vol.82
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人間が心地よい、と感じる空間は、年齢や性別、人種にかかわらず共感を得られるものだと思っています。建物完成後に、吹抜を下から見上げ、施主・設計・現業、プロジェクトに関わったみんなが笑顔になれたのは、自然を感じて心地よいと思えたからではないでしょうか。このプロジェクトチームでは建物と同様、フラットなコミュニケーションによる「協働」を目指しました。若手が多いチームでしたが、各メンバーが自分の強みを活かしました。設計部内に設置された階段を何度も往来し、構造や設備だけでなく、ワークプレイス、ベテラン陣など様々な人に相談をしました。世代を超えてそれぞれが建物を良くするためのアドバイスをくれる環境が、吹抜の作りこみや執務環境との関係性をブラッシュアップしたと思います。現場が始まると、短工期で不整形な形を施工する必要があり難易度の高いものでした。現場統括責任者と現場やオンラインで密に会話を交わし、一つ一つ課題をクリアしていきました。設計と現業で良い関係を築けたことは、「実際の建物の出来栄え」に大きく貢献できたと思います。設計段階も施工段階も図面のやりとりを重ねて建築が出来上がっていきますが、チームのコミュニケーションは不可欠です。図面は手書き・CAD図・BIM…、コミュニケーションは手紙・電話・メール・TV会議…、技術も自動化が進んだり、と時代とともに変化してきましたが、プロジェクトチームの良い関係づくりが建築の完成度に影響することは、これから先も変わらないと思います。(中野)対等なコミュニケーションで    建物の作りこみを行うvol.82633階協業エリア:会議室や執務室を見通せ、光と風を感じることができる工作エリア:パンチングパネルに工具や図案を貼ることが可能協業会議室卓越風から得られる自然換気シミュレーション    

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