当社グループは、事業活動の遂行において直面し、あるいは事業活動の中で発生し得るさまざまなリスクを認識し、的確な管理を行うことによって、その発生の可能性を低下させるとともに、発生した場合の損失を最小限にとどめることにより、事業の継続的・安定的発展の確保に努めています。中期経営計画〈2019‐2023〉においても、基本方針において「ESG経営の推進」を掲げ、「コンプライアンスの徹底とリスクマネジメントの強化」を重要施策の一つとしています。
当社は、リスク管理規程に基づき、社長が委員長を務めるリスク管理委員会において、毎年度、全社の「重点リスク管理項目」を定めて各部門の運営計画に反映させており、当該項目には、法令違反リスクや安全・環境・品質に関するリスク等のESG要素も含まれています。同委員会は、本社部門、各事業部門及びグループ会社における機能別のリスク管理状況を定期的(年2回)にモニタリングし、必要に応じて是正・改善措置を指示するとともに、新たなリスクへの対応を図り、その対応状況を取締役会に定期的(年2回)に報告しています。
なお、リスクとは、以下の観点から、当社グループの経営において経営目標の達成を阻害する要因すべてを指します。
- 当社グループに直接又は間接に経済的損失をもたらす可能性のあるもの
- 当社グループ事業の継続を中断・停止させる可能性のあるもの
- 当社グループの信用を毀損し、ブランドイメージを失墜させる可能性のあるもの

主に外部環境の変化に伴うリスク
主なリスクの概要 | 主な対応策・取り組み |
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1.建設市場の縮小リスク | |
国内外の景気後退等により民間設備投資が縮小した場合や、財政健全化等を目的として公共投資が減少した場合には、今後の受注動向に影響を及ぼす可能性があります。 | 取締役会で建設事業の受注見通し、案件量を毎月フォローし、執行役員会議・事業部門長会議等において適宜必要な対策を指示しています。 2030年を見据えた長期ビジョン「SHIMZ VISION2030」において非建設事業の拡充による収益構造の転換を掲げ、中期経営計画〈2019‐2023〉によって事業推進しています。 |
2.建設資材価格及び労務単価の変動リスク | |
国建設資材価格や労務単価等が、請負契約締結後に予想を超えて大幅に上昇し、それを請負金額に反映することが困難な場合には、建設コストの増加につながり、損益が悪化する可能性があります。 | 工事請負契約の締結にあたって、原則として労務賃金・建設物価の変動に基づく請負代金の更に関する規定(スライド条項等)を採用するよう、発注者との協議に努めています。 |
3.取引先の信用リスク | |
発注者、協力会社、共同施工会社などの取引先が信用不安に陥った場合には、資金の回収不能や施工遅延などの事態が発生する可能性があります。 | 取引先に対する与信審査の徹底と継続的なモニタリングを行うとともに、当社グループの債権保全が可能な契約の締結に努めています。 |
4.海外事業リスク | |
海外での事業を展開するうえで、進出国での政治・経済情勢、為替、租税制度や法的規制等に著しい変化が生じた場合や、テロ・戦争・暴動等の発生、資材価格の高騰及び労務単価の著しい上昇や労務需給のひっ迫があった場合には、工事の進捗や工事利益の確保に影響を及ぼす可能性があります。 | 海外事業展開にあたって、事業機会とともにカントリーリスク等も踏まえて地域や国を絞り込み、必要な対策を図っています。 主な取り組み
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5.投資開発事業リスク | |
景気の減速による不動産市況の低迷や不動産ファンド等の破綻など、投資開発分野の事業環境に著しい変化が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。 | 企業体力に見合ったリスクの範囲内で事業を行うよう投資枠を設定し、個別案件の取り組みにおいては、投資取組基準に基づき、出口戦略(投資の回収計画)も含めて計画的に投資を行っています。 取締役会で投資開発事業の進捗状況、投資残高、事業ポートフォリオ、時価評価を定期的にフォローし、必要な対策を図っています。 |
6.長期にわたる事業におけるリスク | |
PFI事業、再生可能エネルギー事業等の長期にわたる事業において、諸物価や人件費、金利等の上昇、取引先の信用不安など、事業環境に著しい変化が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。 | 取締役会でPFI事業、再生可能エネルギー事業等の進捗状況を定期的にフォローし、必要な対策を図っています。 |
7.投資有価証券の価格変動リスク | |
投資有価証券の時価が著しく下落した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。 | 毎年、個別銘柄ごとに、株式保有に伴うコストやリスク、営業上の便益等の経済合理性を総合的に勘案のうえ、保有意義を見直し、取締役会にて、保有の必要性を検証したうえで、保有意義の低下した銘柄は、原則として売却しています。 |
8.金利水準・為替相場の変動リスク | |
金利水準の急激な上昇、為替相場の大幅な変動等が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。 | 金融相場変動リスク管理規程に従い、リスク管理を行っています。
主な取り組み
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9.自然災害・感染症リスク | |
地震、津波、風水害等の自然災害や、感染症の世界的流行が発生した場合は、当社グループが保有する資産や従業員に直接被害が及び、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 災害規模が大きな場合には、受注動向の変化・建設資材価格の高騰・電力エネルギー供給能力の低下等で事業環境が変化し、業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
BCP推進委員会を設置し、BCPの継続的見直しや訓練計画の決定及び実施状況のフォローを行っています。
主な取り組み
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10.サイバーリスク | |
標的型メールやマルウェアによるウイルス感染、不正アクセス等のサイバー攻撃の被害にあった場合、事業活動や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。 | 主な取り組み
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11.法令の新設・改廃等に係るリスク | |
社会や時代の変化により、新たな法規制の制定や法令の改廃等があった場合には、業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。 | 事業活動に影響を及ぼす法令の新設・改廃等について適切に対応するため、関連規程・規則を整備し、各種会議体・イントラネット等を用いた社内周知、社内教育・研修(eラーニングを含む)を実施しています。 |
12.長期的な気候変動リスク | |
脱炭素社会への移行に向けて、建築物の新築時の各種規制や炭素税の導入等がなされた場合、また気候変動の物理的影響として、平均気温の上昇や気象災害が頻発・激甚化した場合、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 | 2019年10月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、気候変動に関するリスクと機会を分析・開示するとともに、気候変動への対策を図っています。
主な取り組み
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13.退職給付債務に関わるリスク | |
年金資産の時価の下落及び割引率など退職給付債務の数理計算上の前提を変更する必要が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。 | 年金資産運用委員会を設置し、資産運用実績や財政決算シミュレーション等について審議を行い、年金資産運用に関する基本方針並びに政策的資産構成割合の見直し・改定を実施するとともに、委託先の運用機関による運用状況について適切なモニタリングを行い、毎年、取締役会に報告しています。 |
主に業界特性・組織内部に起因するリスク
主なリスクの概要 | 主な対応策・取り組み |
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1.重大事故や契約不適合等のリスク | |
設計、施工段階における技術・品質面での重大事故・不具合や人身事故が発生し、その修復に多大な費用負担や施工遅延が生じたり、重大な契約不適合となった場合には、業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。 | 「安全第一」「人命尊重」「顧客第一」「品質確保」の事業姿勢を社内で共有し、安全と品質への意識向上を図っています。 主な取り組み
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2.個人情報・機密情報漏洩リスク | |
事業活動において取得した個人情報、機密情報が漏洩した場合には、業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。 | 「プライバシー・ポリシー」の制定や個人情報保護規程等の整備、全社個人情報保護管理責任者の設置により、個人情報の適切な管理を実施するとともに、情報セキュリティリスクに対応するため、各種取り組みを実施しています。
主な取り組み
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3.法令違反リスク | |
当社グループの主な事業分野である建設業界は、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、国土利用計画法、都市計画法、独占禁止法、さらには安全・環境、労働、ハラスメント関連の法令等、さまざまな法的規制を受けており、当社グループにおいて違法な行為があった場合には、業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。 | 社是「論語と算盤」を拳拳服膺し、グループ全体で倫理意識の涵養とコンプライアンスの徹底を図っています。
主な取り組み
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4.中長期的な担い手不足リスク | |
建設業の担い手である技能労働者の高齢化が進んでおり、団塊世代が大量離職するまでに、新規入職者の増加による世代交代が進まない場合、生産体制に支障をきたし、事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。 | 官民連携のうえ、担い手の確保・育成、処遇改善、建設業界の魅力向上等に取り組んでいます。
主な取り組み
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