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ニュースリリース 2010年

2010.10.06

「UE-Netライト」で建設地周辺の飛翔性生物の多様性を見える化
〜手軽に操作できる簡易評価システムを開発・実用化〜

清水建設(株)<社長 宮本洋一>はこのほど、都市域における生物多様性空間の拡大に資するため、建設地周辺における飛翔性生物の多様性を見える化する簡易評価システム「UE-Netライト1」を開発・実用化しました。当社が港区で施工中の集合住宅「六本木一丁目南地区第一種市街地再開発事業2」に本システムを初適用したところ、皇居などから当該建設地にシジュウカラをはじめとする飛翔性生物の飛来が予想されることが判明しました。今後、東京都下の案件を中心に本システムを適用し、評価結果を緑化計画やビオトープ計画に反映していく考えです。

自然が少なくなった東京のような大都市域においても、各所に存在する緑豊かな公園には生物多様性空間が広がっています。鳥や昆虫などの飛翔性生物の供給源となりうる緑地面積2,500m2以上の公園は、公立の公園だけでも都内に優に1万カ所以上存在します。供給源の緑が周辺の住宅地や商業地で分断されていても、50〜200m程度の間隔で飛翔性生物が好む緑地やビオトープを作ることで、緑のネットワークが形成され、公園からの飛翔性生物の飛来を期待できます。

そこで当社は、これまで培った生物多様性に関する知見を集約し、建設地周辺における飛翔性生物の多様性を見える化できる「UE-Netライト」を開発しました。システムの特徴は、生物の専門家でない営業や設計の担当者でも手軽に操作できる「簡易さ」で、所用期間はわずか2日間程度です。

評価手順は、初めにシステムに入力した建設地周辺の航空写真あるいは衛星画像を解析して、飛翔性生物の供給源となりうる緑や水辺を抽出します。次に、抽出した緑や水辺の面積に応じて、そこに生息が予想され、生物多様性の評価基準となる飛翔性生物種を指標生物として選定し、その生物種の移動距離や行動範囲を画像上に表記して、建設地に到達できる可能性を予測します。最後に、予測結果を踏まえて植栽計画やビオトープ計画を立案し、お客様へ提案します。評価に用いる指標生物は鳥類9種類、昆虫19種類です。

このシステムにより、建設地周辺の飛翔性生物の多様性が見える化されるので、発注者は予測結果を踏まえた緑地やビオトープが周辺地域の生物多様性空間の創出・拡大へどの程度貢献できるか、つまり生物多様性保全に関する費用対効果を定量的に把握できるようになります。この結果、CSRの一環として緑化・ビオトープ計画を充実させる企業が増加するものと期待されます。

「UE-Netライト」の開発に当たっては、新宿御苑に近接する伊勢丹新宿店「アイ・ガーデン(新宿区新宿)」、清澄庭園等に近接する当社技術研究所「再生の杜ビオトープ」(江東区越中島)へ本システムを適用し、その有効性を検証しました。アイ・ガーデンでは、システムで飛来を予測した指標生物種を含めて鳥類16種、昆虫46種を、再生の杜ビオトープでは鳥類25種、トンボ類17種など300種を超える生物の飛来を確認しています。

なお、点在する緑地の規模や位置関係を考慮した詳細な生物多様性評価や複数のビオトープ計画案の生物多様性への貢献度等を比較検証する場合には、既開発の都市域の生態系ネットワーク評価システム「UE-Net3」を活用し、詳細なシミュレーションを行います。

以 上

≪参考≫

13UE-Net
UE-Netは、Urban Ecological Network Simulation Systemの略。ライトは、同システムの簡易バージョンを意味する。
2六本木一丁目南地区第一種市街地再開発事業の概要
所 在 地 港区六本木1-7
発 注 者 六本木一丁目南地区市街地再開発組合
設計施工 清水建設
規  模 地上27階、地下2階
建築面積1,220m2、延床面積33,750m2
地上緑化面積980m2、屋上緑化面積144m2
構  造 鉄筋コンクリート造
工  期 2010.3〜2012.6
■指標生物の内訳
鳥類はシジュウカラ、コゲラ、カワラヒワ、ホオジロ、ウグイス、カルガモ、バン、コサギ、アオサギの9種類、昆虫は、シオカラトンボ、ギンヤンマ、ウチワヤンマ、アオモンイトトンボ、キイトトンボ、チョウトンボ、オオシオカラトンボ、オオアオイトンボ、ヤブヤンマ、ハラビロトンボ、ネアカヨシヤンマ、ハグロトンボ、オニヤンマ、キチョウ、ムラサキシジミ、ルリタテハ、ヤマトシジミ、キタテハ、ジャノメチョウの19種類

≪六本木一丁目南地区第一種市街地再開発事業地周辺の評価結果≫

建設地周辺のシジュウカラの生息範囲を評価した画面。星印の建設地内にシジュウカラが好む落葉・常緑広葉樹を植樹することで、シジュウカラの飛来が十分期待できる。
建設地周辺のコゲラの生息範囲を評価した画面。生息範囲と建設地が離れすぎているため、コゲラが好む植栽を施しても、コゲラの飛来は期待できない。

ニュースリリースに記載している情報は、発表日現在のものです。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がございますので、あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、お問い合わせください。


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