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ANAHACHIMAN - Shrine SYUTSUGENDEN穴八幡宮 出現殿当プロジェクトでは、伝統の技と現代技術の融合による、伝統美の再現を目指した。出現殿は伝統木造、総漆仕上としている。総漆仕上は、境内においても初めてであり、また最近では修理に用いられることはあっても、新築建物において使用されることはほとんど無い仕様である。木材の割れや下地処理についての配慮、漆の塗装厚さに伴う組立精度の検討など、数々の課題を克服し、伝統美の再現を図った。日本建築の美を特徴づける軒廻りのデザインについては、総反り・捻軒・反り出し勾配という日本の大工技術の最も高度な規矩術をCADにより再現して採用し、軽やかさと力強さという日本的に洗練されたしなやかな美しさを表現した。構造的には、耐震化架構体の追加実験(小壁要素)により得られた成果をも適用し、安全性の評価を行った。仕口(木組)は飛鳥時代から江戸末期までの先例を可能な限り調査し、最も秀逸と思われる室町中期の仕口に改良を加えて採用し、軸部には金物を一切使用しない伝統構法で組み上げ、耐震性の向上と長寿命化を図っている。 福本 敦子2008年度東京建築賞奨励賞受賞柱-頭貫仕口柱-地覆-礎石仕口13vol.69

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