経済性と効率
建造物自体の経済性・効率を向上するだけではなく、効率よく短工期で施工することが「経済性と効率の向上」と考えています。設計では、お客様のニーズを具体的な形にし、建物の生涯に必要なコストが最小になるように取り組んでいます。施工では、生産システム改革活動を展開し、さらに活動に寄与する技術の開発と普及に努めています。建物の運用段階では、アフターサービス活動を充実し、運用時のコストを抑えるお手伝いをしています。
建造物の経済性・効率を向上する
ライフサイクルコストを最小化する設計提案
設計では、お客様の事業価値を高めるため、BCP・環境・省エネルギーなど、長期的なライフサイクルコストの削減につながる、最適なプランニングを行っています。
耐震性能を向上し、大地震後の避難場所としても使用可能に−西新井大師総持寺 本堂(保存改修)
創建以来千年を経た関東最古の真言宗宝山派寺院。1971年に再建された本堂の「耐震性能の向上」、地域に親しまれている「外観・内観の保存」、混雑時の導線確保のための「機能性の改善」が課題でした。大地震直後の地域の避難場所として建物の継続使用を可能にし、屋根瓦の脱落や内部のご本尊などの転倒も防止するため、大規模RC造本堂では国内初の中間階免震レトロフィットを計画。今後60年にわたる長期保全計画も整え、地域社会を支える寺院のライフサイクルを考えた提案を行いました。

第20回BELCA賞ベストリフォーム 部門受賞
方位追従型熱排気システムの採用−富士ゼロックスR&Dスクエア
建物が楕円形状をしているため、常に日射が差し込む面があり、その面は時刻によって移動します。この日射負荷を効率よく排除するために、方位追従型熱排気システムを採用。日射方向に合わせて、外装ガラスとブラインドの間の日射でたまった温かい空気を、ファサードに組み込んだ給排気スリットから外へ逃がすシステムです。これにより眺望を損なうことなく、経済的で快適な温熱環境を提供しています。


方位追従型熱排気システム : 各方位の排気量を年間スケジュールによって制御し、日射方向に合わせて、温まった空気を天井の給排気用スリットから効率よく排気することにより冷房負荷を低減します。
設計担当者より
360度外部に向かって開かれた外周通路。ここも快適に使えることが、この案を採用する際の条件でした。
このシステムは、建物がこのような楕円形状だから、ここまできめ細やかな制御が可能になったと考えています。
(設計本部プロジェクト設計部2部 グループ長 河本 洋一)
効率のよい短工期施工への取り組み
歩掛り活用ガイドの展開
生産システム改革の一つとして「歩掛り(作業の効率、能率を表す指標)」と「段取り」に着目し、原点に立ち返って、段取りを良くして歩掛りを向上させる活動を全社施策として4年前に開始し、そのための具体的なツールとして、若手係員を対象としたガイドの作成に着手しました。そして、2年前に「歩掛り活用ガイド」を発行しました。
歩掛りを「ものさし」として工事の計画や進捗を「見える化」し、どうすれば段取りを良くできるか、ムダをなくして歩掛りを向上できるか、一人ひとりが自分自身の力で考え、行動するためのヒントとなるツールです。
また、創業以来大切に受け継いできた「ものづくり」のこだわりを、「現代の棟梁」として忘れてはならないものとして、2011年1月に「まるわかり段取りガイド」を作成し、展開しています。

まるわかり段取りガイド(抜粋)
建築担当者より
「短工期施工」とはいえ、とにかく早くつくればよいと言うものではありません。ものづくりには、省くことのできない手順があるのですから。
品質を確保するため、安全な作業を実施するため、そして与えられた工期と予算の中で、娘に自慢できる建物をつくるため、何が必要で、何が必要でないかをいつも考えています。
(生産技術本部 生産計画技術部 淵本 正樹)

技術開発
中・小規模現場の生産性向上
小作業所における生産性向上を目指し、様々な技術開発に取り組んでいます。


都市部の狭隘敷地での資材取り込みのためのスライド式の荷取り構台
リバースコンストラクション(解体技術)
建物の解体部位に応じた最適な手段で、ビル上層から順番に切断してブロック化。通常の新築工事で使うタワークレーンで地上まで吊り下げて、専用の処理サイトで分別処理します。超高層ビルを安全確実に、そして環境に優しく解体できる本工法を新たに開発し、新本社建設プロジェクトの旧事務所ビル解体工事で採用しました。


ビルのブロック化(写真、左2枚)とクレーンによる吊り下げ(写真右)
土木の事例(シールドの高速掘進技術)
東京都では都民生活と首都機能を将来にわたって支えるための水道送水管のネットワーク化が進められています。送水管は都心の輻輳した地下空間の深い所に敷設するため、シールド工法というトンネル掘削技術を用いています。当社はこの地下トンネルの掘進を飛躍的に向上させる技術(F-NAVI工法)で掘進工程を33%短縮しニーズに応えました。


港区江南5丁目地先から品川区八潮1丁目間送水管新設工事
小集団活動と改善事例発表会(建築)
11月の品質月間の活動として小集団活動の事例発表会を開催しています。品質向上、工期短縮、環境配慮など小集団でのさまざまな改善活動の水平展開を行っています。
アフターサービス活動の充実
建物総合診断とリニューアル提案の推進
アフターサービス活動標準を制定し、建物簡易診断・中長期保全計画書の作成・省エネ支援サービス・省エネ診断などのサービスを提供する活動を強化しました。これにより竣工後のお客様のニーズに的確に対応し、長期にわたる建物・設備の運営管理のパートナーとして親密な関係を維持し、建物のライフサイクルコストやライフサイクルCO2を抑えるお手伝いをしていきます。特に、当社施工の建物を中心に、竣工後12年を目途に建物劣化診断に加えて省エネ診断などを行う建物総合診断を実施し、リニューアルによる資産価値向上につながる総合提案をお客様に提示する活動に力を入れています。

建物診断所見シート(左)建物を目視で診断し、所見シートにまとめます。
劣化診断評価シート(右):建築・電気・空調・衛生設備の診断項目をレーダーチャートで劣化評価します。

保全計画・ライフサイクルコスト :年次別の保全計画書を作成します。