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五稜郭タワーGORYOKAKU TOWER函館五稜郭公園の入口近くに最初のタワーが建設されたのは1964年(昭和39年)である。航空制限により高さが60mに止められ、公園全体を俯瞰するには不十分であったが、その後の規制緩和を受け、函館山展望台と五稜郭中心にあった奉行所物見櫓を結ぶ軸線状に新展望タワーを建設することが決定した。五稜郭公園に隣接する立地性を五稜星型塔体・五角形展望台として表現し、五角形の底辺正面を五稜郭に、正対する頂点を函館山に向け配置している。航空制限高さ最大に計画された新タワーは、タワー上部の空間を施工上利用できないという制約を当初から抱えていた。このため、断面を五稜星型とする高さ98mのRC造筒体を先行施工し、筒体足元で構築される展望室鉄骨架構を引っ張り上げる施工法(スリップフォーム+リフトアップ工法)の採用を決定し、設計施工一体となった取組みを展開した。横山 一智鉄筋コンクリートによるタワー建設は形状に対する自由度が高いのみならず、海岸近くに位置する計画地では塩分による腐食に対する耐久性という点からも有利である。通常の解析ツールを使用することができない特殊な形状であるため、原子力建屋等で用いられる手法を応用して筒体部断面のファイバーモデルを作成、M-φ関係を求めて質点バネモデルに適用した。予備応答解析により計算された設計用地震力をFEM塔体モデルに与え、断面算定用の応力を算出した。この工程を繰り返すことで仮定断面と算定断面とを収斂させ、最適な鉄筋配置を決定した。タワーを支える構造解析技術五稜星型のタワーに発生する応力地震時の変形図施工時解析モデル31vol.69

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