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放射性物質汚染土壌の中間貯蔵及び減容化への取り組み

中間貯蔵施設工事に係わる受入・分別施設への取組み

受入・分別施設とは

仮置場から搬入される除染土壌等を受け入れ、搬入車両からの荷降ろし、容器の破袋、可燃物・不燃物の分別作業を行い、8,000Bq/kg以下の土壌と8,000Bq/kgを超過した土壌に分けます。
その中で、キーテクロノジーとなるパワーグラインドスクリーン(除染除去土壌中の可燃物の分別システム)とセシウム土壌ソーター(放射性セシウム汚染土壌の濃度分別機)を独自に開発し実工事への展開をはかっています。

除染除去土壌中の可燃物の分別システム「パワーグラインドスクリーン」

除染除去土壌の前処理における課題

福島県内の除染作業で集積される汚染土壌等の除去物は、可燃物と不燃物に分別されてフレコンに封入されます。しかし、それぞれに植物根や土が混入しているのが実態です。そのため、焼却減容化時の減容率の低下、有機物の腐食による放射性セシウムの再溶出、土壌の濃度別分別や土壌洗浄等の中間処理時の装置トラブル等が懸念されます。
そこで、土壌と有機物を機械的かつ高精度に分別可能な「パワーグラインドスクリーン」を開発(環テックス(株)との共同開発)しました。

パワーグラインドスクリーンの特徴

円筒形の回転ふるい機であるトロンメルをベースに、ドラムの内側に植物根等の解砕用の羽を外周に配した小径のドラムを設けました。それぞれが反対方向に回転することで解砕羽が植物根をドラム表面にこすりつけ、植物根に固着した土壌を分別します。
また、圧縮空気をドラムに吹き付けることで目詰まりを防止できます。
このシステムにより土壌と有機物の精度の高い分別が可能となり、可燃物の焼却だけでも10%程度の減容化ができる見込みです。


パワーグラインドスクリーン

放射性セシウム汚染土壌の濃度分別機

放射性セシウム汚染土壌の濃度分別における課題

除染で発生した放射性セシウムを含む土壌は中間貯蔵施設へ運ばれ、保管されます。放射性セシウム濃度が8,000Bq/kgより低いものはⅠ型に、高いものはⅡ型に保管されます。
「除去土壌量が膨大であること」、「低濃度用のⅠ型に高濃度側の土壌が誤入すると問題であること」を勘案すると、処理能力が高く、濃度の測定精度が高い分別機が必要です。
シミズはこれらを両立させることが可能な濃度分別機を開発しました。

シミズの濃度分別機の特徴

土壌の放射性セシウム濃度を連続測定する場合、放射線計数率・土壌密度・土壌形状・土壌重量といったパラメーターが精度に影響を与えます。特に土壌重量が重要ですが、従来技術では推計値か簡易測定でした。本技術では重量測定誤差1%以下と、非常に高精度で測定できます。 残りの3パラメーターも、土壌成形器、形状測定機の設置によりすべて精度良く測定できます。


放射性セシウム汚染土壌濃度分別機

土壌洗浄技術を活用した放射性物質汚染土壌の減容化

減容化技術の開発と実証の経緯

東日本大震災からの早急な復興・復旧のためには、除染により膨大に発生する放射性物質汚染土壌の減容化が不可欠と考えています。
シミズは2011年7月から福島県内に研究施設を設け、減容化のための研究・技術開発を行っています。自主的な研究開発の他に、福島県と環境省の除染技術実証事業に採択され、実証試験を実施しました。

期間 項目 成果
2011年7月~2011年11月 基礎技術の確立 放射性Cs(セシウム)
除去率※183%~92%(平均88%)
2011年12月~2012年1月 実証試験(H23年度福島県除染技術実証事業) 放射性Cs除去率96%
2012年1月~2012年3月 スクラビング・フローテーション技術を改良 高い除去率を維持しつつ減容率※2を改善
2012年5月~2012年9月 実証試験(H24年度環境省除染技術実証事業) 放射性Cs除去率90%と減容率80%を両立

※1除去率(%)=(元土壌放射能濃度-洗浄処理土放射能濃度)/元土放射能濃度×100
※2減容率(%)=再利用土壌重量/元土壌重量×100

スクラビング・フローテーション技術の効果

シミズ独自の技術を導入したスクラビング(擦りもみ洗浄)とフローテーション(泡浮遊分離)により、格段に放射能除去率を向上しています。

平成24年度環境省技術実証事業の概要

技術実証の目的は、減容率の向上と作業員の被ばく線量の低減の2つです。

実施テーマ名
「減容率の最適化および濃縮残渣処理の自動化を特徴とする土壌洗浄技術の実証」

  • スクラビング技術改善による減容率の向上
    ⇒実際の除染作業で集積された土壌を対象として、放射性Csの除去率90%と減容率80%を両立
  • 濃縮汚染土壌処理自動化による被ばく線量の低減
    ⇒フィルタープレスの脱水ケーキの自動処理

実証プラント全景(テント設置前)

スクラビング実証状況

フローテーション実証状況

脱水ケーキの自動かき取り
動画表示

減容化システム技術実証への採用

「中間貯蔵開始後30年以内に、福島県外で最終処分を完了するための必要な措置を講ずる」ためには、除去土壌等の減容化への取り組みが最重要課題となっています。
環境省では「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略」(平成28年4月)を策定し、計画的な取り組みを進めているところです。
その中で、「洗浄分級処理」は「技術の成熟度が高く、大量かつ安価な処理が可能な分級処理のシステム技術実証試験を先行して実施する」と位置付けられ、平成30年度事業として「中間貯蔵施設内における除去土壌の分級処理システム実証試験」が実施されているところです。
シミズは、同事業を受託した除去土壌等減容化・再生利用技術研究組合から洗浄分級システムの設置・運転を請け負い実施しています。

洗浄砂の中間貯蔵施設排水層への活用の提案

中間貯蔵施設の施設規模を縮小することを目的に、Ⅰ型へ搬入予定の8,000Bq/kg以下の土壌に対して土壌洗浄技術により1,200Bq/kg以下に浄化します。その洗浄砂を中間貯蔵施設の排水層に活用することを検討しました。

検討の前提条件

実証事業での実績値等に基づき、検討の条件を以下のように設定しました。

項目 条件設定 備考
全体除去土壌量 (1)対象土量 2,041万m3 「中間貯蔵施設安全対策検討会及び環境保全対策検討会の検討結果取りまとめ 環境省(平成25年10月)」より抜粋
(1)-1 (1)のうち8,000Bq/kg以下 1,006万m3
(1)-2 (1)のうち8,000Bq/kg超過 1,035万m3
洗浄仕様 (2)除去率 87.5% 設定値は、弊社が実施した環境省除染実証事業での実績値
(3)減容率 75% 設定値は、弊社が実施した環境省除染実証事業での実績値
(4)濃縮残渣の原土に対するCs濃縮倍率 3.6倍 上記設定値(2)、(3)からマテバラ計算により算出
貯蔵施設の構造 (5)Ⅰ型
「中間貯蔵施設安全対策検討会及び環境保全対策検討会の検討結果取りまとめ 環境省(平成25年10月)」より抜粋。層厚は、「廃棄物の処理および清掃に関する法律施行令」に記された一般管理型最終処分場に準じた。

(6)Ⅱ型
排水層適用の際の洗浄砂の仕様 (7)Cs濃度 1,200Bq/kg以下 中間貯蔵施設環境保全対策検討会(第3回:平成25年9月)資料3-2、P23より抜粋
(8)粒度 75μm以上、2mm以下 分級点を75μmとした場合の洗浄砂の粒度範囲。粒度調整可能。


土壌貯蔵施設(Ⅱ型)

検討結果

土壌洗浄技術の活用により、貯蔵量の縮減効果として584万m3見込め、21%減少可能であると試算されました。


貯蔵量の縮減効果