車イス利用者に対応した屋内外ナビゲーション・システムを開発

~スマートフォン端末を介して階段・段差のない最短ルートを提示~

  • エンジニアリング

2016.12.01

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、日本IBM(株)東京基礎研究所の協力を受け、インクルーシブなまちづくりを目指し、車イス利用者の円滑な移動を支援する屋内外ナビゲーション・システムを開発しました。このシステムの特長は、特別な専用機器を用いず、汎用のスマートフォン端末を用いていることであり、位置測定機能・音声ナビゲーション機能・対話機能を備えたスマートフォン・アプリ、空間情報データベース、位置情報インフラが協調して、屋内外を継ぎ目なくナビゲーションすることで利用者の円滑な移動をサポートします。

車イス利用者向けナビゲーション・システムのベースは、昨年7月に当社がIBM東京基礎研究所の協力を得て開発した視覚障がい者向けの音声ナビゲーション・システムです。昨今、ソーシャル・インクルージョンに対する社会的気運が高まる中、屋内・屋外を問わず不自由なく円滑に移動できるまちづくりが求められています。それに応えて開発した同システムは、当社の屋内空間情報データベース(ナビゲーション用地図)構築技術、屋内測位インフラ計画技術、建物設備制御技術と、IBM東京基礎研究所の視覚障がい者向けアクセシビリティ技術、高精度屋内外位置測定技術を融合することで実現したものです。

車イス利用者向けのシステムでは、スマートフォン・アプリに車イス利用者に適したルート探索機能や、障がい者用エレベータの遠隔呼び出し機能を装備し、目的地までの安全かつ円滑な移動をサポートします。具体的には、施設利用者がスマートフォン・アプリを起動し、訪ねたい場所を音声で伝えると、スマートフォンが受信した現在位置情報と空間情報データベースの施設情報を基に、階段や段差を回避した目的地までの最短経路を探索し、端末地図上に表示します。利用者が移動を開始すると、誘導・案内に必要な情報を都度音声で提供し、エレベータを利用する場合には、エレベータホール到着時に、スマートフォン画面に呼び出しボタンを自動表示します。利用者がこの呼び出しボタンを押すと、無線ネットワーク経由でエレベータが呼び出され、スムーズな乗り込みが可能となります。

当社は今後、システムの実適用に向けて、運用・メンテナンス体制の整備を進めるとともに、大規模物販施設や教育施設、医療施設、空港・駅などの公共施設への展開を図ることで、障がい者や高齢者を含むすべての人が生き生きと生活できる社会の実現に寄与していく考えです。

以上

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