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ニュースリリース 2010年

2010.07.27

巨大地震による土構造物の崩壊プロセスを再現〜経済的かつ合理的な対策工を提案〜

清水建設(株)<社長 宮本洋一>はこのほど、巨大地震による盛土や宅地造成地などの土構造物が崩壊にいたるまでのプロセスを詳細に予測・再現できる三次元シミュレーションシステムを開発しました。

盛土などの土構造物の設計では、「滑り面(崩壊部と非崩壊部の境界線)」を定量的に求め、対策工法を立案することが求められます。ただ、これまで多くの場合、経験や簡易計算によってすべり面を設定しており、理論的な裏付けが乏しかったことから、崩壊メカニズムに基づいた被害評価や合理的な対策の提案が必ずしもなされていませんでした。

一方、重力加速度を上回るほどの巨大な地震動が観測された最近の地震では、山岳斜面や道路盛土の崩壊などの被害が多く報告されています。これにともない、設計に用いる地震動が大きくなり、対策工法も大掛かりでコストが高くなる傾向にあります。そこで当社は、土構造物の経済性と安全性を両立させるシミュレーションシステムを開発しました。

システムに入力するデータは、地盤の形状、種類、締め固め密度、各地層の変形定数・強度定数などです。解析上の特徴は、地震の継続時間内に地盤が線形・非線形の変形を繰り返しながらひずみを累積し崩壊に至るプロセスを忠実に再現し、滑り面を求めること。そして、円弧の滑り面を適当に設定していた従来の設計手法に代えて、地盤の実際の変形に伴い形成される滑り面の位置と形状が時々刻々とダイナミックに変わっていく様子を描くことができる大変形解析理論を採用したことです。

システムの予測結果と実証実験の結果は高い精度で一致します。例えば、断面形状が台形(高さ9m、下底幅16.5m、上底幅6m)をした盛土に地震動を加えたケースでは、法肩(斜面上端)が約2m近く陥没したこと、斜面から約2.2m〜2.3mの深さに二重の円弧状の滑り面が発生して表層地盤が崩壊したこと、法尻(斜面下端)が2m以上広がったことなどがシミュレーション結果でも実験結果でも見られます。

こうした解析が可能になったのは、異なる地盤性状や地震動を設定した実証実験を通じて、土構造物の崩壊のプロセスを解明できたこと、土構造物の忠実な三次元モデルを構築できたことが大きな要因です。

≪メリット≫

  1. 地震によって土構造物に発生する被害、例えば滑り線の形状と発生ヵ所、斜面の崩壊量などを定量的に求めることができます。
  2. これにより、最も効果を発揮できる被害防止対策をピンポイントで提案できるので、土構造物の経済性と安全性が向上します。
  3. 土構造物だけでなく、自然の丘陵地などについても地盤情報を収集してシステムに入力することにより、地震による被害を予測できます。

なお、土構造物のモデル化は3日間、パソコンによる解析はわずか1時間程度で終了します。当社は今後、本システムを活用してミニマムコストの安全な土構造物を提案することにより、土木工事の受注に結び付けていく考えです。

以 上

≪参考−線形・非線形≫

物体に力を加えていった際に、力の大きさと物体の変形量が比例関係にある範囲を線形変形(物体が元の状態に戻ることができる変形)といい、比例関係が成立しない範囲を非線形変形(物体が元の状態に戻らない変形)という。例えば、バネに引張力を加えていった場合、引張力とバネの伸び幅が比例関係にある間は引張力を開放するとバネは元の長さに戻るが、一定以上の引張力を加えてゆくと、少しの力で急にバネが伸び始め、バネが元の長さに戻らなくなる。

■資料・解析結果

模型実験(左)と模型実験の結果を表現したCG(右)

上記模型実験と同じ地盤条件の盛土に地震動を入力したシミュレーション。左は地震動の入力開始から約4秒経過後(崩壊直前)の状態で、右は地盤が崩壊してしまった最終変形状態。右のシミュレーション結果と上記CG(右)は高い精度で一致している。

ニュースリリースに記載している情報は、発表日現在のものです。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がございますので、あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、お問い合わせください。


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