名古屋大学と共同でシールド機操作のAI化に挑戦

~ビッグデータ解析により熟練工の経験・技量をモデル化~

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2016.08.25

清水建設(株)<社長 井上和幸>は名古屋大学と共同で、熟練オペレータの経験や技量に基づくシールド機操作をAI化するソフト開発に本格着手します。ビッグデータ解析を経て暫定的に構築した操作モデルでは、オペレータの実際の操作行動を7割近く再現できており、これを発展させてシールド機操作へのAI活用を目指します。

昨今、建設現場に従事する熟練工の減少が懸念される中、建設業界への入職促進はもとより、生産性向上が建設業界の大きな課題になっています。このため大手建設各社は、施工の合理化を進めていますが、機械化などのハード面が先行しており、これをロボット化等につなげるためにはソフト面の技術開発、例えばAI化等の推進が不可欠です。

そこで当社は、膨大な監視データに基づき実施される熟練オペレータのシールド機操作に着目。監視データと操作データを収集・評価した結果、AI化へ適用可能と判断し、行動分析の権威である名古屋大学未来材料・システム研究所 山本俊行教授とオペレータの操作ルールのモデル化に取り組むことにしました。操作モデルの対象とする操作は、シールド機の推進速度制御と方向制御、および掘削土砂の排出量制御です。いずれもシールド掘進における基本的な操作項目ですが、熟練オペレータの経験・技量に頼り、かつ操作判断の大半を占めています。

オペレータはシールド機操作時に、シールド機の現在位置、掘進速度、カッター回転における負荷、カッター面に作用する土圧等々、多種多様なデータを監視し、操作の判断材料にします。こうしたデータは従来の掘進管理システムがリアルタイムに収集・ストックする一方、操作行為はデータ化してきませんでした。このため今回の共同研究では、まず操作行為を記録する仕組みを掘進管理システムに組み込み、データ収集に努めます。これにより、各種監視データの変化とオペレータの操作行動(操作判断)との関係を本格的にビッグデータ解析することが可能になるので、オペレータの思考の中に築かれている操作ルールをモデル化し、シールド機操作のAI化につなげます。

なお、ビッグデータ解析は、首都圏所在の当社シールド工事現場において、1本のシールドトンネルの発進から到達までの間、1秒間隔で収集した監視データとオペレータの操作データの関係について実施したものです。解析結果にもとづき暫定的に構築した複数の熟練オペレータの操作モデルでは、実際の操作行動を最大69.5%再現することができました。

当社は今後、名古屋大学と共同で本格的な解析に着手しモデルを進化させるとともに、操作データと掘進管理データのストックを進め、AIを活用したシールド機操作の実現を目指します。

以上

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