インバート支保工設置ロボットを開発

~トンネル切羽直近での作業を大幅に省人化~

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2014.12.08

清水建設(株)<社長 宮本洋一>はこのほど、建設機械メーカーのエフティーエス(株)と共同で、不良地山に構築する山岳トンネルの施工性・安全性の向上を目的に、トンネル底部に鋼製支保工(鋼製枠)を一括設置するロボット「インバート支保工設置ロボット」を開発しました。試験施工では、作業員が汎用重機を使って作業していた従来工法と比べて約40%の省人化を実現しました。これに伴い、施工の安全性も大幅に向上しました。

地盤性状が悪い場所でトンネルを掘削する場合、支保工と呼ぶ鋼製の円形枠を1m程度のピッチで建て込みながら掘削を進め、トンネル断面に作用する土圧に対抗します。支保工はトンネルの上部用と底部(インバート)用の部材に分かれており、両者を接合してリング状にトンネル断面を閉合することで高い抵抗力を発揮します。トンネル断面の閉合は、上部の支保工を施工した後、インバート部分の掘削と鋼製インバート支保工の建て込みを行い、両者を接合し、最後にコンクリートを吹き付けることで完了します。

トンネル断面の変形や崩落の防止には、支保工の早期施工が有効であり、そのためには、掘削して間もない切羽(掘削面)直近でインバート支保工を設置する必要があります。ただ、従来の施工方法では作業員がインバートに下りて行う作業が多く、安全性の観点からも施工性の向上による省人化が求められていました。

今回開発したインバート支保工設置ロボットは、遠隔操作する3本のブーム(腕)により支保工の組み立てと一括設置を行う自走式の建設ロボットです。具体的には、2本に分割したインバート支保工を左右の組立用ブームを用いて組み立てた後、垂直伸縮機構を備えた中央の建込用ブームに受け替え、インバートに建て込みます。これにより、切羽直近で行う手作業の大幅な削減が可能となり、施工の安全性が大幅に向上します。なお、本ロボットは上部用の支保工の建て込み作業も行います。

当社は、インバート施工の効率化を目的に、3Dスキャナ計測によりインバート掘削の仕上がり状況をリアルタイムに可視化する「インバート掘削遠隔管理システム」も開発しています。当社は今後、リング形状の鋼製支保工を施工するトンネル工事現場には、インバート支保工設置ロボットとインバート掘削遠隔管理システムを標準装備し、施工性・安全性の向上に努めます。

以上

≪参 考≫

インバート支保工設置ロボット

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