vol69
5/49

都内に分散していた複数の事業所を集約し、新たな価値の創造を実践する場としたい。コンペの要綱における施主の想いである。学研本社ビルは非対称で不ぞろいな空間と形態から成り立っている。同じ広さのスペースが気積の変化や外部の天候の変化で異なった感覚が得られるのは、私たちの身体の中に、個々に異なり時間と共に変化するゆらぎが存在するからである。このゆらぎに呼応し、ワーカーひとりひとりが自分の心地よい場を見つける手がかりを与えるのは、均質性や規則性を優先して作られた空間ではなく、様々な空間の変化が感じ取れる場にあると考えた。共用部はワークスペースの周囲に風車状に分散配置され、密室空間は一つもない。すべてが光や風といった外部と連動した場としている。低層部はギャラリーや保育所など地域社会のコモンスペースとして計画した。それら全てがシームレスにつながりを持ち、偶発的な出会いとコミュニケーションが触発される場となるよう計画した。竹内 雅彦学研本社ビルGAKKEN HEAD OFFICE03vol.69

元のページ 

page 5

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です