免・制震技術で立体自動倉庫の荷崩れ防止

~新築用「ラックベーススライダー」、既存用「ラックトップダンパー」~

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2014.04.04

清水建設(株)<社長 宮本洋一>はこのほど、地震による立体自動倉庫の荷崩れ防止を目的に、高機能かつローコストの荷崩れ防止装置「ラックベーススライダー」と「ラックトップダンパー」を開発しました。新築用の「ラックベーススライダー」はラック架台の下に設置する防災目的の免震装置で、一方の「ラックトップダンパー」は既存ラックの最上段に設置する減災目的の制震装置です。条件にもよりますが、いずれの装置も、20段、高さ30m程度のラック架台まで対応可能であり、当社技術研究所で実施した振動実験により所定の荷崩れ防止効果を確認しています。

立体自動倉庫は、高さ15~30mのラック架台を集中配備する施設で、日本全国に1千棟超建設されています。東日本大震災では、継続時間が長い地震波の影響により、震源から半径300㎞にわたる広範な地域で倉庫内のラック架台で荷崩れ被害が発生しました。首都直下地震や南海トラフを震源とする巨大地震の発生が懸念されているなか、物流の核をなす立体自動倉庫の荷崩れ対策は急務です。そこで当社は、倉庫事業者に荷崩れ対策を提案するためにローコストの荷崩れ防止装置を開発しました。

「ラックベーススライダー」は、日本ピラー工業(株)との共同開発で、ラック架台のコンクリート基礎と建物の床との間に概ね25m2に1ヵ所の割合で設置します。地震時には、ラック架台に床の揺れが伝わらない方向に架台をスライドさせる仕組みになっています。この装置の核は、直交する2本のレール状部材で、それぞれがスライドすることにより、あらゆる水平方向の揺れに対して免震効果を発揮します。また、部材表面に特殊加工を施すとともに部材に傾斜をつけたことにより、揺れを収束させる減衰効果とラック架台を元の位置に戻す復元効果も発揮します。標準的な装置の大きさは、縦・横150cm・高さ25cmです。対策費用は9~10万円/m2(建築面積)で、建屋免震をはじめとする新築向けの競合技術の中では最もローコストです。

一方の「ラックトップダンパー」は、地震時にラック架台の揺れを重りの動きで打ち消すTMDタイプの制震装置です。単に重りを据え付けるだけのマスダンパータイプの装置に比べて制震効果が格段に高いので、設置台数が少なくて済みます。一昨年の6月に当社が開発したプロトタイプを含め、これまで各社が開発してきた制震装置は1方向対応であり、2方向対応の開発は今回が初めてです。標準的な装置の大きさは、縦・横70cm・高さ90cmです。この装置は立体自動倉庫の搬送システムを使って通常の荷物と同様にラック架台の棚まで運び、ボルト固定するだけで設置作業が終了します。ラック架台の改造および建屋の改修、既設荷物の移動等が不要で、営業しながらの設置も可能です。対策費用は、高さ20m、4000パレット(荷物重量700kg)対応の試算で約1.5万円/パレット(設置台数45台前後)となります。なお、装置単体の価格は120~140万円弱です。

以上

≪参 考≫

1.システムの実験状況(上)と装置写真

ラックベーススライダー
ラックトップダンパー

2.日本ピラー工業株式会社の概要

所在地 大阪市淀川区野中南2丁目11番48号
社長 岩波清久
資本金 49億66百万円
設立 1948年(昭和23年)
業務内容 流体制御関連機器製品の製造販売
免震関連装置の製造販売

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