巨大橋脚を日本最大のクレーン船で一括据付

~九島大橋の坂下津側橋脚工事で“一夜城作戦”~

  • 土木

2014.05.15

清水建設(株)<社長 宮本洋一>・(株)浅田組<社長 浅田春雄>共同企業体(以下、清水建設JV)が施工中の九島大橋坂下津(さかしづ)側橋脚において本日、陸上の作業ヤードで製作された重量約3,300t、高さ32mのコンクリート製巨大橋脚を日本最大のクレーン船で揚重し、宇和島湾内の所定の位置まで曳航のうえ一括据付します。こうした工事は非常に珍しく、あたかも一夜城を築くように巨大橋脚の据付がわずか半日で終了します。九島側の橋脚(鹿島JV)も、同じ工法により5日後に施工される予定です。

本工事は、宇和島湾に浮かぶ離島の九島と内地の坂下津地区を結ぶ長さ468mの九島大橋を支える2基の橋脚のうちの1基を建設するものです。清水建設JVは、昨年1月に坂下津側の橋脚工事を受注、本日の一括据付に向けて準備を進めてきました。工期は来年3月までの予定です。

通常、水中での橋脚建設は、仮設の鋼製板等で建設場所の周囲を締切り、排水した後に工事に着手します。今回は、水深が30mもあり、仮設の締切り工事が大掛かりになることから、工期とコストを鑑み、陸上で製作した橋脚を一括据付する工法が採用されました。

坂下津側橋脚の規模は、柱部が6m角・高さ27m、底盤部が18.7m角・高さ5mです。一括据付するのは、陸上で製作した柱部と一部の底盤で、自重約3,300t、ワイヤー等の吊具と合せた総重量は約3,600tです。橋脚自体は、地元業者により坂下津公共岸壁に設けた作業ヤードで製作され、本年3月末に完成。橋脚製作と並行して、清水建設JVは橋脚の据付地点の海底に、直径1.5m、長さ59mの鋼管杭28本を打設。うち、26本については海底面付近で切断、残りの2本については切断せず杭頭を海上面に出しており、一括据付時にはこれら2本の鋼管をガイドにして橋脚を海中に沈設し、底盤中央部の4本の鋼管杭で仮受けします。いずれの鋼管杭も、位置・打設長ともミリ単位の施工精度が求められましたが、すべてクリアしています。

本日の作業工程は、まず、6時10分に大型クレーン船により作業ヤードに仮置きしている巨大橋脚を吊り上げ、約1.8km離れた据付地点までの曳航を開始。橋脚の据付地点への到着は8時10分頃、据付(沈設)作業の着手は9時30分頃、橋脚の自立は12時頃の予定です。その後、吊具の撤去作業等を経て、14時30分頃、クレーン船が据付ポイントを離れる予定です。※時間は目安です。

橋脚と杭を一体化させる底盤の構築作業には、6月初旬に着手し、約2週間かけて底盤部にコンクリートを約1,400m3打設します。コンクリートを流し込むための鋼製型枠は、橋脚にセットして海中に吊り込みます。底盤用のコンクリートには、海中でも打設できる水中不分離性コンクリートを採用。清水建設JVでは、実物大の底盤型枠を一部製作し、水中不分離性コンクリートの打設試験を行っており、打設方法や充填性、品質については確認済みです。

清水建設JVは、15年3月までに坂下津側橋脚を完成のうえ、引き渡しを終える予定です。九島大橋全体の完成は16年3月の予定です。

以上

≪参 考≫

1.工事概要

  • 工事名称九島橋整第1号の1
    市道坂下津1号線 九島大橋(仮称)建設工事
  • 建設地愛媛県宇和島市坂下津
  • 事業主体宇和島市
  • 発注者愛媛県
  • 設計者(株)長大
  • 施工者清水建設・浅田組共同企業体
  • 工事概要浚渫床掘約2,900m3、鋼管杭φ1,500×28本、
    海上気中部橋脚の鉄筋28t・コンクリート230m3
    底版コンクリート1,400m3
  • 工期2013年3月19日~15年3月25日

2.九島大橋の完成予想パース

写真左が九島

3.橋脚の一括据付の状況

図(上)は橋脚を一括据付した状態。
橋脚の沈設前に、鋼製型枠の外側に配置した鋼製のリングを緑色に着色した鋼管杭(2本)に嵌込むことで、沈設時に鋼管杭がガイドの役割を果たす。

図(下)は鋼管杭の配置図。中央の4本の鋼管杭が橋脚を仮受けする。

日本最大のクレーン船が橋脚を吊り下げ曳航

ニュースリリースに記載している情報は、発表日現在のものです。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がございますので、あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、お問い合わせください。