2021.06.06
清水建設(株)<社長 井上和幸>は現在、1945年の高松空襲で焼失した高松城跡桜御門(高松市玉藻町)の復元整備工事を進めており、本日、上棟を迎えました。伝統建築の上棟に相応しく、工事関係者が鎌倉時代の武士やかつての大工が着用したような伝統的な装束をまとい、宮大工の伝統の儀式である工匠式を古式ゆかしく執り行いました。
史跡高松城跡桜御門復元整備工事の発注者は高松市で、工期は同年12月~22年1月(予定)、現在の出来高は約45%です。桜御門の大きさは幅約12メートル、奥行き約5メートル、高さは約9メートルで、伝統木造技術を用いて焼失前の姿に復元します。
伝統木造技術とは、宮大工が木材の接合部に特殊な加工を施し、釘などの金物を使わずに柱や梁を組み立てていく手法です。専門用語では、木材を継ぎ足し一体化するための加工を「継手」、柱・梁を組み合わせ一体化する加工を「仕口」と呼びます。この継手・仕口の加工方法に倣い、経験豊富な6人の宮大工が腕を振い木材の加工・組み立てを行ってきました。桜御門に用いる木材使用量は約60m3で、1階の鏡柱と表冠木(梁)には福井県産のケヤキ材、2階の柱・梁には岩手県産の松材を使用します。
本日執り行った工匠式は、平安時代に始まったとされ、工匠(宮大工)たちが儀式を通じて造営した建物が末永く安泰であることを祈念する儀式です。主な儀式は、式典出席者が棟木を綱で引き上げる「曳綱の儀」、棟木を屋根の一番高い位置に組み納める「槌打の儀」です。最大の見所の槌打の儀では、振り幣役を務めた宮大工の棟梁((株)社寺建・佐伯安俊氏)が建物の安泰を祈って「千歳棟」「万歳棟」「永永棟」と声高らかに発声。そのかけ声に合わせて棟に上がった工匠が槌で棟木を打ち付け、上棟を祝いました。
当社は全国で、神社仏閣を中心に伝統木造技術を用いる工事を数多く手掛けています。最近の著名な実績としては、宮内庁よりご下命を賜った大嘗宮の造営工事が挙げられます。引き続き、伝統木造技術を用いる工事の受注に取り組むとともに、技術の伝承に努める考えです。
以上
≪参 考≫
工事概要
工事名称 | 史跡高松城跡桜御門復元整備工事 |
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建 設 地 | 高松市玉藻町地内 |
発 注 者 | 高松市 |
設 計 者 | 株式会社文化財保存計画協会 |
施 工 者 | 清水建設株式会社 四国支店 |
工 期 | 2019年12月19日~2022年1月28日 |
建築面積 | 63.87m2 |
延床面積 | 57.84m2 |
建物規模 | 地上2階 |
構 造 | 木造 |
工匠式の概要
開催時間 | 6月6日(日)11時~11時45分 |
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場 所 | 桜御門の復元整備工事の現場内 |
次 第 |
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参 考 | 検知役、奉行、振り幣役(棟梁)、発声役、槌打ち役(2人)、当て木役(2人)、用具役の9人で所作を実施。 |
槌打の儀
振り幣役が発する「千歳棟」「万歳棟」「永永棟」のかけ声は、造営した建物が「千年、万年、いや永久に安泰して欲しい」という棟梁の願いが込められた祈りの言葉とされている。
振り幣役
幣は神様への供え物。右写真は当社が施工した増上寺圓光大師堂の工匠式に用いた幣串。振り幣役の棟梁は幣串を手に祈りの言葉を発する。
桜御門復元整備工事の工匠式の様子
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