ニュースリリース 2008年
2008.08.26
火山噴火に伴う災害リスク評価ツールを、国内で初めて開発・実用化
―被害の種類や危険度などを総合的に診断して、 顧客の施設立地の選定や事業継続計画の策定を強力支援―
清水建設(株)<社長 宮本洋一>はこのほど、火山噴火に伴う溶岩流や降灰被害など、対象地が抱える災害リスクを総合診断できる評価ツールを、国内で初めて開発・実用化しました。本ツールは、過去の災害データベースや被害予測ソフトをシステム統合。市販レベルのPCを使って、火山噴火の際に対象地が被る恐れのある被害の種類や危険度を把握することが可能です。今後当社は、本ツールを積極活用し、施設立地の選定や事業継続計画の策定など、顧客の事業活動を支援していく計画です。
日本の国土には108もの活火山が分布しており、過去400年間で人的被害を伴う噴火活動が57回発生しています。火山噴火は直接的な被害だけでも甚大ですが、間接的にも降灰などが経済活動に被害を広範囲にもたらす可能性があります。
政府は平成13年以降,「富士山火山防災協議会」を始めとする火山防災関連の検討委員会を設置。防災体制の強化を図っており、今後は民間においても、地震や風水害に加えて、火山災害を想定した防災対策が始まるものと考えられます。
今回開発した評価ツールは、溶岩流や火砕流など6種類の被害に関する過去の「火山災害データベース」と、独自の予測技術を組み込んだ「降灰被害予測ソフト」を、社内イントラネット上の地理情報システムに統合した点が特徴。対象地が抱える様々な火山災害リスクを同一画面に表示判定し顧客事業のリスク診断に使うことで、顧客の施設立地の選定や事業継続計画の策定に役立てることができます。火山災害リスクを総合診断できるツールは、国内で初めてです。
≪本ツールの特徴・メリット≫
- システム構成
(1)火山災害データベース
活動が特に活発とされる三宅島や阿蘇山など12の活火山に関する過去1万年間に渡る火山活動履歴と、現存する人的被害などの災害記録を基に構築。WEB上で公開されている各火山情報サイトへのリンク機能を付加しており、公的機関が発表している火山活動情報を同時に表示して対象火山の今現在の状態を把握することもできます。
(2)降灰被害予測ソフト
3次元の流体シミュレーション技術をベースに、平均的な風況を前提にした*降灰予測を行います。主に数km〜数10kmの範囲を対象に、微妙に変化しつづける風向風速からの影響を予測しながら、地形からの影響も反映させ、火山灰が広範囲に広がっていく様子を高精度予測します。
(3)当社施工の施設データベース
12万件を越える当社施工の施設や官公庁・病院施設等のデータベースとリンクしています。これによって例えば、診断エリア内の顧客のどの施設が、どのような火山災害リスクを抱えているかを把握可能となっています。
なお上記システムの取り扱い難易度は、火山災害データベース及び施設データベースが社内の一般社員レベル、降灰被害予測ソフトが専門技術者レベルです。
- メリット
(1)火山噴火に伴う災害リスクを総合評価
溶岩流から始まり、火砕流、噴石、火山泥流及び火山灰など、対象地が抱える6種類の火山災害を過去の実績や予測により同時に表示し,対象地における火山災害リスク評価に用います。火山噴火による災害リスクを短時間で総合評価できるツールは、本ツールが国内初めて。また一部の自治体がそのエリアに限定したハザードマップを作成している例はありますが、日本全国を網羅した仕組みとしても画期的です。
(2)分かりやすく地図表示して、火山災害リスクを「みえる化」
対象とする施設と、その近傍で過去生じた火山災害の範囲や降灰分布予測結果を、パソコン上に重ねて表示。その施設が抱えるリスクを「みえる化」します。また官庁機関等が発信する火山情報を同時表示でき、対象施設の近くで発生中の火山活動や、発生しうる火山活動を複合的に把握することもできます。
当社は技術研究所を中心に05年秋、火山災害に対応した技術開発に着手。基礎研究から始めてデータ収集やシミュレーション手法の開発などを行ってきました。今回の開発を機に今後は、本ツールを全国の事業所・支店で活用していくほか、災害データベースの精緻化や予測精度の向上など、技術のさらなるブラッシュアップを図ってまいります。
* 平均的な風況における予測のほかに,気象庁のメソ数値予報モデルGPVを使った、任意の条件下のシミュレーションも可能です。計算には1日程度かかります。

火山防災用地図システム構成および機能概要図

表示画面のイメージ
| 網掛け部分 | :過去の火山災害範囲や降灰分布予測範囲. |
| アイコン | :施工物件や官公庁・病院など |