未来へつなぐプロジェクト

協力 松竹(株)・(株)歌舞伎座

「伝統」と「最先端」 その融合が文化を紡ぎだす

芸術、芸能、ファッションなど、
様々な文化を生み出し、最新トレンドを発信し続ける、東京・銀座。
この地で、歌舞伎の専用劇場として、
120年以上前から日本の伝統を伝え続ける歌舞伎座が
新たに生まれ変わった。

その建設プロジェクトは、
日本の伝統芸能を世界に伝える劇場とともに、
周辺の街並みと調和し、環境にも配慮した最先端の高層オフィスビルを
一体的につくり出すというもの。
一言で言えば、「伝統」と「最先端」の融合。
建設技術によるその実現が、最大のチャレンジだった。

次の100年へ。
歌舞伎の継承と街の持続的な発展を目指して、
清水建設の技術力が、これまでにない形で、
文化の拠点を紡ぎだす。


オール・シミズで取り組む。

日本の伝統芸能のシンボルであり、東京・銀座のランドマークでもある歌舞伎座。初代の歌舞伎座が開場したのは1889(明治22)年11月のこと。以降、歌舞伎座は老朽化や戦災などにより改修,建て替えが行われ、第二期、第三期と姿を変えてきた。そして、第四期歌舞伎座が竣工したのは、日本が戦後の混乱期にあった1950(昭和25)年12月のこと。以来、2010年4月に閉場を迎えるまでの約60年間、日本の歌舞伎を伝え続けてきた。

清水建設は、多くの人に愛された第四期歌舞伎座の再建工事から、増改修を含め現在に至るまで、60余年にわたって歌舞伎座の建築に携わっている。そして、2010年10月に始まった第五期歌舞伎座への建て替え工事に、松竹株式会社、株式会社歌舞伎座と一体となって取り組んだ。

現場の取りまとめを任されたのが、過去に大型案件を数多く手がけてきた、建設所長の水田だ。国内外から注目される一大プロジェクト。さすがの水田所長もプレッシャーを感じたというが、「必ず成し遂げる」という強い気持ちがまさった。そして現場にこう訓示した。「この案件はオール・シミズでいく」。これは当社の社員だけを指し示しているのではない。所属する会社は違えど、プロジェクトに関わる関係者全員を、同じ目的を目指す“一つのチーム”として考えるという意図だ。

いつにも増して、あらゆる枠を超えての協働を訴えたこの言葉の目的はただ一つ。劇場とともに、地上29階建てのビルを一体的に建設するには、伝統技術と最先端技術の融合を成し遂げる必要があることを、全員に強く意識させるためだっだ。


社寺建築のノウハウを現代の建設に生かす。

第四期歌舞伎座には日本の伝統建築の粋が集められていた。外観は東京大空襲で被災した第三期の姿を踏襲。また、江戸時代から続く芝居小屋の雰囲気や、絢爛豪華な歌舞伎の世界観などを感じられる意匠が様々に施されていた。第五期歌舞伎座は、こうした第四期のイメージを踏襲したいというお客様の強い意向があった。

これに対しては、当社が創業時から培ってきた、社寺建築の伝統技術における豊富なノウハウと実績が大きな強みとなった。特に木工技術については、当社の東京木工場が1884(明治17)年の開設以降約130年にわたって、伝統技術の継承と研鑚を続けてきた。しかも、木工場を社内に有しているのはゼネコンでは当社だけ。これを生かさない手はない。檜舞台や劇場内の装飾など歌舞伎座の木工事はすべて、この東京木工場によるもので、随所に匠の技が生かされている。

社寺建築の基本は木造だ。一方でこのプロジェクトでは、高層オフィスビルを併設する建築計画や耐震性、安全性などを考慮し、劇場部分の構造を鉄骨造としている。つまり、劇場のデザインは踏襲されるが、素材(木→鉄骨)や施工方法(現場仕上げ→工場生産・現地組立)が変わるということ。そのため、木のプロである宮大工と鉄骨やセメントなどを扱う職人とが密に連携を図る必要があった。

まず宮大工の棟梁が、連綿と受け継いできた匠の技を生かし、原寸で図面を描く。それをもとに、最先端の鉄骨造のノウハウを生かしながら、最適な素材・施工方法を決め、社寺建築を具現化していくのだ。特に、木で表現していた微妙な屋根の独特の反り具合を鉄骨で表現する作業は非常に難易度が高いため、原寸の模型も作成し、細部のつくり込みや納め方などを検討していった。こうしたプロセスを組み入れなければならない場面は多岐にわたる。水田所長が「オール・シミズでいく」と宣言した所以は、ここにあった。

(撮影:吉川忠久)

最高の腕を持った職人たちが結集。

第五期歌舞伎座の劇場部分は、高層ビル部分の奥深くに、すっぽりと入っている。端的な言い方をすれば、劇場の上に高層ビルを「乗せる」ようなものだ。さらに、劇場の大空間の真上にあたるビルの5〜6階部分は、さらに上の高層階の荷重を支える土台代わりともいえる。その安全性を確保するには、強固な「橋」のような構造体が必要となった。そこで構造に採用したのが、鉄骨を三角形に組み合わせたメガトラスだ。

メガトラスは、上部からの力を分散し、部材のたわみや変形を防いでくれる。だが、劇場部分と高層ビル部分が重なり合う複雑な構造であるため、トラスを組むにも、多様な形状の鉄骨を用意しなければならない。重要となったのは鉄骨の溶接。今回の複雑さは、一般の溶接工では技術的に非常に難しいものだった。そこで専門工事会社に依頼して、東京中の「最高の技術を持った溶接工」を集結させた。

高さ約12m、幅約52mのメガトラスが22階分の荷重を支える(撮影:吉川忠久)

また、いかにメガトラスといえども、高層ビル部分の加重でトラスの中央部にたわみが出てしまう可能性もあった。たわみといっても7mmに満たないものだが、当社の品質上、許されるものではない。溶接場所をミリ単位で調整しながら、たわみのないメガトラスを完成させ、上層階の施工を進めていった。

2012年12月、工事が佳境を迎え、徐々に新たな姿を現していく第五期歌舞伎座。通りを歩く多くの人たちが足を止めて、その様子を仰ぎ見ていた。そして、2013年4月、第五期歌舞伎座、開場。今、歌舞伎ファンのみならず、銀座周辺を訪れる多くの人たちによって、歌舞伎座を拠点に新たな文化交流が始まっている。

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