破パターンは、切羽面を5分割したゾーン図に表示され、領域ごとに最適な穿孔数と装薬量が割り当てられます。
この発破パターンをプログラミング制御が可能なコンピュータジャンボに取り込むことで一連の作業をフルオートで行うことができます。また、掘削前にドリルジャンボブームの動線シミュレーションを行い、ブームが相互干渉しないよう穿孔順序を設定することも可能です。
メリット
本システム適用によってアタリ量の平均値、余掘り量が減少し、火薬使用量の削減を図ることができます。これらの効果によりサイクルタイム・施工コストの大幅な削減とともに、トンネル掘削面の平滑化などトンネルの品質、耐久性の向上が見込めます。