vol69
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英国と日本とで国や文化が異なっても、高い目標に向かって目指すものは同じである事を強く感じた。この留学で色々な視点から物事を見られるようになったことを、今後の業務にも、自分自身の人生にも活かしていきたい。パリで最も印象的だったのは、みんな心から生活や芸術を楽しんでいるという事。事務所で働く設計者達は、厳しい実力主義の中でも、デザインする事の楽しさを忘れていない様に見えた。言語ではなくデザインで判断する職場で仕事ができた事は、今後の設計活動の糧になるだろう。情報化技術を活用した次世代型統合建設生産プロセスや建築環境性能に関する急速な関心の高まり等、米国建設業界における現在進行形の大きな変革を目の当たりにした。一般にイメージされる米国企業とは違い、人材育成や社員相互の意思疎通に対して多大なエネルギーを注いでいた。限られた時間がそう感じさせたのか、いつもの数倍の密度で刺激を受け続けたように思う。3Dモデリングと生み出される夥しい数のフィジカルモデル。美しいかたちに対する徹底的なこだわりを痛感する日々であった。清水の仕事を通して設計の先輩や現場で学んだ方法は世界でも通用した。留学中も質の高いプロジェクトに携わり、現在はその経験も活かしながらチームワークで、よいデザインの実現に取組んでいる。Responsibleという言葉に日本語でいう「責任」という意味以上の重さを実感。契約社会といわれる欧米的な仕事の仕方・物の考え方をその最前線で体験できたことは帰国後の自分の仕事・生き方にも有形無形に影響を与えている。一年間のアメリカ企業留学を経て、多くのことを学び、多くの仕事仲間・友人を作ることが出来たが、一番の収穫は、「言語や文化は違えど図面や絵は世界共通である」ということを身をもって認識できたことである。設計・プロポーザル統括 企画管理部長道江 紳一当社では、海外留学制度を取り入れて、豊富な知識と高い専門性を身につけた人材の育成に取り組んでいる。大切にしているのは「自己の気づき」。日頃から業務に対する問題意識をもち、それを解決するためには何を学べばいいのか、また学んだことをどう業務に生かせるのかといった、自分なりの考えをしっかりと持っている人を留学対象者としている。2000年以降では、設計・プロポーザル統括から世界各国の企業へ7件の留学を実施した。意匠・構造・設備など、さまざまな系統から候補者を選抜。今後の事業展開を踏まえた留学テーマに基づき、本人自らが受入先を選定し、留学委員会の承諾を得て決定する。世界トップクラスの実務家と、実際のプロジェクトを通じたさまざまな取り組みにより、最先端かつトップレベルの計画力、デザイン力、技術力の習得を目指してきた。その結果、日本では得られない、貴重な体験と想定した以上の収穫を得て帰国をしている。帰国後は、留学先で得た経験、情報や技術を社内にフィードバックし、専門性の高いものづくり、ひとづくりに生かしている。ARUP : Cardiff, United Kingdom2008-2009海外留学・海外視察についてSTUDY & INSPECTION ABROAD金坂 真哉海外留学STUDY ABROAD海外・国内大型案件受注に向けた環境配慮型エンジニアリング力の強化DOMINIQUE PERRAULT ARCHITECTURE : Paris, France2009重松 英幸アトリエ事務所におけるデザインプロセスの習得Thornton Tomasetti : New York, United States2007-2008小倉 裕之構造設計における米国基準と設計技術の習得KPF : New York, United States2007-2008佐藤 剛也トップレベルの計画力・デザイン力の習得SOM : New York, United States2006-2007小林 央和海外トップ事務所のインテリアデザインスキルの修得ARUP : London, United Kingdom2004-2005島崎 大海外基準(BS)・国際的設計手法の習得Lockwood Greene : Michigan, United States2005-2006手島 徹米国食品医薬品局対応のエンジニアリング手法の習得42vol.69

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