都市域の生態系ネットワークを評価

―生態的波及効果に配慮し、開発地の緑化計画を提案―

  • サステナビリティ

2010.03.19

清水建設(株)<社長 宮本洋一>はこのほど、都市域に位置する開発計画地周辺の生態系ネットワークの広がりを定量的に評価・予測できるシミュレーションシステム「UE-Net(Urban Ecological Network)」を開発・実用化しました。このシステムにより、生物の主要な生息環境である「草地」「樹林」「水辺」を評価指標にして、開発前(現状)と開発後の生態系ネットワークの相違をビジュアルに示すことが可能になりました。

07年の第3次生物多様性国家戦略の制定、08年の生物多様性基本法の成立、本年10月に控えたCOP10の開催などにより、昨今、生物多様性に関する社会的な関心は高まる一方です。こうした背景もあり、自然とは一見無縁に見える都市域の開発においても、生物多様性に配慮した開発計画の立案が求められています。「UE-Net」はこうしたニーズを踏まえて開発したものです。

シミュレーションの手順は、まず、街路樹や個人邸の植栽の種類まで判別できる高解像度の衛星画像データを入力・解析し、開発地周辺の現状の自然環境を評価指標別(草地、樹林、水辺)に把握します。次に、各指標を利用する代表的生物(指標生物)の生息適性を評価してそれぞれの生態系ネットワークの現状を評価・予測します。最後に、開発計画地内の緑化計画案(複数)を個別に入力、それらが開発地周辺の各生態系ネットワークに与える効果を評価・予測し、最適な緑化計画を選定します。なお、現状については開発地周辺の1km圏、緑化計画案が生態系ネットワークに与える効果は指標生物の主な行動圏とされる250m圏が評価の対象になります。

草地、樹林、水辺を代表する指標生物には、それぞれ日本全国で見られるモズ、シジュウカラ、カワセミを用います。こうした生物の生息適性は、米国で開発されたHEP(Habitat Evaluation Procedure)という手法をベースに、餌場、繁殖場所、隠れ場所の所在を総合的に評価・予測します。例えば、モズの場合、評価対象地域内における草地の個別面積、草地面積割合、樹林と草地の隣接総長が評価の対象となります。それらの数値をもとに、生息適性(棲み易さ)をランク付けして色分け表示します。

≪本システムのメリット≫

  1. 開発地周辺の生態系ネットワークを事細かに評価できるので、生態系に配慮した開発(緑化)計画を立案できます。
  2. 必要なデータは衛星画像データだけで、現地調査が不要なことから、最長でも1週間程度で評価が終了します。
  3. 定量的な評価結果をビジュアルに分かりやすく示すことができるので、 例えば開発計画に対する近隣等との合意形成に役立ちます。

以上

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